『キャプテン・マーベル』がつまらないと思った方へ。感想や解説

みやざわ支配人

待ちに待ったMARVELの新作映画、『キャプテン・マーベル』!初日初回のチケットをゲットして眠い目をこすって観たのですが、なぜか肩透かしを食らってしまいました。凄く薄味なうえに、なぜかあまり記憶に残らない…。これ、同じMARVEL作品で前にもあったような…。

『キャプテン・マーベル』について

まずは作品の大枠から。

ストーリー

1980年代、まだ「アベンジャーズ」が結成される前の出来事。宇宙から降ってきた記憶が曖昧な宇宙人ヴァースは、地球でS.H.I.E.L.Dのニック・フューリーと出会う。一体彼女はどこから来たのか?また、彼女のパワーの源は?

MARVEL作品初の女性ヒーローが主演の本作、衝撃的な結末の『インフィニティ・ウォー』とどう繋がっていくのか。

割引・入場者プレゼント

入場者プレゼントはユナイテッド・シネマ限定となっており、先着順ですのでお早めに!

前売り券あり(ムビチケ)
サービスデイ等劇場による
入場者特典4枚組ポストカード(ユナイテッド・シネマのみ)

入り具合

初回初日の回は平日の朝とあり、半数くらいしか埋まっていませんでした。その後も公開初週の週末は多くて半数とまちまち。

混雑予想と上映終了予測

 

では続いて今後の混雑予想です。

混雑予想

恐らくそれほど混雑しません。平日昼の回ですと、かなりゆったりと観れるでしょう。平日夜の上映回はそこそこ混雑が予想されますが、多くて座席半分くらいではないでしょうか。

上映終了までの期間予測

『キャプテン・マーベル』は『アベンジャーズ/エンドゲーム』への繋ぎのような立ち位置になってしまっているので、『アベンジャーズ/エンドゲーム』公開日の4/26までには上映終了している劇場がちらほら出てきそうです。と言ってもあと1ヶ月…この入り具合では早ければ4月頭に上映が終わってる劇場もあるかもしれません。

『キャプテン・マーベル』感想※ネタバレあり

 

記事冒頭では少しマイナスイメージな感想を言ってしまいましたが、ここでがっつりと感想を書いていきたいと思います。※ここから先はネタバレを含みます

4次元キューブとか出てきちゃう

さて、色々と言いたいことはあるのですが、まずはここから。MARVEL作品に続けざまに登場していた4次元キューブこと『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でサノスが手にしたインフィニティ・ストーンの一つであるスペース・ストーン。『アベンジャーズ』、『キャプテン・アメリカ/ファーストアベンジャー』など、インフィニティ・ストーンの中では最も登場回数が多いのではないでしょうか。

本作『キャプテン・マーベル』では、彼女がこの4次元キューブのエネルギーを使った作られた飛行機のエンジンの爆発の影響により力を得たことが明らかになります。つまり、インフィニティ・ストーンの一つであるスペース・ストーンがキャプテン・マーベルの力の源。

MARVELにはインフィニティ・ストーンにより特殊能力を得たキャラたちが多くいますが、その中でも一連のマーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)ではマインド・ストーン(ヴィジョンのデコにあったやつ)によってワンダ・マキシモフ(スカーレットウィッチ)やピエトロ・マキシモフ(クイックシルバー)が石により特殊能力を得て『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で活躍していました。

同じインフィニティ・ストーンから特殊能力を得たのに、キャプテン・マーベルとこんなに力の差が出るんですね…。本作のキャプテン・マーベルはほぼ無敵。宇宙でも飛び回るし、宇宙から落ちても平気な顔してるし。ハルクにソー、キャプテン・マーベルと揃えば映画のサノスなんて余裕なのでは…と力のインフレを感じて、少し冷めてしまったのが、『キャプテン・マーベル』をつまらないと感じてしまった一つの要因です。

というかフューリー、『アベンジャーズ』のときも『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のときも早めに彼女呼んだ方がよかったのでは…?キャプテン・マーベルが地球を去った理由も、そこまで重要な任務である印象も薄く、何がフューリーを焦らさせていたのかあまり明確になりませんでした。

ロナンは何だったのか

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に登場したヴィラン(悪役)であるロナンが再登場!と聞いたときは興奮しました。もちろん時代設定が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』より前なので、若いのですが。

相変わらずのサイコパスっぷりで、クリー人の爆撃担当みたいな立ち位置でしたが、登場シーンはわずか数分。しかも最後は覚醒したキャプテン・マーベルに尻すぼみして帰っちゃった。なんだそりゃ!

もうちょっとキャプテン・マーベルとの戦闘とか入れて欲しかった…。というか先述の通り、キャプテン・マーベルは地力が強い上に、クリー人で、キャプテン・マーベルの師匠的な存在のヨン・ロッグにその力を制御されていて、物語後半でこの制御を打ち破って覚醒するのですが、もうその時点で劇中のどの敵も彼女の相手にならない。そんな中ロナンが健闘…とか、ヴィランに花を持たせてやってください!

記憶を辿るサスペンス要素がマイナスに

さらに言うと、『キャプテン・マーベル』において、彼女自身の記憶を巡って本編は進んでいくのですが、このシーケンスが快活な物語の邪魔になってしまっています。これは決して悪い意味ではないのです。

劇中何度も、ブリー・ラーソン演じるキャプテン・マーベルことキャロル・ダンヴァースが空軍のパイロットになる過程が描かれています。女性だから、という理由で貶されたり、それを発散するようにカラオケで騒いだり。時代設定も合間って、『トップガン』のようなシーンが多くあるのですが、これだけで映画一本作れんじゃん!というほどそっちも観たい!観せてくれ!体操服のブリー・ラーソン可愛い!

このように詰め込みすぎにより、本来のキャプテン・マーベルとしてのヒーローの物語がやけに薄く感じてしまい、キャロルの親友であるマリアもやけに薄味。感動の再会も、記憶を失くしているため「誰あなた」状態。この映画の公開前にNetflixとかでキャプテン・マーベルが記憶を失うまでのドラマとかやってくれたらよかったのに…。

間の物語だからこそ

こういった力のインフレや、ヴィランの魅力の無さはどうしても仕方のないことなのです。10年以上かけて、20作以上の映画を一本の軸で繋げようとするMCUにおいては、どうしてもこういった作品間の祖語や薄味の作品がでてきてしまいます。

『キャプテン・マーベル』を観終わって感じた既視感は、『アントマン&ワスプ』を観た時に感じました。『アントマン&ワスプ』も、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の後に公開された映画であり、MCUの系列としては、インフィニティ・ウォーの衝撃が尾を引いて、どうしても”間”の物語に感じてしまうのです。

ただ、『ドクター・ストレンジ』のときもそうですが、これを『アイアンマン』のような単発の第一作と捉えるのであれば、そこまでつまらないとも感じなかったはず。フューリーの片目や、アベンジャーズの名前の由来など、今までのMCUの小ネタの伏線の回収に徹してしまっているのも、この作品の魅力を削ってしまっている点になっています。

つまらないと思った方へ

登場人物の力のインフレ、MCUの小ネタの多さなど、『キャプテン・マーベル』が単一の作品としての魅力を大きく損なう要因は多くありましたが、それより何より、エンドクレジット後のおまけ映像を観た瞬間にあることに気づきました。

ラスト映像では、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の後にキャプテン・アメリカやローディー、ナターシャ、バナーがアベンジャーズの施設内でオロオロとしているところから始まります。そんな中、フューリーが最後に送信したキャプテン・マーベルへの信号を発していたポケベルの電源が落ちてしまいます。(彼らはポケベルをすでに手にしていた)

ナターシャが「フューリーの考えよ、きっと何かあるはず」と後ろを向いた瞬間、そこにはキャプテン・マーベルが。アベンジャーズとの合流の瞬間を描いたおまえ映像でした。

これが流れたあと、「あ、僕は『アベンジャーズ/エンドゲーム』を観るためにこの映画を観てたんだ」と気づいてしまい、それこそアメリカのドラマを観ているような、「続きが気になる地獄」に陥っていました。いや、別に悪いことではないんですが、それによって一つの作品を観る目が濁っているのなら、MCUのような映画の作りもちょっと考えものだな…と後悔。いや、好きですよMCUは。

だから多分、『キャプテン・マーベル』が「つまらない」と感じてしまった人は、どっぷりとMCUにはまるあまり、僕のような一番豪華なメインディッシュである『アベンジャーズ』シリーズに気をとられすぎているかもしれません。

だけどブリー・ラーソンは素晴らしい

とは言っても、キャプテン・マーベルことブリー・ラーソンは素晴らしい女性ヒーローでした!彼女の持つ勝気な顔立ちや、余裕のある笑顔がすごくマッチしていて、『ワンダーウーマン』もよかったけどこっちもすごくいいな、またこの人を劇場で観たい、という気持ちは残っています。

また、『ブラックパンサー』でやってのけた黒人スタッフによる黒人ヒーローの超面白い映画もそうですが、『キャプテン・マーベル』のように女性スタッフによる女性ヒーローを描くということ自体が、今の映画業界や社会にとって、今のエンターテインメントを引っ張っているMARVELがやること自体に、意味があると思います。

作品自体は…またMCUがひと段落したら観直してみます。

それより、ジェームズ・ガン監督が復帰だ!

 

この記事執中に朗報が!

復帰確定の流れ

なんと、過去のTwitter発言が問題視され、ディズニーより解雇されていた、同MCU作品『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』監督のジェームズ・ガンが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー.vol3』の監督に再雇用されたそうです!

なんでも、解雇を決定したディズニー会長とあれ以降何度も話し合い、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のキャスト全員の声明文やファンの署名の効果もあったのか、再雇用が決定したそうな。

この一連の事件があったときはかなり凹みました。その当時の記事はこちら。

人々が映画を観に行く理由。ジェームズ・ガン監督の騒動から考える

2018年7月22日

エドガー・ライト監督も大喜び

僕は日本のニュースで流れるより早く、Twitter上のエドガー・ライト監督のツイートにてこのことを確信。ガン監督とメッセージでやりとりをしています。


何にせよ、『アベンジャーズ/エンドゲーム』でMCUがひと段落した後の作品群に対する期待がさらに高まる嬉しい出来事です!




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わたしが書きました。

with Theaterの支配人です。
7年間大手シネコンで劇場マネージャーを務めたのち、デザイン・マーケティングの仕事を経て独立。今でも映画館の仕事は素敵だと思っています。尊敬する人物はジャッキー・チェン。仕事でトム・クルーズに会った時に緊張し過ぎて顔が白くなった経験あり。