この記事では今話題になっている、「映画館でスマホ」をやられた時の対処方法を、映画館で長年アルバイトをしていたスタッフと、劇場マネージャーの見解から述べさせてもらおうと思います。本人に悪気がなくても、場合によっては非常に迷惑な映画館でスマホ。遭遇してしまった時にどうすればいいのか、この記事を読んで参考にして頂ければと思います。
Twitterで話題に
「映画館でスマホ」がTwitterで大議論を生んでいます。ある方の画像付きのツイートから波及したこの問題。まずは概要を調べてみましょう。
「台無しになる」
まずは該当のツイートを紹介します。
こういうツイートするの嫌なんですけどそれ以上に嫌なのでさせていただきます
映画館でスマホ見るのやめてください
上映中のマナーとして常識だと思うのですが、守れない人が多いようです
あなたの家じゃありません
名作を台無しにしないでください pic.twitter.com/GOThsxV65q— amane (@007_uiro) 2018年3月5日
@007_uiroさんが仰るには、映画上映中のスマホが非常に迷惑で、エンドロール中にも余韻に浸るのを邪魔されてしまうとのことです。
反論もある
これはもうマナーの問題になってきますが、「神経質すぎる」「前の席にいけばいい」などの反論も出ているようです。日本以外であまり参考にはなりませんが、アメリカの映画館では上映中に拍手喝采や声を出してのリアクションも多く見られます。リアクションだし、海外の話なので今回のマナーとは別問題ですが…。
もしかすると神経質すぎるのでは…?と思う方がいるのは何となくわかります。
今に始まった問題ではない
これはスマホが普及してから始まった問題ではありません。輝度の違いはあれど、ガラケーなど携帯電話が出始めた当初から問題になっていました。最悪のケース、上映中に電話を始める人もいました。
ですので劇場側も、至る所に注意喚起の広告や告知を掲載しています。上映前のマナー喚起CMでは、最低でも2回は上映中の携帯電話はご遠慮くださいと流れます。
マナーCMが多く流れるようになっても、この問題は解決しません。なぜならば、当人のマナーの問題だからです。個人の意識が変わらない=マナーCMを見ても自身に置き換えて考えられない方は、いくらCMを流しても減りませんし、根本的には解決しません。
映画好きの所感
私自身、映画館にはよく行く方なのですが、個人的には劇場内のスマホ=悪と思うくらい迷惑だと思っています。もし一緒に行っている友人が上映中にスマホをいじりだしたら、頭を小突きます。他のお客さんが同じことをしていると、そっと注意します。
なぜ迷惑というと、前の席でそれをやられてしまうと、スクリーンより明るいものが突然目の前に現れるわけで、無意識に意識がそっちへいってしまうのです。これは神経質などとは別問題で、視界内に目立つものがあれば自然とそっちに意識が持って行かれる生き物として当たりの反射行為なのです。
というわけで、私自身も「映画館でスマホ」にはかなり不満が溜まっています。しかし文句を言うだけではダメなので、劇場側と観客側全員でこのマナー問題には注意を向けるべきだと思っています。
エンドロール時も同様です。こっちは真剣にスタッフ/キャストの名前を追いかけて読んでいるのです。館内の照明が点灯するまでは、上映中ですよ。
「映画館でスマホ」を触ってしまう人は必ず存在します。遭遇した時に、またはスマホを触る側はどうすればいいのか下記に挙げていきます。
“映画館でスマホ”に遭遇した方へ
運悪く遭遇してしまった方に、元劇場スタッフ視点で、どうすれば良いのか書いていきます。
劇場スタッフの動き
まず「映画館でスマホ」に遭遇した時に一番手っ取り早いのは、劇場スタッフに報告することです。劇場スタッフは、上映前、上映中、上映終了前と、何度も定期的にシアター内をチェックしにきています。劇場ごとに差はあるのですが、私が映画館で働いていた時は、空いてる時間は基本的にシアターチェックを行っていました。
上映前ですが、入場が開始した直後と本編が始まる時にスタッフがシアターの隅っこ、入り口から入ってきたスロープや階段を登った観客席全体を見渡せるところでチェックしています。上映中、上映終了前も同様のところでチェックしています。
これは、上映トラブルやお客さん同士のトラブルを未然に防ぐための業務ですので、「映画館でスマホ」を触っている人に対する注意をしてもらう時は、このタイミング最適です。
もしスタッフが見つからない場合などは、チケットもぎり場にいけば基本的に在中スタッフがいます。スタッフ同士はインカムで連絡をとっているので、もぎり場から動けるスタッフに連絡が行き、シアター内にきてくれるでしょう。
まずはスタッフに
一番手っ取り早いのは、自分で注意することなんですが、自分自身もお金を払って見に来ている立場ですし、何よりも言い出し辛いことは多々ありますよね。そういう時は、まずは劇場スタッフにお声かけください。スタッフがスマホを触っている本人に注意してくれるはずです。
しかし、この解決方法には問題もあります。まず作品が始まってしまった後。わざわざスタッフを呼び出しに、スクリーンから出て映画を見逃してしまうのは嫌ですよね。またはスタッフを呼んだ後、現行犯ではない時。スタッフが注意しようとしても、該当の方が見つからない場合は空振りに終わってしまいます。
一番いいタイミングは、予告中です。映画の予告は、平均して10分間流れます。さらに予告にはおおよそ二段階存在します。スクリーン内の照明が全点灯になっている時と、半点灯になっている時。全点灯に時に注意するのに気がひける場合は、半点灯時、本編が始まる直前に劇場スタッフに言ってみてください。
席を移動する
基本的にスマホを触る人は自分より前の席に座っているので、あまりにもひどい場合は席の移動も考えましょう。現在、多くのシネコンは全席指定席になっているため、基本的に席の移動はNGなのですが、上映が始まった後に空いてる席などには、明確な理由がある場合は移動してもいいと思います。
劇場側も、前席にスマホを触る人がいるという鑑賞の妨げになる理由があれば、許容してくれるはずです。実際私が劇場スタッフとして勤務していた時も、「いびきがうるさい」「携帯が鬱陶しい」などの理由で席の移動を申し出てきたお客様もいらっしゃいました。当然ながら、この場合の移動は承諾しました。
咳払いなどしてみる
少し強硬手段になりますが、声に出して注意できない時は意外と効きます。ただやはり、「やらないで」と言われていることをやっている人は、それなりの図太い神経を持っているので効かない場合もあります。
以前隣のお客さんが、前の席でスマホを触られて迷惑に思い、シートを蹴っている方がいました。パワープレイですが、効果は抜群。ただ、更なるトラブルに発展しかねないので、あまりオススメはしません。
“映画館でスマホ”をやる方へ
スマホをどこでも日常的に触っている方は、無意識に触ってしまいますよね。それ、依存症です。特に緊急の連絡でもないのに、なんとなくSNSをチェックする。でも劇場内で、しかも上映中はやめてくださいね。
シアターから出る
緊急の仕事の連絡、家族の緊急事態、ヨリを戻そうとしている元彼女からの連絡。あり得ないとは言えませんよね。致し方ない時もあります。ただ、それはあなた自身の都合であって、周りの映画を楽しんでいる人には伝わりません。
だから、そういったどうしようもない時には一度シアターから出てください。どうせスマホをいじっている間、スクリーンなんて見てないのですから。
コートなどで隠す
どうしてもスマホを触る時は、コートや上着、帽子などで覆い隠して触ってください。また、上映前に輝度、明るさを一番低くしてください。基本的には”電源を切って下さい”という注意喚起が流れているので、スマホ自体触れないはずなのですが、どうしてもという場合は周りに配慮して下さい。
ただ、鞄の中でいじる人をたまに見かけます。ある程度周囲に気を配っているのはわかるのですが、上が開いてる鞄は光が漏れています。全て覆い隠してください。
最後尾の隅に座る
「映画館でスマホ」を触る、触ってしまうのがわかっているのであれば、一番後ろの席をとって下さい。それもなるべく隣に人がいない隅の方で。
これで周囲への迷惑が無くなる訳ではありませんが、ある程度マシになります。ただ、やはり基本的に明るい画面は暗い中でNGですので、最後尾で触る時も上着や帽子で覆い隠して触って下さい。
ここまでやるなら…
色々と「映画館でスマホ」を触る方の対処方法を挙げましたが、そこまでしてでも映画館に行くのであれば、DVDの発売を待って自宅で観るのが一番いいかと思います。
劇場で映画を観る=ただ映画を観る、とは違います。一つのスクリーンを不特定多数で共有して、それぞれの感想を持つ。これは映画館ならではの醍醐味です。そこに誰にとっても迷惑で、ノイズでもあるスマホの光を入れてしまう、というのなら、大人しく自宅で映画を観ましょう。
劇場側の本音
「映画館でスマホ」に限らず、マナー違反に関しては正直注意し辛いものばかり。上映中の盗撮のように、明確に”悪”である場合は、私たちもすぐに対処出来るのですが、こればっかりは本人の良心に頼るしかないのが現状です。電車でお弁当とか食べてる人と一緒ですね…
遭遇してしまった方、スマホを触っちゃう方、それぞれへの対応をご説明したところで、最後にこの問題について私たち映画館側の本音をお話しします。
映画館を利用する方も、映画館で働く人も、1人でも多くの方が素敵な映画時間を送れるように、ちょっとだけご理解頂けると嬉しいです。
最も厄介なのはお客様同士のトラブル
今回の「映画館でスマホ」もそうですが、後ろから席を蹴られた、話し声がうるさいなど、お客様同士のトラブルは劇場としては一番困るトラブルです。
この場合、どちらのサイドに付くことも出来ず、ただひたすら仲裁する事しか出来ないんです。劇場スタッフに対しての事であれば、しっかりお詫びをして対応する事が出来ますが、お客様同士の場合、それぞれの言い分があって、それぞれの考えがあるので、もはやお手上げです。
本音は「外でやってくれ…」です。
映画館は公共の施設です。映画をより一層楽しむために『施設をみなさまに提供している』のです。駅や図書館、電車やバスと同じだと考えて頂き、みなさまのマナーによって大勢で1つの作品を楽しむという事が成り立っている事をご理解ください。
「なんで、ちゃんと注意してくれないの!」的なご意見は控えてほしい…
上記でご説明した通り、もし上映中にスマホを開いている方に遭遇した場合は、まずスタッフにお声掛け頂くのがベストです。
ただ、犯罪行為ではないので“該当のお客様にご協力をお願いする”ことしか出来ません。あくまでマナーだからですね。もちろん、あまりに酷い場合は劇場の判断で対応しますが、限界があります。
この私たちの対応に対して、まれに「なんで、ちゃんと注意してくれないの!」とお叱りの声を頂く場合があります。
これは勘弁してください…二次災害です…
私たちが、その瞬間を見る事が出来ればもちろんお声掛けしますし、発見できない場合でも見回りを強化しています。これ以上は、何も出来ないのです…
どうしても気になる場合は、座席に変更や、お時間に余裕があれば上映回の変更を受付しますので、スタッフまでお申し付けください。(劇場により対応は異なります)
上映終了後にご返金は出来ません!
最後に、意外と多いこれです。
上映終了後に、「全然集中して観れなかったから返金して!」というご要望を頂く事があります。
結果から言うと、これ出来ません。理由は単純です『1本観ましたよね?』
返金をさせて頂くのは、何らかの理由で映画を最後までお楽しみ頂けなかった場合のみです。
じゃあ、作品のクライマックスが終わったくらいで出てきたら?みたいな話にもなり兼ねませんので、一応ラインを引いておくと「本編が始まって20分程度」が境界線です。
これは、一般的に上映時間に遅れてチケットが購入できる時間で、この時間を過ぎると、該当の上映回をご覧頂くお客様が全員シアター内にいる状態になります。
もし、迷惑行為をするようなお客様がいらっしゃった場合、このタイミングでおおよそ判断が出来ますので、どうしても…という場合は、この時間帯を目安にお声掛け頂くと良いと思います。
まとめ
「映画館でスマホ」は劇場側でも迷惑と思う側でもなく、触る人のマナーの問題です。周囲に気遣いができているのであれば、そんなこと普通はしません。他にも…
- ポップコーン以外のスナック菓子を食べる
- 大声で喋る
- 居眠りしていびきをかいてしまう
- 上映開始しているのにぞろぞろ入場してくる
などなど、お客様側の行動で上映の妨げになってしまうケースは多いです。”不寛容”にはなりたくないですが、当人が周囲への気遣いを欠如していれば、寛容にも限度はありますね。
やはり、劇場側と観客側が協力して改善するのが一番の良い結果を生みます。スマホを触っている人を見つけたら、まずはスタッフに声をかけてみてください。あなただけではなく、周りにも迷惑と思っている人がたくさんいます。
一人一人が気をつけて、気持ちよく映画を鑑賞しましょう!
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