バイトテロは映画館でも!?炎上しかけた事件・事故。

みやざわ支配人

最近メディアでも大きく取り上げられて、何かと世間を賑わせている『バイトテロ』。

アルバイトを雇って仕事をしている人たちは、自分たちが雇っているアルバイトが起こす事を考えると本当に怖いですよね…

映画館もアルバイトをたくさん雇って劇場運営をしているので、例外なくバイトテロが起こる可能性はあり、過去にぼくも冷や汗をかいた経験多数です。

今日は、そんな映画館でも起こる、アルバイトによる事件・事故を実体験に基づきご紹介しようと思います。

その前に…

 

「バイトテロ」という、一歩間違うと大きな問題になる題材を扱うので、本文に入る前にお伝えしておきたい事があります。

必ず読んで、ご理解いただいたうえで本文に入ってほしいです。

そもそも「バイトテロ」とは…

バイトテロとは、主にアルバイトなどの非正規雇用で雇われている飲食店や小売店の(正社員も含めた)従業員が、勤務先の商品(特に食品)や什器を使用して悪ふざけを行う様子をスマートフォンなどで撮影し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿して炎上する現象を指す日本の造語。

発生した企業・店舗(およびグループ会社・同業者全体)に対する社会的なイメージダウンを引き起こすのみならず、返金や商品の返品・交換および消毒、最悪の場合は発生した店舗の(フランチャイズ)契約解除や閉店に伴う巨額の損害賠償の請求も発生することから「アルバイトによる、テロ行為」として「バイトテロ」と呼ばれる。

引用:Wikipedia

Wikipediaにもある通り、アルバイトによるテロ行為という意味の言葉で、禁止行為や悪ふざけを撮影し、それをSNSに投稿することを指します。

大半の映画館ではスマホなどを現場に持ち込む事を禁止しており(もちろん映画館以外でもそうだとは思いますが…)、チェック体制も厳しいことから、今のところ映画館でバイトテロがあったという情報は耳にした事がありません。

「ダメ。ゼッタイ。」です!

ここで紹介する内容は、もちろん禁止行為です。実際に、ぼくの体験談の中でも罰則を与えたスタッフもいます。

今、映画館でアルバイトをしている方々は、「こんな事できるんだ。」「今度やってみよう。」という間違った発想は持たないようにしてください。昨今の状況ですから、きっと社員も目を光らせています。

逆に、社員として勤務されている方々は、ここで紹介する内容を教訓と捉えて、同じような事がご自身の劇場で起こらないように意識して頂けたら幸いです。

映画館でのバイトテロ

 

それでは本題です。

ここからは、ぼくの実体験も含めて、映画館で起こり得るバイトテロについてご紹介していきます。

無銭飲食

コンセッションを有している映画館ですから、他の飲食店と同じようにバイトテロが起きる可能性があります。

厨房での悪ふざけ…みたいな事はありませんでしたが、残念ながらコンセッションでの無銭飲食はありました。恐らく、結構な数の劇場がこれで悩まされているはずです…

自分たちの勤務時間中にポップコーンを食べるっていうのも当然ダメなんですが、タチが悪い場合には、映画を観に来た友達に無料で提供してたり、自分が映画を観に来て無料でもらってるパターンもあります。

これは本当にタチが悪いですね。組織的にテロを起こしているという事です。

コンセッションでの無銭飲食。ダメ。ゼッタイ!

情報漏洩

社員からすると最も恐れているのが、この「情報漏洩」です。

映画館には、一般公開前の社外秘情報が山のように届きます。

「●●が主演の恋愛映画が来年の夏に公開」「●●というアニメ作品の前売り券が来月から発売」「●●の入場者プレゼントはコレ」などなど。本当にたくさんの情報が届きます。

これらの情報は、芸能事務所や配給会社が、いつから一般公開と決めているものです。大切な広告の戦略でもあるでしょうし、スポンサー契約などの絡みもあります。

これが何らかの原因で漏れてしまった場合、その系列劇場での上映がなしになるような場合もあります。そうなると莫大な利益損失になるのは言うまでもありません。

また、それ以降に配給会社との契約も厳しくなったり、入場特典などが割り振られない劇場になってしまったり…悪い連鎖は続くばかりなんです。

実際に、ぼくも情報漏洩の影響で、本来あった入場者プレゼントがなしになったシーンを見て来ました。一番悲しむのは、それを楽しみにしていたお客様です。1人の欲求のために大勢に迷惑を掛けることになるんです…

映画館でアルバイトをしていると、そういう情報を耳にする機会があると思いますが…情報漏洩。ダメ。ゼッタイ!

チラシ・ポスターの持ち帰り

これは読んで字の如く。

映画館にはチラシやポスターがたくさん納品されます。

これらの宣材は、劇場での掲載が終わったら「裁断・破棄」というルールがあります。チラシは、一般の方も劇場で入手出来ますが、ポスターは関係者しか触れられませんので、転売を防ぐ事が目的です。

逆に、新作映画のチラシを掲出前に持ち帰る事が出来てしまうので、これもダメです。

特にジャニーズ関連作品やアニメ作品は、チラシ掲出初日でなくなってしまう事もザラにあるくらいで希少価値が高くなりがちです。

チラシ・ポスターの持ち帰り。ダメ。ゼッタイ!

友達を無料で入場させる

これも、残念ながら起こり得ます。

前提として、フロアスタッフがグルになってないと出来ませんし、見つかるリスクも非常に高いですが、上手く目を盗めば可能です。

本来なら、入場口を通るのにチケットが必要で、上映中もスタッフがシアター内に見回りに来るので、一般の方はほぼ不可能ですが、それを管理しているフロアスタッフが手を回せば出来ない事もないでしょう。

ただし、社員がいる事務所から監視カメラであらゆる場所が監視されているので不審な動きはキャッチされやすいです。

実際に、「あれ?今のお客さん、チケットもぎってなくない?」みたいな会話が事務所で為されています。特に入場口は、我々もかなり意識して見ているという事です。

友達を無料で入場させること…ダメ。ゼッタイ!

思い付いても出来ないこと

 

ここまでご紹介してきた行為は、実際にどこかしらの劇場で起こってしまった事件です。

これらが「バイトテロ」として当てはまるかはわかりませんが、その様子を動画でSNSなんかに上がってしまえば、きっとバイトテロして炎上していた事でしょう。しっかりと劇場の中だけで抑えられていたのは不幸中の幸いです。

ここからは、そんな危険な思想を事前になくすために、アルバイトスタッフが思い付いても管理上不可能である行為をご紹介しましょう。

お金関連

映画館にはチケット販売、グッズ販売、飲食物販売などでレジを数多く所有しています。当然、それに伴いお金が必要で、毎日たくさんのお金が動いています。

映画館で勤務したことのある人はわかると思いますが、映画館のお金は厳重に管理されており、二重三重にセキュリティが働いています。

お金関連でアルバイトが考えそうな事といえば、「レジ金の持ち帰り」です。もはや、今の時代はどこのお店でも不可能かもしれませんが、映画館でも当然不可能です。

レジに入ったスタッフは退勤の前に、必ず「レジ金チェック」を社員と一緒に行い、売上額とレジ金の確認をします。

ここで1円でも合わない場合は、その場で原因究明のために色々と調べることになるのです。

前売券の持ち帰り

劇場で取り扱っている前売券も、お金と同様の価値があるので、お金と同様に厳重に管理されています。

当日何枚売れたか、今の在庫は何枚か、毎日社員が管理表を使って管理しているので、1枚でも数が合わなければ、お金と同じく原因究明を行っていきます。

前売券と一緒に動く「前売り特典」も同様ですね。こちらも同じ体制で管理されています。

グッズの持ち帰り

グッズ売場で売られている映画のグッズも、納品の時点から担当社員が数を管理しています。

一般的な小売店と同じだとは思いますが、納品から返品まで、ほぼ毎日売上個数は管理されているので、異変があればすぐにわかります。

なので、バイトテロとは関係ないですが、万引きがあった場合もすぐにわかるようになっています。

ポイントの加算

多くの映画館が導入しているポイント制度。

貯めたポイントに応じて特典を受けられますが、そもそもポイントの加減算は社員と特定のスタッフにしか権限を与えられていません。

ポイントの機械自体は現場に置いてありますが、それを使ってポイントを加算しようとしても、スタッフには不可能なんです。

番外編

 

最後に、なんとも言えない番外編をご紹介します。

これはバイトテロではないかも知れませんが、そんなことあるんだぁ…という程度にご覧ください。

映写室で寝るスタッフ

その事件は突然やってきます。

フロアから「●番シアターの上映が始まってないんですけど!」と慌てた様子で連絡が入る。

急いで映写室に確認に行くと、映写窓の前でスタッフが寝ていました。

すぐに叩き起こし、上映をスタート。ほんの数分遅れだったので大事には至りませんでしたが、一歩間違えれば大惨事。とんだバイトテロでした。

虫を捕まえて保管

これは、もうシンプルバカです。

劇場に大きな蛾のような虫が舞い込んで来ました。

それを捕まえたのは良いのですが、なぜか透明のカップに入れて保管してたんです。しかも、お客様の目が届くところに。

「ぼく、昆虫好きなんで…」と言い訳をしていましたが、そんなの見る方は気持ち悪いし、そんな事のために売店のカップを使っているのもダメでしたね。

これは、いわゆる悪ふざけですね。

最後に

映画館でのバイトテロについて、ぼくが実際に見て来たものを中心ご紹介しました。

きっと、他にも劇場の社員を苦しめる事件・事故は起こっているものと思います。

本来は、アルバイトスタッフと一丸になって、より良い劇場運営を目指したいところですが、悲しいことに事件は起こります。

冒頭でもお伝えしましたが、映画館でアルバイトをしている方は絶対に真似しないように。きっと当初より敏感になっているので、罰則も厳しいものになるでしょう。

あなたが考えているより、もっともっと大きな問題になります。

映画館は素敵な空間です。その空間はアルバイトスタッフみんなの協力があって成立しています。悪ふざけなんかしてないで、みんなで一緒に素敵な空間を作りましょう。

映画館でのバイトテロが、これからも起きないことを願っています。




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わたしが書きました。

with Theaterの支配人です。
7年間大手シネコンで劇場マネージャーを務めたのち、デザイン・マーケティングの仕事を経て独立。今でも映画館の仕事は素敵だと思っています。尊敬する人物はジャッキー・チェン。仕事でトム・クルーズに会った時に緊張し過ぎて顔が白くなった経験あり。