滅びを逃れるのは人間か?恐竜か? ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

みやざわ支配人

大人気シリーズジュラシック・ワールドの最新作にして元祖『ジュラシック・パーク』から続く世界観の集大成となる作品だ。国内外で賛否両論様々な意見が出ていたようだが、歴史がありファンが多いシリーズにはつきものだ。筆者も漏れなく子供のころ『ジュラシック・パーク』を何度も見て、その後の作品を劇場に見にいったファンの一人であり、感無量の思いで作品を受け止めた。

どうなる?恐竜が世界に解き放たれた状況から

前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』では、世界に恐竜が放たれた。『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』でも描かれた、街中に恐竜がいる状態が楽しめる。『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』と違うのは、恐竜と人間との関係が少しずつできている過程にあることだ。

中でも筆者が気に入ったのはアパトサウルスが登場するシーンだ。アパトサウルスの出現により現場作業員たちの仕事は止まってしまっているが、静かに誘導し事なきを得る。彼らが立ち去るまで人々が待っている時間は大変穏やかで、人間社会を蹂躙する描写が多い中で共存の道があるかもしれないと最初に提示してくれる重要なシーンだ。

歴代メイン俳優目白押し

『ジュラシック・ワールド』シリーズ通してパーク作品の要素が散りばめられていたが、『ジュラシック・パーク』のメイン俳優3人が揃って登場するのは初めてだった。

特にサム・ニール演じるアラン・グラントとローラ・ダーン演じるエリー・サトラーの再会シーンで胸がアツくなったファンは多いのではないだろうか。恐竜が蘇った世界でなお発掘作業に勤しむグラント博士の偏屈ぶりも変わっていない。『ジュラシック・パーク』の緊迫するシーンの一つ、電気系統の復旧も聞き馴染んだ会話が聞こえてきて、初作のファンはニヤッとできるだろう。

個人的には、パークではさらっとしか登場しなかったあの悪役がサラッと出てきたことに驚いた。初作で企んでいた計画が実行できたのかどうか、想像を巡らせるだけでも楽しい。

恐竜も沢山出てくるが、イナゴも出てくる映画

今作で最も印象に残った恐竜は、主人公の一人オーウェンを追いかけてイタリアの街を縦横無尽に走り回るアトロキラプトルだ。転ぼうが車に轢かれようが、とにかく執拗にバイクを追いかけてくる様子は人間とは全く違う習性とバイタリティを感じた。その他恐竜たちは自然に生きてる種から、密猟の品物や武器の一つ、研究の対象と様々な形で登場し、人間社会に馴染んでいる恐竜たちの(利用されている方が多いが)様子が沢山見れる。

果たしてこのまま両者は問題なく暮らしていけるのか?

そこに突如遺伝子操作で凶暴化したイナゴが登場する。作中でも触れられているが、イナゴ(蝗害)といえば旧約聖書の出エジプト記が思い浮かぶ。旧約聖書では、蝗害の後に暗闇が訪れ、エジプト人の子供(実際は長男)が殺される。そして囚われていたイスラエル人はエジプトを脱出するのだ。

では今作に出てくる恐竜たちは蝗害の後、人間社会から解放されるのだろうか?そして約束された土地(新天地)で繁栄することはできるのだろうか?

生命は道を探し出す?懐の深い世界へ

『ジュラシック・ワールド』シリーズは、パーク三作品から世界観を一新し、恐竜がより人間に身近な存在として描かれてきた。その最たる存在はブルーだろう。しかし一対一の関係では通じ合えても、結局恐竜という生き物全体をコントロールし切ることはできず、世界に解き放たれることになってしまった。

異なる時代に生まれた人間と恐竜が混在した世界で、出エジプト記になぞらえどちらが生き残るか?だが出エジプト記とは違い、今作の結末は人間か恐竜か選ぶのではなく、両方が共に生きていける世界に収まった。それは、一作目『ジュラシック・パーク』で提示された「生命は道を歩き出す」というテーマに戻ってきたように感じた。クローン人間のメイジーも、恐竜も自分たちで生きる場所を見つけ出した。ラストの力強く現代の地球で生き抜く恐竜たちの姿がそれを表していた。




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with Theaterの支配人です。
7年間大手シネコンで劇場マネージャーを務めたのち、デザイン・マーケティングの仕事を経て独立。今でも映画館の仕事は素敵だと思っています。尊敬する人物はジャッキー・チェン。仕事でトム・クルーズに会った時に緊張し過ぎて顔が白くなった経験あり。