普段あまり見ることの出来ない、映画館を支える社員の仕事に焦点を当てて、その仕事の内容と魅力を紹介してゆく【映画館で働くということ。】。
前回ご紹介した、映画館の辛い仕事紹介に続いて、今回はその逆。「こんな仕事が楽しい」「為にはなった!」と感じるポイントをご紹介していきます。
↓前回の「辛い仕事編」はこちらからご覧頂けます。↓
転職を考えている方、またそれに伴ってスキルアップなどを考えている方には特に読んでほしい内容になっていますので、ぜひご確認くださいませ。
勤務形態
前回の辛い仕事編同様に、まずはこちら。
映画館という勤務形態ならではの、楽しい部分をご紹介していきます。
基本的には平日休み
これは映画館だけでなく、サービス業全般に言えることですが基本的には土日は出勤で、平日がお休みです。
なので、人が集まるような場所へ行っても混雑してないことが多いですね。
特に大型連休などは、カレンダーとはズラしてお休みがもらえるので、遊園地などレジャー施設も比較的空いてる時に楽しむことが出来ます。
中番・遅番というシフト
これは逆に苦と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、シフト制の勤務が多いのでお昼や夕方からの出勤があります。
朝が弱い方、午前中にプライベートな予定を入れたい方には嬉しいことです。もちろん、逆も然りで、めちゃくちゃ朝が早い早番もあるので要注意です。
マネージャーの間では、「遅番の方が仕事が進む…」という声も少なくありません。
異動がある
これは、ぼくはシンプルに好きでしたね。
劇場を展開している規模にもよりますが、定期的(2〜4年程度)に劇場の異動があります。
この異動ごとに、新居探し・引っ越しがあって、全国の色んな街を知ることが出来ます。(もちろん引っ越しは大変です…)
さらに、会社によってはこの異動により「異動手当」「家賃補助」なども出たりするので、嬉しさ倍増です。
色んな人と仕事が出来る
映画館の規模にもよりますが、1つの劇場に50〜100名近いアルバイトスタッフが在籍しています。
学生さんのアルバイトも多く、映画館でのアルバイトは人気が高いので、このスタッフが定期的に入れ替わります。この入れ替えごとに、良くも悪くも色んな人と仕事をすることになります。
ここで運命の人と出会う人もいれば、仕事のパートナーと出会う人もいますし、トラブルになるようなこともありましたね…
アルバイトスタッフだけでなく、支配人やマネージャーも定期的な異動で入れ替わりがあるので、ここでも色んな人と仕事をすることになります。
スキル面について
続いては、映画館で働くことによって身に付く”スキル”について。
接客がメインのお仕事だと思われている方が多いのですが、実際はそれ以外にも多彩なスキルが身に付くお仕事です。
店舗運営・経営の知識が身に付く
これは、ぼくが今でも恩恵を感じるくらい幅広い仕事で通用するスキルです。
映画館と一括りにしてしまうと見えにくいですが、「チケット窓口」「売店」「グッズ売場」など有形・無形の商品売買が発生するシーンが多々あります。
「チケット窓口」では、前売券というチケットでの入場が可能に理屈や、割引について。また、映画館の収益分配など”映画にまつわる”知識が身に付きます。
ポップコーンなどを販売する「売店」は、もはや1つの飲食店を運営しているのと同じです。原材料の仕入れが発生し、販売価格(利益)の設定、人員調整と人件費の管理。新商品発売の準備など、売店のマネージャーは1店舗の店長と同じ役割を担います。
最後に「グッズ売場」。こちらも、言い方を変えると雑貨店の運営をしているのと同じようなものです。商品の仕入れが「買取」であったり「委託販売」であったり、この条件を踏まえて仕入れの量を考えたり…、映画グッズの販売で利益をどのように上げるかが身に付きます。
総じて、映画館というのはいくつもの店舗が入った商業施設のようなものです。
そこに入る1つ1つの店舗をマネージャーが担当し、全体を統括する支配人がいるという構図になっているので、お金の流れや利益の考え方について基本的な部分を学ぶことが出来ます。
色んな企画を考えられる
ぼく自身、非常に積極的に取り組んでいたのがこちら。
毎週必ずと言っていいほど新作の公開が控えている映画館。この尽きることない新作ごとに、その作品の企画を立てることが可能です。
とはいっても、配給などの制限もあるので、完全に自由な企画が出来るというわけではありません。
それでも、対抗館との差別化を図るための劇場の取り組みとして、劇場から提案することは可能なので、企画自体はいくらでも考えられます。
ここでの成功体験は、その後のあなたの人生に大きく影響を及ぼします。
最近の映画館は、商業施設の中に入っていることが多いので、そういう側面を活かして、その施設内の店舗とのコラボ企画など身近で実現可能なものからコツコツと実績を作っていくと良いでしょう。
コミュ力と指揮力が身に付く
前述の通り「色んな人と仕事が出来る」環境なので、必然的にコミュニケーションのスキルが身に付きます。
逆に言うと、これがないと結構きついです。何十人ものアルバイトスタッフに対して、その日に劇場の社員は自分だけ…という状況もザラにあるので、コミュニケーションのスキルは必須です。
また、そんな状況もあり、ある程度自分で判断しないといけないことも出ててきます。
劇場側の事情も考えながら、お客様に最善を提供するために何をしないといけないのか、瞬時に考えて決断し、それをスタッフに実行してもらわなければいけません。
自分で1つのセクションを持つことになるので、少なくともそのセクションを導く指揮能力は必然と身に付くことになります。
映画に関すること
最後は、映画館ならではの「映画に関すること」。
社外秘情報の取り扱いなど、リスクと表裏一体ですが、しっかりとルールを守れば楽しいことも多い部分です。
新作情報が目白押し
まずは何と言ってもこれでしょう。
未確定情報も含めて、映画館には1年以上先の新作情報が入ってきます。
この時に、例えば「●●シリーズの新作」や「●●が主演のサスペンス映画」というように、ファンなら誰よりも先に知りたいような情報が舞い込んできます。
もちろん、”情報解禁日”というのが決められていて他言無用・SNS禁止ですが、劇場内では話題になります。
さらに、そういった新作のポスターやチラシ、前売券などが”情報解禁日”よりも前に納品されるので、一般の方よりも先に目にすることが出来ます。
誰よりも早く新作映画を観れる
これは少し補足しておくと、「誰よりも早く新作映画を観れる”可能性がある”」ということです。
映画館では、新作公開前に「本編データに問題がないかの確認」「音量の決定」を目的とした試写業務というのがあります。
デジタル映写機になったので、全編まるまる観る必要はないのですが、フィルムの時代はこの試写で担当者が1本通して観ていました。
なので、試写の担当になると、誰よりも早く公開前に新作映画を観ることが出来ました。
もちろん業務として…です。
舞台挨拶などのイベントは楽しい
映画館ではおなじみの「舞台挨拶」。
これらの運営は、配給会社と映画館、場合によって広告代理店などの複数社で開催されるのですが、この時に運営のメインになるのは映画館です。
会場の準備や控え室の準備、演者さんの誘導などアルバイトスタッフと一丸となって行います。
この時に、自分の好きな俳優さん・女優さんであれば、めちゃくちゃテンション上がりますし、楽しいのは言うまでもありません。
もちろん、お客様の誘導や案内なども必要になるので、楽しいばかりではありませんが、終わったあとに一緒に写真を撮ってくれたりする人も多かったので良い思い出ですね。
ちなみに、ぼくの人生最高の思い出は、あの”トム・クルーズ”と2ショットで写真を撮ってもらったことです…あの写真は今でも家宝です!
最後に
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
【映画館で働くということ。】今回は「楽しい仕事編」をお届けしました。
前回の「辛い仕事編」を読んで頂き、『映画館の仕事って辛いんだな…』と感じてしまった方は、しっかりと楽しい側面もあることを認識して頂きたいです。
総じて、今でもぼくは映画館の仕事は素敵だと思っています。
なによりあの空間が素敵で、非日常を提供する夢のあるお仕事だと思っています。もちろん仕事なので、事務的でつまらない業務も多いですが、この内容をお読み頂き、少しでも『楽しそうだな』と感じてもらえたら、ぜひ映画館での仕事にチャレンジして頂きたいです。
他にも映画館の仕事について、気になることなどあれば、いつでもLINEなどでお問い合わせくださいね!