あれ、ダニーってそうなったの?『オーシャンズ8』レビュー!ネタバレ含む

みやざわ支配人

『オーシャンズ』シリーズと言えばスティーブン・ソダーバーグ監督の代表シリーズでありながら、個人的にも好きな作品の一つでした。ド派手なアクションは無いけれど、キャラとキャラの絶妙な距離感やラストの種明かしで一気に引き込まれました。

そんな『オーシャンズ』が女性版キャストで一新って!こりゃ観るしかない!レビュー、いってみたいと思います。

ハリウッドの”女性版”映画

 

昨今増えつつある女性版キャストの映画について。

ネタバレなしの解説はこちらまで。

過去作との繋がりは?『オーシャンズ8』ネタバレなし解説

2018年8月17日

『ゴーストバスターズ』然り

最近のハリウッド事情として、第90回アカデミー賞授賞式で『スリービルボード』の主演女優フランシス・マクドーマンがスピーチしていたように、ハリウッド業界の女性の少なさが目立っています。それは映画作品にも言えることで、女性のキャストの割合、女性主人公の映画の少なさが提起されてきました。

そういった事情を受けて、最近のハリウッド映画では女性をメインにした映画やドラマ、女性監督やスタッフの雇用が促進させれいます。まだまだ十分に平等に機会が与えられている訳ではありませんが(日本はもっと遅い)、『ゴーストバスターズ』のリブート版の様に女性メインに置き換えた作品が頻出しています。

女性メインのおすすめ作品

しかしなかなかこの女性版リブートというのはそこまで上手いこといってないんですね。リブート版『ゴーストバスターズ』も次回作が作られる基準である制作費の3倍の興行収入はあげられなかった。女性版も男性の僕らとは異なる視点で観れるからとても面白いのですが、安易に女性に置き換えただけでは作品の面白さが劇的に変わる訳でも無いので、結構難しいところ。

そんな中で健闘しているのが、『ワンダーウーマン』やドラマの『スーパーガール』。特に『スーパーガール』の主演のメリッサ・ブノワは滅茶苦茶可愛くて、コメディも効いてておすすめです。女性メインのキャストといえば、今はスーパーヒーローものと相性がいいですね。

個々の深堀は無い

『オーシャンズ11』の時もそうだったのですが、『オーシャンズ』シリーズはそこまでキャラを深堀しません。何せメインの登場人物も多いです。そう言った点を楽しむ映画とままた違うのですが、『オーシャンズ8』もキャラの深堀はあまりしません。

だから『オーシャンズ』シリーズの醍醐味として挙げられるのは、壮大なタネ明かし映画なのですね。

壮大なタネ明かし映画として

 

ではタネ明かし映画とはどう言ったことなのでしょうか。

『オーシャンズ11』もそうだった

種明かし映画と述べましたが、これはつまり、”実はこうやって盗みました”とか”こんな狙いもありました”的な観客を騙しつつ、計画に沿って主人公たちが強盗を行います。計画の概要は観客にも知らせられるけど、最後の肝の部分、タネの部分はラストにならないとわからないんですね。

これって結構リスキーで、「後出しジャンケンじゃん!」って言われてしまう可能性を持っています。でもスティーブン・ソダーバーグ監督の映画は細かな描写を積み重ねることで、後出しではなくしているんですね。

『グランドイリュージョン』のような

タネ明し映画の一つである『グランドイリュージョン』。これもマジシャン兼強盗の主人公たちが盗みを働くのですが、明かされないタネがあったり、映像で魅せることに専念しすぎて地に足がついてない行動をとったりと、非常に微妙な内容でした。

そんな『グランドイリュージョン』と比べると、やはり『オーシャンズ11』は面白く、タネが明かされるまでのドキドキ感と、そこに至るまでのトラブルを含めたプロセスが見ものでした。

ハサウェイのゲロをしっかり観たかった

 

最後に『オーシャンズ8』の残念なところを。

どこか抑えられている

内容としては、ほとんど『オーシャンズ11』の焼き直し(リブートだから)です。強盗の計画は違えど、冒頭の出所するシーンや、主人公の(元)恋人が画廊だったり。『オーシャンズ』シリーズのエキスを抽出しながら、女性しかできない仕事や行動があったり、うまく女性に置き換えられていました。

しかしですね、せめてアン・ハサウェイのゲロはちゃんと観たかった。吐く瞬間にフレームアウトしちゃって、全く見れず。しかも吐き終わった後の顔が綺麗すぎるんですね。普通汗だく、涙目で化粧なんて落ちちゃいますよ。そう言ったどこか抑えられてしまっているところが、ちょっと残念なポイントでした。

『ローガン・ラッキー』のようにはいかず

スティーブン・ソダーバーグ監督の最新作『ローガン・ラッキー』は『オーシャンズ』を地味にした内容ですが、とても素晴らしい独特のテンポの映画になっていました。『オーシャンズ』もそうなのですが、こいつらやってることは基本的に犯罪で、ダメ人間が多いんですが、彼らが輝く瞬間、というのが映画中にあるんですね。

『オーシャンズ8』では、監督がそもそも違うのですが、そう言った”ちょっとダメなところ”というか、強盗はすごい腕前だけど、ちょっと抜けてる感じというのがあまり無くて、あーそんだけ優秀ならまあ成功するよな、と腑に落ちちゃった、まさに単なる「タネ明かし映画」になってしまっていました。

なぜか死んでるダニー・オーシャン

後最後にこれだけ言及しときたいのですが、『オーシャンズ』シリーズの主人公ダニー・オーシャンはなぜか死んだことになっています。過去作のメンバーが『オーシャンズ8』にはちょくちょく出てきているのですが、ダニーに関しては亡き人に。

多分、次回作とか作られたら「実は生きていました」パターンにはなるんでしょうけど、ジョージ・クルーニー自身が公式に『オーシャンズ13』でオーシャンズは卒業と言っているので、もしかすると死んだままかもしれません。なんか悲しい!




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with Theaterの支配人です。
7年間大手シネコンで劇場マネージャーを務めたのち、デザイン・マーケティングの仕事を経て独立。今でも映画館の仕事は素敵だと思っています。尊敬する人物はジャッキー・チェン。仕事でトム・クルーズに会った時に緊張し過ぎて顔が白くなった経験あり。