映画館に来て、チケットを買って、ポップコーンを買い、席につくと否応無しに始まる映画の予告。企業のCMなんかも流れ出す…。
映画を観に行けば誰しも経験する、「映画が始まる前の予告の長さ」。いてもたってもいられなくなって、トイレに行って戻ってくると本編が始まってる…なんてことも。
なんでこんなに映画の前の予告は長いのか?予告の種類や順番について、さらには映画が始まる前の予告を避けて映画本編だけを観る方法をこの記事で紹介します。
映画館で観る予告・CMの種類
「予告なんてうざいし…」そう言う前に、映画本編前の予告について知ってみましょう!通常流れる予告の順番通りに、予告やCMの種類についてまず解説します。
幕間映像
この映像自体は、映画の予告時間として含まれません。幕間とは、劇場の幕が閉まっている間、つまり観客が舞台やスクリーンを観ることがない時間を言います。映画館で言えば、上映と上映の間の時間と言うことです。普通はスクリーンに何も写っておらず、次の上映への準備が進められる時間なのです。
しかし最近、この幕間の時間にも予告映像を流している劇場が多々あります。代表的なのはTOHOシネマズですね。幕間の時間に東宝シンデレラガールの山崎紘菜さんが様々な映画情報を紹介しています。他にはポイントカードのお得情報だったり、各劇場のオリジナル構成になっています。
実はこれ、デジタル上映になってから出てきたものです。フィルムで上映しているときはフィルムの交換があったため、この幕間の時間というのは全て準備時間だったのです。デジタルの場合はボタン一つでスタートでき、この準備時間がそもそも必要ないので、こういった幕間映像を出すことができるようになりました。
もう一つの理由として、フィルム上映の場合は映画本編のプリントの先頭に予告編をくっつけていたため、予告が始まる=フィルムが動き出す時間、のため本編に入る前に止めたり、早めにスタートしたりと微調整ができませんでした。
地元企業のCM
この予告からが所謂「映画の予告」の時間です。地元企業や大手企業のテレビで観るようなCMが流れます。これもデジタル上映に変遷するにつれ増えてきた予告で、データで上映する=フィルムを作る必要がないため、低コストで簡単にできるようになったのですね。
実は各地方の劇場で流れているCMは異なっていて、各劇場が映画前の広告枠として年間約数百万(変動あり)で募集しています。その地域の映画館に行く人は、だいたい地元の方が多いため、地元企業のCM映像が多く流れます。
だから正直に言うと、映像のクオリティーが微妙なんですよね…。折角映像の最たる質を提供する映画を観にきたのに、冒頭から棒読み&よくわからないオリジナルテーマソングを流されて興ざめてしまいますよね。
公開予定の映画の予告
これが一番気持ちよく観れるんじゃないですかね、公開前の映画の予告編です。全予告中で占める割合は大凡半分くらいでしょうか。
長くて3ヶ月先以上の公開予定の映画の予告編が流れます。実はこの映画の予告編にもいくつか種類があるのは知っていましたか?
- 特報(ティザー)・・・公開予定の映画の予告に先駆けて公開される映像です。本編映像があるものから、本編映像は無しでテロップだけ、と言うものもあります。特報はそこまで長くなく、1分弱で構成されていることがほとんどです。
- 本予告・・・こちらは特報と違い、映画の本編映像を編集したものです。長さは1分〜3分。本予告自体も何種類かあって、公開が近くにつれ本編の露出が多くなる傾向にあります。
- コメンタリー予告・・・映画に出ている俳優や、洋画の吹替を担当しているタレントが映画について紹介する映像です。だいたいこのコメンタリー映像の後にその映画の予告が流れます。ちなみに、その映画の配給会社が映画館も経営している場合にこういった映像が流れることが多いです。自社の映画なので宣伝に力を入れてるんですね。
ざっとこんな感じです。一概に公開予定の映画の予告といっても、これだけ種類があります。ちなみに映画館で働く映写技師は、フィルム時代はこの予告編を常に手作業で編集していました。新しい予告がくると差し替えたり、デジタルの今では画面一つでできることを慎重な作業が伴う業務としてやっていたのです。
マナー喚起映像
これが最後に流れる予告映像です。その劇場のオリジナルキャラクターなどが、携帯電話の電源を切ってくださいや、飲食物の持ち込みは禁止ですや、お喋り、前の座席を蹴るのは禁止ですなどのマナー喚起を行います。
その後、映画本編の直前に必ず流れるのが、あの有名な”映画泥棒”の映像です。映画を撮影してネットにアップロードしてはいけませんよーと言う映像ですね。ちなみにこれらは”ポリシネ”と呼ばれています。
以上が、映画の予告の種類についてです。予告が流れる順番で紹介しました。
なんで予告がこんなに長いの?
では予告の種類を紹介したところで、なぜこんなに予告が長いのかを説明します。確かに、数年前までは(シネコンが主流になる前)、予告はここまで長くはなかったですが、一体どういった変化があったのでしょうか。
理由1:次の作品の上映時間との調整
シネコンが主流になってきたため、複数のスクリーンで複数の作品を上映する映画館が増えました。そのため、同じシアターで違う作品を上映する場合など、作品の上映時間が異なるため、調整が必要です。なるべく回数を多く上映するために、予告を長くしたり、逆に短くしたり…。
理由2:人気作品は予告が長くなる
次に人気作品についてですが、これは単純に興行収入が見込める=動員が多い映画になりますので、その分企業側、映画配給会社側のアピールも効率よく行えるため、予告が長くなりがちです。ちなみに終了間近の作品や人気のない作品は逆に予告が短かったりもします。
あと、映画自体の予告は、上映される作品ごとに入るであろう客層を狙って組まれています。子供向け作品の場合は、子供向けの予告が多くなったりしています。
理由3:テレビの様に、CM広告代を貰っている
最後の理由ですが、これがここ数年で出てきた手法です。映画の上映だけでは中々映画館の運営が厳しくなってきましたので、映画が始まる前に企業のCM枠を設けて、そこの広告代で映画館が収入を得ています。テレビのCMのようなイメージですね。
この広告枠は各映画館が地元の広告代理店などを通して募集しているため、地元企業のCMが多くなっています。地方局のCMのような感じなので、結構クセの強いCMが多いです。
以上が予告が長くなってしまう理由です。企業CM、公開予定作品の予告を上映時間の調整や人気作品に合わせて構成していると、どうしても15分以上の構成になってしまいがちです。次にこの予告の長さについて少し説明します。
予告の長さは作品で変わる
続いて予告自体の長さについてです。予告の長さは全上映作品で均一ではなく、それぞれで異なっています。大体どれくらいの長さがあるのでしょうか?
目安は15分
多くの作品は企業CMを合わせて、大体15分程度です。最初の数分が30秒〜1分の企業CMがいくつか流れ、そのあとに公開予定作品の予告が始まります。この予告が短いもので1分で、長ければ3分くらいありますので、これだけで10分くらいは流れています。
予告が5分ちょっとの映画も
逆に極端に予告が短い作品もあります。同じシアターで次の作品の上映時間との調整や、あまり人気のない作品は企業CMの後に公開予定作品の予告を一本流して、マナー喚起映像が流れ、本編突入、なんてこともあります。
ではこれらの予告映像の時間を知って、効率的に映画を鑑賞するにはどうすればいいのでしょうか?
予告・CMを観たくない時の対処法
予告が長くて嫌!本編から観たい!という方も少なからずいるはず…。そういった方に、予告時間を知って気持ちよく映画を鑑賞する方法をお伝えします。
スタッフに聞いてみる
まず単純に、劇場スタッフに聞いてみてください。チケットやフロアにいる劇場スタッフは予告時間も記載された上映スケジュールを必ず持ち歩いていますので、聞いてみると具体的に何分か教えてくれます。チケットを購入する際などに聞いてみるといいかもしれませんね。
予告の時間を加味して入場
予告の時間構成などを述べてきましたが、最初に流れる企業CMは必ず入っていますので、その約数分程の時間と、仮に一番短い予告時間だとしても、プラス公開予定作品の予告一本流れてもが3分程度なので、上映開始時間から5分後くらいはまだ本編に入っていないことが多いです。
ですからこれくらいの時間を加味して入場すると、予告を見ずに本編から見ることができます。ただし、予告が始まった時点で館内が暗くなってしまうので、席が非常に見つけづらいです。よっぽど上映開始ギリギリに到着しない限り、5分くらい我慢して座っていることをお勧めします。
本などを持っていく
予告が煩わしい時は、他のことをしててもいいですね。ただし、予告が進むにつれ館内はどんどん暗くなっていきますので、スマホはNGですよ!本などを持っていったり、劇場で配布している冊子などを見て時間を潰しましょう。僕も、興味ない予告が流れている間は大体読書をしています。
まとめ
映画の予告時間は長くて20分、特殊な上映以外は最短でも5分となっています。これを知っておくだけでも、例えばポップコーン売り場の行列に並べるかどうか、ギリギリに着いてしまって本編に間に合うかの判断がつきやすくなります。
本編が始まってからの入場は、周りのお客さんにも迷惑ですし、自身も見逃してしまうのは嫌ですよね。予告の構成を知って、有意義な映画鑑賞をしましょう!