【見逃シアター】『マーシャル 法廷を変えた男』レビュー

みやざわ支配人

連載企画「見逃シアター」では、僕が見逃してしまった劇場公開作品や残念ながら日本ではDVDスルーになってしまった作品を、DVDリリースや配信開始に合わせて鑑賞し、感想を書いていくコーナーです。レンタルショップで借りる映画に悩んだ時、動画配信サイトで気になった時、ちょっと参考にしてもらえれば幸いです。

今回は2017年にアメリカ公開され、主題歌の「Stand up for something」がアカデミー歌曲賞にノミネートされパフォーマンスでも行われていた『マーシャル 法廷を変えた男』。残念ながら日本未公開でDVDスルーとなってしまった本作品、どういった作品だったのでしょうか。

はじめに

『マーシャル 法廷を変えた男』は日本では未公開となりましたが、『ブラックパンサー』主演俳優のチャドウィック・ボーズマンが主役のサーグッド・マーシャルを演じているため、割と話題になったりしていました。

現在は全国のDVDレンタルショップでレンタルすることができます。動画配信は現状まだ内容ですが、アマゾンビデオでレンタルが可能です。

ボーズマンの「〜を変えた男」シリーズ

 

まずは主演俳優のチャドウィック・ボーズマンについて。

『42〜世界を変えた男〜』

『ブラックパンサー』で一躍有名になったチャドウィック・ボーズマンですが、以前もアフリカ系アメリカ人初のメジャーリーグ選手ジャッキー・ロビンソンを演じ、黒人差別問題を取り扱った『42〜世界を変えた男〜』という映画に出演していました。

ボーズマンの端正な顔立ちと、めちゃくちゃ反り返ったまつげ、真剣な表情の時に見せる眼光、その演技力が虐げられていた人々という、忍耐強い人物像に深みを与えていました。

野球選手→弁護士→国王

チャドウィック・ボーズマンと聞くとまず出てくるのは『ブラックパンサー』かと思います。『ブラックパンサー』では閉鎖的な自分の国を初めて開国し、『42〜世界を変えた男〜』ではアフリカ系アメリカ人初のメジャーリーグ選手となりました。

さらに今回レビューを書いていく作品『マーシャル 法廷を変えた男』ではアフリカ系アメリカ人初の合衆国最高裁判事に任命されました。ボーズマンは、伝記映画を含めて、「世界を変えるために奮闘する男」を演じ続けています。

法廷バディものとして面白い

 

では『マーシャル 法廷を変えた男』の感想いきたいと思います。

事実を基にしたバディ映画

内容と言いますか、ストーリーについてはそもそも伝記映画なので、ネタバレもくそもありませんが、何と言っても法廷サスペンスのバディ映画として面白かったです。

チャドウィック・ボーズマン演じるサーグッド・マーシャルの現地での手助けをするサム・フリードマン役のジョシュ・ギャッド。この人も実際に存在する人物なのですが、どうやら本国ではこの人の子孫が実際の人柄と違うと大荒れしていたようです。

事実はともあれ、映画で描かれているのは「自信たっぷりの敏腕弁護士」と「経験不足のビクついた弁護士」として法廷バディ映画として楽しめました。

「細かいところに気づく天才」の前振りは…

しかしその相棒のサム・フリードマンですが、映画登場シーンでマーシャルとフリードマンの法廷でのお互いの弁論が交互に流れ、最後に依頼人っぽい人からフリードマンが「君は細かいミスに気づく天才だ」と賞賛されていました。

これ、なんかの前振りで、裁判が進むにつれフリードマンがそういう才能を開花させていくかと思ったのですが、特にそんなこともなく…。まあとても優秀な弁護士として立ち回っていたのですが、少しフリードマンのキャラがブレている印象を受けました。

なんだか物足りない映画

他には、マーシャルが酒場で喧嘩するシーンがあるのですが、あそこで登場する女性は誰でしょうか?見逃してたりしたらすいません。急に出てきて、マーシャルが事件を解決するヒントをつぶやいた感じになっていたので、「え?」と呆気に取られてしまいました。

総合して、とてもいい映画、というかいいお話で知るべき歴史なのですが、どうにも映画としては物足りなかったです。

例えば、2015年公開のアップル社のスティーブ・ジョブズの伝記映画『スティーブ・ジョブズ』、こちらはダニー・ボイル監督で作られたのですが、映画の構造自体がとっても面白くて、史実がどうであれ、とても見ごたえある映画に仕上がっていました。

そういった他の史実映画に比べて、やっぱり「史実だけで泣かす」ということに振り切りすぎちゃってたんじゃないかなぁ…と思ったり。

まとめ

『マーシャル 法廷を変えた男』ですが、史実を飛び越えることなく、なーんか優等生的な映画に終わっちゃっているのがとても勿体ない!

是非レンタルショップでレンタルしてみたりして、ご鑑賞を。史実としては知っておいた方が良いことです!




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わたしが書きました。

with Theaterの支配人です。
7年間大手シネコンで劇場マネージャーを務めたのち、デザイン・マーケティングの仕事を経て独立。今でも映画館の仕事は素敵だと思っています。尊敬する人物はジャッキー・チェン。仕事でトム・クルーズに会った時に緊張し過ぎて顔が白くなった経験あり。