今、映画館で「応援上映」という上映回が増えているのを知っていますか?
応援上映自体は、結構前からありましたが、一部の熱狂的なファンが付いている作品が中心でした。しかし、最近ではいわゆるメジャーな作品でも、この「応援上映」を行う機会が増えているんです。
今日は、そんな「応援上映」について、その内容と鑑賞時の注意・マナーをご紹介していきます。
応援上映とは
そもそも、「応援上映」というのがどんなものか知らないという方も多いと思います。
カッチリと決まった定義みたいなものはありませんが、【コスプレOK / サイリウム・うちわOK / 声出しOK】などを打ち出しているところが多いです。
まず、コスプレでのご来場、OKでございます。公序良俗に反する服装、周りの方に迷惑にならない服装であれば、思い思いのコスプレにて入場可能です。メガネや蝶ネクタイやスーツに黒ネクタイ、ワンポイント大歓迎。是非「名探偵コナン」に関連した愛に溢れた格好でお越しください。
「〇〇のシーンの蘭ちゃんの私服でコスプレしました」なんてレベルの高いコナンファミリーがいらっしゃったら劇場で握手しましょう。
劇場や周辺の施設では着替えなどのスペースを用意してないので、その点はご注意くださいね。そしてもちろん、うちわ・ペンライトなどの応援グッズの持ち込みもOKです。
ただ、こちらも、周りの方の視界を著しく妨げるものはやめましょう。ご来場のコナンファミリー全員で気持ちの良い上映にしていきましょう。
また「劇場内での写真撮影、ビデオ撮影、録音は禁止です。」「立ち上がったりしての応援も禁止です。」ご協力よろしくお願いします。(一部抜粋)
こちらは、少し前に話題になったコナンくんの応援上映についての案内文です。
映画館での映画鑑賞と言えば、”周りの人に迷惑を掛けないように静かに観る”というのが常識でしたが、応援上映はその真逆で、ライブにようにスクリーンに向かって声援を飛ばす上映回です。
応援上映のはじまり

出典:『映画 Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!』公式サイト
ぼくの記憶の限りでは、この応援上映と言われるスタイルが始まったのは2007年に公開された「プリキュア」の映画だったと思います。
プリキュアと言えば、毎回必ず入場者プレゼントとしてお子様を対象に「ライト」が配られます。
この2007年に公開された『映画 Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!』では、「プリキュアが危なくなったら、ミラクルライトを付けて応援しよう」と劇中のキャラクターからアナウンスがあり、映画を観ている子供たちは「プリキュアがんばれ〜」とライトを振りながら応援していました。
もちろん、それ以前に近い形の上映をしていた作品はありましたが、明確に「応援して」みたいな表現が始まったのは、このプリキュアが最初でしょう。
ライブビューイングとの兼ね合い
プリキュアが応援上映を始めた2007年〜2008年あたり。この時期は、ちょうど全国的にシネコンのデジタル化が進められている時期でした。
そして、2009年には3D映画の超大作「アバター」が公開され、フィルム映写機からデジタル映写機へ続々と入れ替えが始まります。デジタル映写機の導入によって、映画館で取り扱うコンテンツも幅を広げ、「ライブビューイング」という上映が可能になりました。
全国的に映画館への客足が遠のいている中、集客に成功したのが、このライブビューイング。映画以外のコンテンツを扱う事で、今まで映画館に来ていなかった人たちが映画館に訪れるようになります。
ライブビューイングは、ご存知の通り「ライブに来ているのと同じような感覚で声援OK」。劇場側としても、このライブビューイングの経験から「お客様が盛り上がる上映回」という事に対して、既に免疫が出来ていたので、「応援上映」を始める事に抵抗がそれほどなかったものと思います。
劇場が経験値を貯める期間、応援上映が広まるタイミング、このあたりが上手く噛み合った事も、いま映画館で応援上映が広まっている理由の1つかもしれません。
応援上映の立役者
『KING OF PRISM by PrettyRhythm』。通称”キンプリ”と言われる、この作品が応援上映を一気に広めたとされています。
もはや、この動画を見て頂ければ「応援上映」の全てがわかる気もしますが、こんな風に作品に合わせて盛り上がる上映回なんです。
特に、このキンプリは応援上映を前提に作られていて、お客様がアフレコ出来るようなシーンがあったり、主人公たちが声援を待つシーンがあったり…とにかく、今の応援上映を広めた立役者的な作品になっています。
主人公たちと一緒の空間で、物語を共有出来る感覚がファンには堪らない上映回なんですね。
応援上映に参加する心得
応援上映について、なんとなく中身がわかってきたところで、実際に参加する場合はどんな準備が必要なのか。
行く前に知っておきたい基本情報や、注意事項・マナーなどを確認していきましょう。
持ち物
一言で言ってしまえば、特にありません。自由です。普段の映画を観る時と同じような持ち物で参加してもOKです。
ただ、せっかく「応援上映」に参加しているので、目一杯楽しめる準備をして参加した方が良いですし、周りと比べて浮いちゃうのも嫌ですよね。
- タオル(必須)
- サイリウム(ほぼ必須)
- うちわ(あると良い)
- コスプレ(しなくても良い)
個人的な主観も入れましたが、これくらいの準備をして来るお客様が多いです。
タオルを必須にしたのは、もちろん汗をかくからです。みんなが精一杯応援するという事は室温が上がります。もちろん空調管理はしているのですが、それでも熱くなると汗が出ますよね。
コスプレまでは…という方もいると思いますので、サイリウム・うちわくらいまでが基本装備だと思ってもらって大丈夫ですよ!
絶対やめて…禁止事項
楽しい上映回を楽しく終わらせる為にも、参加する方には是非とも守って頂きたい部分です。
- 飲食物の持ち込み
- 写真・動画の撮影や録音
- 迷惑行為
- 劇場での着替え
- 火器類の持ち込み
いくつかピックアップしてご紹介します。
まず、1の飲食物ですが、これはもはや当然です。たまにライブのような感覚で普通にペットボトルとか、コンビニで買った来た食べ物を持ち込もうとする方がいらっしゃいますが、あくまで映画館での上映です。映画館のルールに則ってご鑑賞ください。
シアター内への飲食物持ち込み禁止については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。こちらも合わせてお読みください。
次に3の迷惑行為ですが、特にこれが今劇場では問題になっています。
具体的には「席を立っての応援」「他のお客様の視界を遮るようなコスプレ・行動」「応援以外の大声(ヤジやネタバレなど)」など、この辺りです。
好きな作品、好きな俳優さん・声優さん、好きなシーン。それに大声で参加しても良い上映回となると、テンションが上がるのもわかります。ただ、ここは映画館である事を忘れないでください。家ではありません!
そして、応援上映は参加するお客様のマナーで成り立っている事を忘れないでほしいです。迷惑行為はお客様同士のトラブルに繋がります…せっかく楽しみにしていた応援上映を台無しにしないためにも、ご参加頂く際は周囲への配慮をお願いします。
ちなみに、こういった迷惑行為が原因で応援上映が中止になった事例もあります。こちらの「ラブライブ!」のニュースをご覧ください。
最後に、4の劇場での着替えについてですが、これも非常に多いですね…必ずご自宅で着替えてからご来場ください。
劇場のトイレや、周辺施設のトイレで着替えをされると、他のお客様のご迷惑になる場合があります。特に周辺施設で着替えをされると、こういった上映が出来なくなってしまう原因にもなり兼ねないので、ご協力お願いします。
注意事項
禁止事項とは違い、応援上映に参加するにあたり気を付けておいてほしいことをまとめます。
- その作品を初めて観るには不向き
- 静かに見たい人は参加しない
- 気分を害する可能性もある
2なんかは当然なんですが、間違って応援上映の回を買ってしまわないように注意してほしいという事です。
1も当然ではあるんですが、応援上映は基本的にリピーター向けの上映回です。上映中はシアター内でみんなが声援を飛ばすので、セリフが聞こえなかったりもします。応援上映に参加する前に通常の上映で作品をしっかり観る事をオススメします。
そして、3は場合によって…という事なんですが、例えば自分の好きなキャラクターを応援しようとした時に、意外と周りからの声援が少なかったりもします。それぞれ好きなキャラクターや、応援しようと思うタイミングが違ったりするので、これは仕方ないですね。
なぜ「応援上映」を行うのか?
映画館からしても、少しリスクのある上映回ですが、それでも「応援上映」が増えるには理由があります。
- 作品のファン・お客様からの要望
- リピートして観てほしい
とてもシンプルで当然のように思いますが、大きく分けるとこの2つが本当の理由です。
作品のファン・お客様からの要望
やはり第一にこれです。
応援上映を行って誰も応援に来ないような作品は、「応援上映」を行いません。当然ですね。
逆に、熱狂的なファンが多かったり、作品の題材として適切だと判断出来れば「応援上映」が開催されます。
応援上映をする事で、作品のファンとの繋がりをより強固なものに出来ますし、ファンとしてもキャラクターと繋がれるような、非日常な特別な体験をする事が出来ます。
リピートして観てほしい
これは、配給も劇場も同じ考えです。
映画は基本的に1回観たら、相当な事がない限り2回目を映画館で観ようとは思わないですよね。
「応援上映」は、劇場側からすると正直同じ上映回を行うだけでお客様が来てくれる、非常に嬉しい上映回なのです 。(もちろん注意事項もあるので、それなりの対応はありますが…)
配給からしても、「応援上映」というイベントを企画するだけで興行収入が増え、グッズも売れます。話題性も作れて、ファンとの繋がりを深められる良い機会です。
いずれにしても、普段1度しか観ないものを、2度観てもらうという事に配給・劇場は大きなメリットを感じているという事です。
まとめ
応援上映について、その内容と注意事項をご紹介してきました。
本当は、どんな作品が「応援上映」を実施しているか。というのもご紹介したかったのですが、この記事を読んでいるみなさんは、きっと「既に応援上映に参加する作品は決まっていて、その内容が知りたい!」という状態だと思い、ここまでにしました。
これから応援上映に参加しようとしているあなた、是非とも禁止事項・注意事項をよく読み、みんなが楽しい上映回を劇場と一緒に作ってください。
これからも応援上映がドンドン増えますように、みなさんのご協力よろしくお願いします。
[…] ▼参考ページ https://withtheater.com/about_ouenzyoei/ […]