普段あまり見ることの出来ない、映画館を支える社員の仕事に焦点を当てて、その仕事の内容と魅力を紹介してゆく【映画館で働くということ。】。
前回ご紹介した、映画館の運営企業に続いて、今回は少し具体的に「ここが辛い」と感じるポイントをご紹介していきます。
↓前回の「運営企業編」はこちらからご覧頂けます。↓
特に、これから映画館への就職を考えている方は一度お目通し頂きたい内容です!「映画館の正社員って、楽しそうだけど、どんな辛い面があるのかな…」と思っている人も、ぜひ読んでみてください。
ちなみに、これからご紹介する内容は、単にぼくが”辛い”と感じたものだけでなく、先輩や後輩などから聞く愚痴(?)や、こんな理由で辞める人が多かったなぁ…というものをまとめた内容です。
勤務形態
まずは、こちら。勤務形態についてです。
朝から夜中まで営業している映画館だけあって、やはり辛い一面があります。
異動
大手シネコンでは、まず間違いなくこの異動があります。
この異動の対象にならない「地域限定社員」のような制度もありますが、契約社員での雇用であったり、給料の制度が異動を伴う一般社員とは違ったりします。
しっかりと、昇給や出世を目指していくなら、この異動は避けて通れないと思った方が良いです。
当然、その会社の人事の状況にもよりますが、だいたい3年程度で劇場の異動があります。特別な条件がない限りは、「別の劇場へ異動」です。本社などの管理部への異動など出るわけはありません。
この異動が、人によっては”辛い”と感じるポイントかもしれません。
上が詰まっている
どんな会社にも、似たような状況はあると思います。部長や課長のポジションにずっと居座っている人がいる…という状況。特に、映画館はこの状況になりやすい構図なのかもしれません。
映画館で働きはじめて、最初の3〜4年は誰しも「初めての異動」を待ちながらワクワク仕事をしているものです。
ですが、最初の異動で別の劇場へいき、また異動で別の劇場へいき…を繰り返していると、あることに気付きます。
「あれ…?これ、自分だけじゃなくて、同僚や先輩方も同じように異動でグルグル回ってるだけなんじゃ…」と。
映画館は1つの劇場に、だいたい支配人が1人とマネージャーが4〜6人くらいいます。このマネージャーたちが、いくらグルグル異動しても、「支配人」という席は限られています。
支配人の次のステップである「本社」の椅子も当然限られているので、思うようにステップアップ出来ない時期があります…。
これは、向上心がある人ほど”辛い”と感じるかもしれませんね。
勤務はシフト制で平日が休み
これは、入社前に誰しも理解して入るのですが、実際に働いてみると辛い部分があります。
特に、入社してすぐのマネージャーは年齢的にも20代前半で遊び盛り。友達からの誘いも多く、辛い思いをすることもあります。
ぼくも、何度結婚式の招待を断ったかわかりません…
もちろん、絶対に土日に休みが取れないというわけではないのですが、あまりに土日に希望休が多いと、恐らく支配人から喝が入るでしょうね。
ちなみに、夏休みや年末年始などの大型連休は、カレンダー通りには絶対に休みが取れないので、そのつもりで!
同僚は、劇場の金庫室で年越しをしましたし、ぼくは元旦の朝5時から仕事をしてました!!
現場の仕事と自分の仕事
マネージャーの一番の仕事は「円滑な劇場運営」を行うことです。何を差し置いても、それを最優先する必要があります。
スタッフだけで対応出来ないような混雑があった場合には、現場に降りて接客しなければいけませんし、トラブルがあれば対応に行かなければいけません。
その傍らで、現場以外の「自分の仕事」というものがあります。
自分が担当するセクションの業務や、その日のシフトに応じた「早番」「遅番」の業務のことです。マネージャーは、このバランスが上手くとれないと大変なことになってしまいます。
現場ばかりに集中して自分の仕事が進まないと、めちゃくちゃ残業しないといけませんし、現場を放っておくとお客様やスタッフからの信頼を失います。
特に忙しいシーズンは、このバランスが難しいですね…
勤務時間
勤務形態でなんとなくイメージを掴んで頂いたところで、続いてはもう少し具体的な勤務時間についてです。
少し想像するだけで、わかりそうですが、ここにも辛いと感じる一面があります。
忙しいと帰れない(帰りづらい)
これは、特に早番のマネージャーに起きやすいことです。
早番マネージャーの1日をご紹介した際にも触れたのですが、自分が退勤のタイミングになっても劇場がバタバタしていると、ちょっと帰りづらいです…
↓「早番マネージャーの業務」はこちらからご覧頂けます。↓
特に、マネージャー全員が現場にヘルプで降りてるような状況で、事務所には退勤しようとしている早番の自分と支配人だけ。そんな時に電話でも鳴ろうもんなら、出てしまいますよね…?
もちろん、時間通り帰っても問題はないのですが、みんなで協力して劇場を運営しているので…ねぇ??
出勤時間より早く行かなければならない
次のこれは、逆に遅番のマネージャーに起きやすいことです。
↓「遅番マネージャーの業務」はこちらからご覧頂けます。↓
例えば自分の出勤時間が規定では16時になっていたとします。ただ、15:30〜上映スタートの超大作が前日の時点で満席、誰がどう考えても劇場が混雑することがわかっていたとしたら、みなさんはどうしますか?
やはり、ぼくは少し早めに行って、その混雑に備えられるようにしていましたね。
もちろん、サービス残業みたいなことはなく、しっかりと残業手当はもらっていましたが、こういうのも”辛い”と感じるポイントになり得ますよね。
深夜しか出来ない作業がある
これは、特に映写の担当マネージャーが多いかもしれません。
劇場の営業が終了して、お客様がいなくなった状態でしか出来ない作業というものがいくつかあります。
例えば、ロビーのポスターや大きなスタンディの入れ替え、チケットでも発券システムの入れ替え・更新などなど、いわゆる「深夜作業」とされるものが、いくつかあります。
その中でも「深夜作業」が最も多いのは映写関連です。例えば、映写機やスポーカーなど大きな設備の入れ替え、上映用データのインストールなどなど。毎週といっていいほど、何かしらの「深夜作業」があります。
その結果、映写の担当マネージャーはシフト的にも「遅番」中心になり、生活のリズムが夜型になります。朝方帰って、お昼起きて、夕方から深夜まで仕事…みたいなことですね。
これは、シンプルに身体的に結構”辛い”ものでした。
人間関係
最後になりましたが、誰しも悩んだことのある、この人間関係について見ていきたいと思います。
映画館で働く人たちの人間関係は、結構面倒なことが多いです。
社員同士の人間関係
映画館というと、多くの人が働いているように思う方も多いかもしれませんが、その中核を担う社員はほんの数名です。
ここの人間関係が一度こじれると、結構面倒臭いです…
映画館は閉鎖された空間で、他の仕事と違って外出などがないため、必ず顔を合わせますし、勤務中はずっと同じ空間に同じメンツがいます。
さらに厄介なのは、支配人の作る空気感によって、職場の環境はガラッと変わることです。
私語を禁止するようなところもあれば、逆にわいわいコミュニケーションを取るようなところもあります。
その空気が自分の働きやすい環境であれば良いのですが、なかなかそう上手くもいきませんし、異動もあります…少し考えただけで、ちょっと嫌になりますよね。
スタッフとの人間関係
ここには細心の注意を払わなければいけません。
ぼくが考える、マネージャーの仕事のなかではダントツ1位でこれが大事です。
「劇場を円滑に運営する」のに必要なのは”スタッフの協力”です。信頼がなく、指揮能力も低いマネージャーには誰も付いてきてくれません。
コミュニケーションの取り方は人それぞれですが、時には厳しく、時には優しく。スタッフと適度にコミュニケーションを取って、良好な人間関係を築くことが、マネージャーとして成長する第一歩です。
優しいだけでもダメ、厳しいだけでもダメです。こういったコミュニケーションが苦手な人は、”辛い”と感じることも多いでしょう。
スタッフ同士の人間関係
ここもマネージャーとしては把握しておく必要があります。
スタッフには学生も当然いますので、そこでは自然と恋愛も発生します。そして、恋愛が発生するということは失恋も発生します。
これを全て把握する必要はありませんが、スタッフ1人1人の状況をおおよそ把握しておき、うまくシフト調整してあげるのも、マネージャーの資質だと思います。
そういう人間関係をかき乱すような輩もまれにいるので、そういう輩には目を光らせておいた方が良いです。
仲の悪い人同士が、現場で上手に協力して接客するはずありませんからね。
最後に
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
【映画館で働くということ。】今回は「辛い仕事編」をお届けしました。
どんな仕事でも、”辛い”と感じることはあると思いますが、必ず”楽しい”と感じること、やりがいもあります。映画館の仕事も当然楽しいこと多いです。
↓次回の「楽しい仕事編」はこちらからご覧頂けます。↓
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