『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』の公開が世間を賑わせています。歴代興行収入にランクインするほどの人気で、その前に公開された『ブラックパンサー』は歴代興業収入10位以内にランクインしています。
恐ろしいほどの勢いで公開され、ヒットを叩き出しているアメコミ映画。しかしスーパーマンにバットマン、スパイダーマンにアイアンマン。ワンダーウーマン、X-MEN…ブレイド…。一体どれだけの数のアメコミ映画があるのか。
そんな中、アメコミ映画に疎い友人と話していた時にある疑問を聞かれました。
「バットマンとスパイダーマンは一緒の映画にならんの?」
「スパイダーマンって、昔もやってなかった?」
そこで色々と説明させてもらうと、友人は目から鱗だった様子。そうなんですね、カジュアルにアメコミ映画を観ている人たちは基本的に配給がどうとか出版社がどうとか知らない。アメコミ映画それぞれが、何が違うかを知らないわけです。まあ知らなくても十分楽しめるんですが。
この記事では、そんなアメコミ映画事情を紹介しつつ、今後のクロスオーバーの展開をお話ししたいと思います。
原作出版社の違い
まずはじめに、アメコミ映画の出版社です。これは原作の出版社、日本で言うならばジャンプは集英社、マガジンは講談社ですね。これはアメコミ映画の根幹的な違いとなるので、要チェックです。
アメコミの特徴
概要部分のお話ですが、まずはアメコミの特徴です。アメリカン・コミック、つまりアメコミ。アメリカで発売されている漫画全般をそう呼びます。一番有名な『スーパーマン』が誕生したのが1938年。結構歴史はあります。
日本の漫画との違いは、アメコミの著作権は基本的に出版社に属するということ。日本だと、ワンピースやドラゴンボールなどは描いている原作者に著作権がありますよね。アメコミは出版社が、権利を持っているのです。
それで何が変わるのかと言うと、描き手が常に変わり続けるのです。出版社側としては、同じ作品を長いこと続けられるメリットがあります。しかし描き手側からすれば、クビを切られてしまうと、何も残らないんですね。
だから、アメコミというのは基本的にメインキャラが死んだり、変わったりを繰り返しています。死んだキャラが生き返ったり、マルチバース(もし…の世界観)があったりと、日本の漫画とは少し毛色が違います。では続いて代表的な出版社を紹介します。
マーベル・コミック
言わずと知れたアメコミの代表的出版社です。ここの映画の本数はアメコミ映画で随一。映画観る前に、MARVELのロゴが出て来ればここの原作です。
代表的なものはアベンジャーズ、スパイダーマン、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、デッドプール、X-MENなどなど。挙げればキリがありませんね。
DCコミックス
こちらもマーベル・コミックと同じくらい有名な出版社。代表的なものはスーパーマン、バットマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、グリーンアロー、グリーンランタンなど。
映画が始まる前にDCコミックスのロゴがここが原作です。マーベルと違い、やや大人向けで重い内容のものが多いです。後、DCコミックス原作のドラマも結構配信されていて、ここではDCコミックス内でのクロスオーバーとかもやってます。
ダークホースコミック
マーベルやDCとは少し規模が小さいですが、ここも有名です。出版社の名前より、映画化されたタイトルの方が有名なのではないでしょうか。
例えば『マスク』や『300』、『ヘルボーイ』。ちょっとマイナーだけど、日本の漫画の出版とかもやってます。後は、ライセンスを購入して『スター・ウォーズ』のコミック版なんかも出しています。
配給会社の違い
さて、次は映画を作る時の違いです。その作品の映画化権というのは、各配給会社が買い取っています。同じ出版社で、原作では共演しているキャラが映画では中々共演しない理由がここにあります。まずは配給会社とその違いから。
ディズニー・マーベルスタジオ
まず、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』など、世間を賑わせている一連のマーベル作品を制作、配給している会社がこちら。誰しも知っていますよね。そうですディズニーなんです。
正確には、マーベルスタジオというのは昔からあって、自社で出版している原作漫画の映画化を行い、各配給会社に売っていました。しかしこの制作会社を配給会社であるディズニーが買収し、以後はディズニーからのみ配給を行っています。
マーベル・シネマティック・ユニバース関連の映画、(『アイアンマン』から始まり、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』)までは9割がここの制作、配給です。後の1割は後ほど説明しますね。
ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(コロンビア映画)
続きまして、日本のソニーの子会社です。ここがある映画の配給権を一つ持っています。それが有名な『スパイダーマン』。
『スパイダーマン』自体、今まで何度もリブート(1から作り直し)されてきて、すでに6作品あるんですね。ただ、配給権をソニーが持っていたから、中々MCU、他のマーベル作品とクロスオーバーできなかった。有名なヒーローにもかかわらず、ずっと蚊帳の外だったんです。
しかし、『アメイジング・スパイダーマン2』の興行的不振から、他の映画とクロスオーバーすることを認めます。それが、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』。そして、ソニーの配給でMCUと絡んだ『スパイダーマン/ホームカミング』が公開されました。
20世紀FOX
こちらも映画業界では古株の制作/配給会社。オープニングのロゴが有名ですよね。
ここが配給権を持つヒーロー映画は、『ファンタスティック・フォー』『X-MEN』『デッドプール』となります。
そうです、マーベルの原作では、ファンタスティック・フォーやX-MENのメンバーはアベンジャーズとよく共演しているのですが、映画では全く共演しない理由がこの配給会社の違いなんですね。
しかし最近、ディズニーが約7兆円で20世紀FOXを買収しました。ということは、X-MENとアベンジャーズが共演する日も近いかも…?
ワーナー・ブラザーズ
こちらは、バックスバニーが有名ですね。この配給会社が持つヒーロー映画の配給権は、『スーパーマン』や『バットマン』『ワンダーウーマン』など、つまりDCコミック作品ですね。
DC作品はDCエクステンディッドユニバースと呼ばれ、MCUと同じで映画内でのクロスオーバーを狙っていますが、MCUに比べると興行的にもいまいち…。ただ、DC作品の多くの映画化権をワーナーが持っているので、クロスオーバーはしやすくなっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。マーベル作品とDC作品の違い、なんであのヒーローとこのヒーローが共演できないか、というお話でした。
ヒーローとヒーローが作品を超えて共演するのはワクワクしますが、こういった会社の事情が垣間見えてしまうと、少し現実に引き戻された気分になりますよね笑