『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』タイカ・ワイティティ監督の傑作モキュメンタリー

みやざわ支配人

先日『マイティ・ソー/バトルロイヤル』が公開されました。
大作映画の監督に選ばれたのは、コメディアンでもあるタイカ・ワイティティ監督。彼の日本公開されていた数少ない映画の一つです。

そんなタイカ・ワイティティ監督(何回も言いたくなる名前)ですが、今回紹介する『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』。
モキュメンタリー形式の映画となっています。
モキュメンタリーって?今までのヴァンパイア映画とはどう違うの?
様々な角度で紹介していこうと思います。

ストーリー紹介

 

ヴラド、ヴィアゴ、ディーコンそしてピーターは数百年生きる吸血鬼(ピーターは2000歳)。4人仲良く一つ屋根の下でシェアハウスをしている。
そこへあるカメラが潜入。彼らの生活を追う。
平和に生活していた彼らだが、大学生のニックをピーターが噛み、彼も吸血鬼に。
ニックが入ったことで今まで行けなかったクラブやバーに行けるようにはなったが、段々と4人の秘密の生活が壊れていく…

モキュメンタリー映画とは

 

モキュメンタリー映画。なかなか聞きなれない言葉だと思います。
英単語のmock(意味:擬似、あざ笑う)とドキュメンタリーを掛け合わせた言葉です。
つまり、ドキュメンタリーを模した、ドキュメンタリー風のフィクション映画ということです。
代表作品には何があるのでしょう?
少し挙げてみましょう。

『食人族』・・・・・1980年/イタリア
人が人を食うというとても恐ろしい映画です。最近はイーライ・ロス監督が『グリーン・インフェルノ』という映画をこの映画からインスピレーションを受けて作りました。面白いので是非。
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』・・・・・1999年/アメリカ
約600万円の制作費で作られ、全世界で約200億円を売り上げたホラー映画です。モキュメンタリー形式では一二を争うほど有名です。
『パラノーマル・アクティビティ』・・・・・2009年/アメリカ
言わずと知れたホラーの大ヒット作。こちらは『ブレアウィッチ・プロジェクト』よりも少ない約150万円という超低予算で作られ、約200億円の興行収入を達成しています。
『大日本人』・・・・・2007年/日本
松本人志監督の作品です。すいません、未見ですがこれもモキュメンタリー形式のようです。
『トロール・ハンター』・・・・・2010年/ノルウェー
学生がトロール・ハンターと彼が狙うトロールを目撃する映画です。大きなトロールがあたかも現実にいるかのように表現されています。凄い。

これくらいでしょうか。
他にもウディ・アレン監督の作品などでもあるのですが、今回はこれくらいで。
さて、モキュメンタリー映画の特徴ですが、
・低予算
・学生などが主人公
・ホラーが多い(ロケ場所が少ない)
・手持ちのカメラで撮影出来る
となります。
そうなのです。モキュメンタリー形式というのは、低予算でも、実際に観ている側が体験している(ドキュメンタリーのような)距離で映画を作れるため、共通点が多くなっています。
しかし、どれも二番煎じという訳ではなく、とても面白い作品が多くあります。
そして今回紹介する『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』。モキュメンタリーとしては例外的なコメディ映画となっています。

今までのヴァンパイア映画と何が違うの?

 

ヴァンパイア映画と聞いて何が思い浮かぶでしょうか。
1922年に作られたヴァンパイア映画の元祖であるドイツ映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』、イギリスのテレンス・フィッシャー監督による1958年公開の『吸血鬼ドラキュラ』、ヒュー・ジャックマン主演の『ヴァン・ヘルシング』、みんな大好き『ブレイド』シリーズ、ティーンズが大好き、『トワイライト』シリーズ。
吸血鬼を題材にした多くの映画はホラーであったり、アクションであったり、恋愛であったりします。
その中で切り込み番長的に吸血鬼×コメディで掛け合わせている『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』はかなり異例となります。
吸血鬼が現代に生きていたら?という内容を面白おかしく作っています。
この映画の何が面白いって、世に存在しないものを真剣に考えて、それを客観的に見て笑う。自分を笑う。こう言う映画はとても好きです。

ちなみにヴィアゴを演じるのは監督本人。イケメンです。

いかがだったでしょうか、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』。




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with Theaterの支配人です。
7年間大手シネコンで劇場マネージャーを務めたのち、デザイン・マーケティングの仕事を経て独立。今でも映画館の仕事は素敵だと思っています。尊敬する人物はジャッキー・チェン。仕事でトム・クルーズに会った時に緊張し過ぎて顔が白くなった経験あり。