みなさんは、映画の上映がすべて終了してあとの映画館を知っていますか?
レイトショーも全て終わり、お客様も全員退出され、アルバイトスタッフも帰ったあと、次の日のオープンまでの間に映画館では何が行われているのか…気になった人はいませんか?
今日はそんな営業終了後の映画館で、どんなことが行われているのか映画館の裏側を少しだけご紹介します。
レイトショー終了後にお客様が帰られたあと
まずは、レイトショーの上映が全て終わって、全てのシアターからお客様が退場されたあとを見てみましょう。
レイトショーを観たことがある方ならわかると思いますが、この時点で売店やチケット窓口はクローズしていて、ロビーは半分くらい暗くなってますね。
まずは、このあとの時間帯です。
一般的な締め作業
まずは当然のように、アルバイトスタッフとマネージャーによる現場の締め作業が行われます。
チケット窓口での売り上げ、売店の売り上げ、グッズの売り上げなどのお金関連のことから、各種清掃等の確認。
「締め業務」と聞いて想像が出来るような一般的な業務が行われていると思って頂ければ良いかなと思います。
シアター内の最終確認
こちらは、映画館的な視点から言えば「一般的な締め業務」になるんですが、全ての締め業務を終わったあとに、必ずマネージャーとシアター内を見回って最終確認します。
これは、落し物の確認なども含めた見回りも含んでいますが、ここで万が一見逃しがあった場合、お客様は本当の意味で外に出れなくなってしまうので、見回りを行なっています。
もし、ここに取り残された場合、頑丈なセキュリティのドアをいくつもくぐり抜けないと外に出れないのと、窓一つない”本当の暗闇”に閉じ込められることになります。
過去何度かこういう事故を見てきましたが、取り残される側を考えるだけでもゾッとしますよね…
そんな事が起こらないように、マネージャーも含めて見回りにいきます。
アルバイトスタッフも帰ったあと
シアター内に見回りや、各セクションの締め業務が終わるとアルバイトスタッフは退勤して帰っていきます。
そのあとに、マネージャーが劇場としての締め作業を行なって、その日の営業を終えれるわけですが、次に見ていくのはこの時間帯です。
劇場の締め作業
アルバイトスタッフが現場の締め作業を行なってくれるので、マネージャーはそれの最終確認を行います。
全てのセクションの業務が問題なく終わっているか…、明日への引き継ぎなどはないか…などなど現場レベルの締め作業を再確認します。
それが終わると、劇場としての締め作業を行います。
当日の売り上げ集計や、現金管理、セキュリティチェック、各機器のシャットダウンなど、マネージャーしか立ち入れない範囲を締めていきます。
それらが全て終わった段階で、劇場として当日の”興行収入”が確定するので、関係各位へ報告して業務を終えます。
新作の試写業務
公開前の新作を試写する際は、だいたいこの時間帯に行います。
デジタル映写機導入後、この試写業務は格段に時間が掛からなくなりましたが、フィルム時代は全編通して観る必要があったので、この時間帯から2時間くらい試写してましたね…。
この試写業務は、もちろん営業時間中には出来ませんし、情報漏洩の観点からアルバイトスタッフも帰った後に実施するのが望ましいです。
この時間帯にマネージャーが新作のチェックをして、映像や音質に問題がないか確認を経て、お客様に最適な環境でお届けしています。
深夜作業対応
映画館を含めた、店舗業務に携わったことのある方ならば、よく耳にするであろう「深夜作業」。
映画館には、多くの深夜作業が入ることがあり、当日は当然マネージャーの立会いが必要になります。こういうった作業がある場合は、その作業の完了を確認するまで帰れません。
映画館で多くある深夜作業は次のようなものです。
- 映写設備の入れ替えやメンテナンス
- 売店のマシン入れ替え
- 劇場の補修やメンテナンス(トイレや壁など)
- 各種販売システムの入れ替えやメンテナンス
などなど。
特に多いのは、やはり映写絡みですね…。スクリーンやスピーカー、映写機など営業時間中にはどうしても出来ない部分が多く、かつ時間が掛かるものばかりです。
事務所やバックヤードにも人がいないことを確認
劇場としての締め業務が終わったら、マネージャーはようやく帰路につくわけですが、その前にスタッフが残っていないかチェックします。
だいたい映画館には、制服に着替えるようにロッカールームがあるので、そういった場所にスタッフが残っていないかも確認し、劇場にセキュリティを掛けて帰ります。
マネージャーの遅番業務については、こちらの記事で詳しく紹介しているので、ご興味ある方は合わせてご一読ください。
マネージャーも退勤したあと
最後は、そんな遅番マネージャーも退勤して、本当に誰もいなくなった時間帯です。
場合によっては、早朝と呼ばれる時間帯になっていることもありますが、ここを見ていきます。
上映データの転送
この時間帯に多く行われている作業の1つとして、上映データの転送作業が挙げられます。
デジタル映写機で上映される映画は1つ1つのデータがとても重く、転送にかなり時間が掛かってしまいます。転送中は映写機に負荷が掛かることもあり、営業時間中には決して行なってはいけない作業です。
なので、この時間帯に遅番マネージャーが転送の設定をしておいて、翌日の営業開始までに終わらせるようにしておきます。
これを計画的に行わないと、次の週の上映に間に合わない…みたいな事も起こり得るので、みんなで協力してデータ転送を行なっています。
時間の掛かるシステムデータの書き出し
上映データの転送にも似ていますが、劇場の売り上げなどを管理しているソフトから重いデータを書き出す際もこの時間帯を使います。
例えば複数月に渡った長期間の集計データを出力したい…月単位での細かい売り上げを確認したい…など、こういったシーンが業務上出てきます。
こういった作業はシステム的にもかなり重い作業になり、映写機と違って営業時間中に出来ないわけではないのですが、そのPCではほぼ他の作業が出来なくなります。
なので、こういったシステムデータの書き出しもここで行うことが多いです。
清掃業者によるシアター内清掃
まだ暗い早朝になると、シアター内を清掃してくれる清掃業者が入って来ます。
前日のレイトショー終了後は、シアター内の清掃を行いませんので、ここで専門業者による清掃が行われるわけです。
時間帯で言うと、早番マネージャーが出勤する時間帯にはもういない事が多いので、だいぶ早い時間と考えて良いです。
この清掃業者さんのお陰で、朝一発目の上映から綺麗なシアターでお客様を迎え入れる事が出来るんです。
翌日の早番マネージャーが出勤
そうこうしている間に、次の日の早番マネージャーが出勤してきます。
慣れない作業や、深夜作業のスケジュールが押していたりすると、この早番マネージャーと遭遇することも珍しくありません。そういう時の早番マネージャーは、だいたい哀れんだ目で遅番マネージャーを見ています。
前日の処理に問題ないか確認してオープン
早番マネージャーが出勤すると、慌ただしくオープンの準備が始まります。
当日の現金用意や、前日からの引き継ぎ確認、当日のスケジュール確認など、遅番マネージャーより短い時間で多くのことをやらないといけません。
この、早番マネージャーの業務については、こちらの記事で詳しく紹介しているので、ご興味ある方は合わせてご一読ください。
本当に誰もいない時間帯はわずか
これで「営業終了後の映画館」で行われていることは、全てです。
こうやって見てみると、本当に誰もいない時間帯は”ほんの3〜4時間”くらいでしょうか。
むしろ、試写業務や深夜作業がある日は誰もいない時間帯ってないくらいですね。