レオナルド・ディカプリオ凄いですよこれ。ディカプーさん、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でもかなりイッちゃってましたけど、今回はやけっぱちな感じもします。
アメリカ西部開拓時代に生きた実在の罠猟師、ヒュー・グラスを題材にした映画です。出稼ぎに息子と共に毛皮狩りチームに参加していたディカプー演じるヒュー・グラスは、敵対する先住民を警戒するために一人前線調査に行きます。そこでグリズリーに襲われてしまいます。瀕死の重傷を負ったディカプー(多分死んでる)は、トム・ハーディ演じるフィッツジェラルドに足手まといと判断されまだ虫の息なのに埋められてしまいます。おまけに抵抗した息子を殺されてしまいます。目を覚ましたディカプーは、フィッツジェラルドに復讐をするために、身体を引きずりながら数百キロの行脚に出ます。
いやーすごいですこれ。撮影監督のエマニュエル・ルベツキ(『ゼロ・グラビティ』)といいアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督といい。鬼気迫る撮影現場の血潮が伝わってきます。俳優も凄い。ディカプー他役者一同はスタント無しで氷点下で演技したり(本当に死にかけたらしい)。
今作で晴れてアカデミーを勝ち取ったディカプー、本当によかったですね。熊に襲われてひぃひぃ言ってるディカプーなんて最高でした。トム・ハーディもいい。『オン・ザ・ハイウェイ』って映画で、終始車を運転しながら電話で話すだけの映画を、物語として成立させてたトム。声がいいんですよね彼。地鳴りみたいな説得力がある声してます。さすがベイン様。確かに嘘くさいCGも多く使われてますけど、それでも全く気にならない迫力です。カメラのレンズが熊の鼻息で曇ったり、おいおいありかよと思う編集方法もとってますが、観客とのスクリーンという壁を意識させておきながら、極寒の大地に没入できるのは素晴らしかったです。
イニャリトゥ監督、前作『バードマン』でも主人公を一度殺すことで自分と向き合う人間を描いていましたけど、今回もディカプーが一回死んでますね。よっぽど死にたいんですかねこの監督は。この映画、セリフが非常に少ないんです。ディカプーもほとんど喋らない。もしかしたらグリズリーの方が喋ってたかも。演技っちゅうもんがいかに大事かがわかる映画でした。