実際どうなの?映画館が飲食物の持ち込みを禁止している本当の理由。

映画館での映画鑑賞と言えば、出来立てのポップコーンやチュロス、ホットドッグなどを片手に…。という方も少なくないでしょう。

この映画館での飲食について、常に問題になるのが「外からの持ち込み」です。今では鑑賞マナーとして『シアター内への飲食物の持ち込み禁止』というのが定着していますが、この理由ってわかりますか?

劇場のロビーではアナウンスが流れ、シアター内でも本編前に鑑賞マナーとして持ち込み禁止についての映像が上映されますよね。ここまで徹底して『持ち込み禁止』にするには、もちろんキチンとした理由があります。

今日は、意外と知られていない『映画館への飲食物の持ち込み禁止』について、劇場運営の視点から本当の理由をお話します。今まで売店を利用してくれていた方も、実は持ち込みしていた方も、その理由をしっかりと理解して映画館へ出かけて頂ければ幸いです。

まずは各社の公式アナウンスを見てみましょう。

まずは、この「飲食物の持ち込み禁止」について、それぞれの映画館がどういったアナウンスをしているのか確認してみましょう。

他店からの飲食物の持込はご遠慮ください。

引用:TOHOシネマズ「映画鑑賞のマナーについて」

当劇場のコンセッション(売店)でご購入いただいたご飲食物のみシアター内にお持ち込みいただけます。それ以外でお買い求めのご飲食物の持ち込みはご遠慮いただきますようお願いいたします。

引用:松竹マルチプレックスシアターズ(MOVIX)「よくある質問」

劇場売店以外の飲食物の持ち込みは、ご遠慮いただいております。劇場売店以外の商品は、においや音が気になる場合があり、お持ち込みをご遠慮いただいております。

劇場売店商品は、お持ち込みいただけますので、ご利用ください。

引用:イオンシネマ「マナー向上」

当劇場の売店でご購入いただいた商品のみ、劇場内にお持込みいただけます。それ以外の飲食物のお持込みはご遠慮ください。

引用:シネマサンシャイン「よくあるご質問」

他店でお買い求めいただいた飲食物の場内へのお持ち込みはご遠慮いただいております。予めご了承ください。

引用:109シネマズ「よくあるご質問」

各社似たような表現で、この持ち込み禁止についてしっかりとアナウンスされていますね。そして、どこの映画館も「ご遠慮」という、あくまでもお客様の善意に一任する表現を取っています。

強制ではないけど、”実質”強制みたいな感じですね。マナーですから、こういった表現で伝えるのが最適という事なんでしょう。

実際、現場レベルではどうか。

では、実際の現場ではどういった運営をしているのかお話していきましょう。

実際の現場では、“明らかに持ち込みをしている”という場合に限りスタッフがお声がけをしている。というケースが恐らく大半で、カバンの中身をチェックするなどの厳重な体制は取っていません。

悪い言い方をすると「黙認」している劇場が多いです。実際に私が勤務していた劇場も全て、そうでした。

せっかく楽しみに映画館に来て頂いたお客様の気分を害したくはないですし、何よりトラブルを避けたいというのが劇場側の本音です。

お客さん側からしても、持ち込み禁止はわかっているけどペットボトルぐらいは…という考えの方も多いでしょう。その気持ちは、個人的にも十分理解できますし、そこまで徹底的に取り締まるつもりもありません。

では、なぜ「持ち込み禁止」なのか。

映画を観に来るお客さんの希望もわかる。劇場側としても、そこまで強く取り締まる事はしない。

じゃあ、なぜ映画の鑑賞マナーとして「飲食物の持ち込み禁止」を謳い続けるのか。ズバリその理由は、この3つです。

  1. 映画館が利益を得るため。
  2. ゴミ処理の簡素化と、処理費用を軽減するため。
  3. お客様を守るため。

映画館が利益を得るため

よく色んなところで噂にもなっていますが、まさにその通りで、これが持ち込み禁止の最大の理由です。

映画館の収入は、大きく分けると「チケット売上収入」「売店売上収入」「グッズ売上収入」「PR関連での収入」の4つです。ここでは、この収入について多くは語りませんが、「売店売上」以外の収入は、ほとんど劇場には入ってきません。

なので、大ヒット映画が公開されて映画館が混雑していても、アニメの作品が公開されてグッズが飛ぶように売れても、売店を利用してくれるお客さんが少ないと、劇場は利益をあげる事が出来ません。

逆に、映画が不毛であっても、売店が好調であれば利益を出せるという仕組みなんですね。

ゴミ処理の簡素化と、処理費用を軽減するため

これも突き詰めれば、”利益のため”になっちゃうかも知れませんが、理由の1つとして挙げさせてください。

映画館も含めて、商業用のゴミというのは、たいていの場合「重さ」「大きさ」「袋の数」などで処理費用が決まります。ポップコーンやホットドッグなど売店商品の入れ物は、処分する時の事まで考えて作られています。ちゃんと重ねて捨てる事で、幅を取らないようになっているんですね。

こうする事で「重さ」は変わりませんが、「大きさ」「袋の数」は減らす事が出来て、結果的にゴミ処分の費用を抑える事が出来ます。

もし、持ち込みを許可してしまうと、決してこうはいきませんよね。劇場のゴミ箱はすぐにいっぱいになり、それに比例してゴミ袋の消耗も激しくなります。そこから派生して、分別が必要な容器が持ち込まれた場合は、さらに人件費が必要になってきます。考えただけでも大変です…

これだけだと、結局利益のため…となってしまいますが、もう1点あります。

それは混雑時…

満席に近い人気作品の上映回が終わり、シアターを出ると”ゴミを預かってくれるスタッフ”が数名いて、「混んでたのにスムーズに帰れたなぁ」と思った経験はありませんか?

これも、売店で提供されている容器が工夫されているお陰なんです。もし、全員がバラバラの容器で食べ物を持ち込んだら、とてもじゃないですがスムーズに処理出来ません。シアターの出口が混雑して、帰りたくても帰れないイライラした状況を作ってしまうかも知れません。

劇場のゴミ箱がすぐにいっぱいになる事も防いでくれている、実は非常に優れた容器なんです。

お客様を守るため

この表現は、ちょっと大袈裟かも知れませんが、こういう意味合いも持っています。

例えば、映画を楽しみにして朝からお弁当を作って、それをシアター内に持ち込んだとしましょう。

もし、食中毒やアレルギーなどで体調を崩しちゃった場合、外から持ち込まれたものを食べていると原因の究明に時間が掛かってしまい、対応が遅れる可能性もあります。

売店で売られている商品は、原材料の製造元やアレルギーについて、しっかりと管理されていますので、購入された商品のどこに問題があったのかすぐに判断が出来ます。

もう1点は、お客様同士のトラブルから守るという側面もあります。

同じように、シアター内にお弁当を持ち込んだとしましょう。劇場スタッフの目はくぐり抜けても、映画を観ている時は近くに別のお客さんがいますよね?

「自分たちは持ち込みしてないのに、なんであの人はお弁当を持って来てるの?」というトラブルにも発展し兼ねませんね。

他にも、臭いの問題や、音も問題があります。お客様同士のトラブルを起こさないためにも、持ち込みはやめましょう。

でも、そんなの関係ねぇ。という方へ

出典:小島よしおオフィシャルブログ

それでも金銭的な面、メニューのラインナップなどで「映画館の売店なんて使いたくない!」という方もいらっしゃるでしょう。

そんな方へ、最後に1つだけお伝えしたい事があります。それは、映画館の売店は”飲食店の営業許可を持っている”という事です。つまり、カフェやレストランと同じ立ち位置にいるという事です。

あなたは、お腹が空いてレストランに入った時に「食べたい物がないから」「思ってたより金額が高いから」と言って、自分で持ち込んだものを食べますか?

映画を”より楽しむため”に、売店では飲食物を販売しています。スポーツバーでサッカーの試合を見ながらお酒を飲んだり、ディズニーランドでパレードを見ながらポップコーンを食べるのと同じなんです。

映画館なら映画、スポーツバーならスポーツ、その場で提供している本来のコンテンツにプラスアルファで楽しむものです。是非とも、その場のルールに則って楽しんでほしいものです。

最後に

映画館がシアター内に飲食物の持ち込みを禁止している理由をご紹介してきました。少しだけ映画館側の事情もご理解頂ければ嬉しいです。

あなたがいつも行く映画館、初めて行った映画館。どこの映画館も映画を観てもらうだけでは存続が難しいです。あなたの思い出の映画館を守るためにも、是非とも映画を観る時は売店をご利用くださいね。

ちなみに、実際に外で買った飲食物を持ち込もうとすると、「ロビーで食べてから入場」か「上映中はお預かり」のどちらかになります。いずれにせよ、真っ向から持ち込みは出来ないという事です。

 






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みやざわ支配人

with Theaterの支配人です。
7年間大手シネコンで劇場マネージャーを務めたのち、デザイン・マーケティングの仕事を経て独立。今でも映画館の仕事は素敵だと思っています。尊敬する人物はジャッキー・チェン。仕事でトム・クルーズに会った時に緊張し過ぎて顔が白くなった経験あり。