ひとり映画に行きたいけど恥ずかしい、ひとり映画をやっている人の気が知れない。様々な意見を耳にしますが、この記事ではひとり映画の素晴らしさと、元映画館スタッフがひとりで映画に見に来るお客さんへ思うところを書いていこうと思います。
ひとり焼肉、ひとりカラオケ、ひとり居酒屋。飲食店や商業施設などの公共の場にひとりで入り、ひとりで過ごす。そんな”おひとり様”は多く存在します。かく言う僕も、ひとり映画はもはや当たり前になっています。
しかしある時、お酒の席で女性に「ひとりで映画に行きます」と言うと、明らさまな拒絶反応を食らったことがあります。さらに「同じ映画を何回も観ます」と言うと、もう人間を見る目をしていませんでした。
人の目ばかり気にしないで、全力で”おひとり様”を楽しむために、ぜひこの記事を読んでみてください。
映画館側のひとり映画への印象
まずは、元スタッフの僕自身や他のスタッフがおひとり様に抱いていた印象です。
半分以上がひとり!
僕は映画館のチケット売りやその他の業務を4年間やっていましたが、来場いただいたお客様のほとんど、半分以上が”おひとり様”という印象を受けています。
特に平日や土日の夜。レジでチケットを売りさばいていると、そのほとんどの方がひとりで来ていることが多いです。
ですから、特別ひとりで来ている方に「うわーこの人一人で来てるよ」とか、「一人で観るのかよ」とか思うことは全くありません。同年代のスタッフも勿論同じでした。それよりも、やたらとクレームをつけてくるお客さんの方が何百倍も怖かったです。
男性が多い傾向
ひとり映画をされる方の大半は男性です。大学生〜60代の方が多かった印象です。だからと言って女性の方でひとりで映画を観に来ていて、いちいちリアクションをとるかと言われると全くもってそんなことはありません。
むしろ、レディースデイというものがありますから、スタッフサイドとしては男性だろうが女性だろうが、ひとりで来ていても何も思いません。
劇場側からはありがたいひとり映画
さらに劇場の運営サイドとしても、ひとりで映画に来ていただけるのは非常に嬉しいことなのです。なぜかというと、もし人気作品が混雑してきた時。数名で映画館に来て、並びの席が取れない、なんてことよくありますよね。
そんな時の救世主がひとり映画のお客さん。席がうまく埋まっておらず、非効率に真ん中が一席空いていたりしたら、おひとりで来場されたお客さんが埋めてくれるのです。
ひとり映画の方がいるからこそ、人気作品の空席を効率的に埋めれるわけですね。
ひとり映画のメリット
劇場側の印象を挙げたところで、次にひとり映画をすることのメリットです。これは普段からひとり映画を断続的に行っている僕の所感です。ちなみに僕も初めはひとり映画が苦手でした。初めてひとりで観たのは、『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』です。
確か中学生の時。前列に若い女性グループがいて、後ろ指を差されて笑われている気がして、映画どころではありませんでした。それ以来、しばらくひとり映画には行かなかったです。
話が逸れてしまいましたが、本題に入ります。
席が自由に選べる!
これは先ほど映画館側のメリットとしても挙げましたね。人数が多くなればなるほど、並びの席は取り辛くなるもの。
ここは無敵のひとり映画です。自分好みの席を、自由に選べるのですから。懸念すべき点を挙げるのなら、席が空いているかどうかだけです。今は21世紀なので、早めのネット予約などで事前にいい席を独り占めできちゃいます。
ちなみにひとりだからと言って好きでもない限り隅に行く必要はありませんよ。有人チケット販売や、自動券売機設置劇場もですが、基本的にお客さんは隣とひと席空けて取りたがりますし、スタッフもそこを優先して進めています。堂々と真ん中を陣取っちゃいましょう。
時間も自由に選べる!
映画を誰かと観に行く時に必ずかかってくる制限。その一番大きなものが「上映回」、つまり映画の上映開始時間です。
忙しい中お互いの予定と予定の合間を縫って、終わる時間を調べて…。デートの場合なんかは映画の後にご飯に行くから何時までに終わる映画を選んでああしてこうして…。
なんと煩わしい!ひとりで映画に行くのであれば、そんなこと気にしなくても大丈夫です。朝起きた時間に行けばいいし、予定があれば上映回をひとつ早めればいいだけのこと。
あと吹替しか見れないという方と一緒に行くケースもありますよね。ひとりなら大丈夫。字幕でも3Dでも4DXでも見放題です。
映画への没入度が桁違い
ひとりで映画を鑑賞する際の最大のメリットとも言えることです。ひとりで映画を観ると、映画への感情移入度や没入度が桁違いです。2Dの通常上映の映画でも、4Dで観ているのか?という気分になります。
これ、なぜかと言うと、隣に誰も座っていなかったり、気になるものが無ければ映画館の設備的な役割というのが思う存分活かされるからなのです。
映画館は真っ暗にして、スクリーンと客席だけ、という至ってシンプルな作りです。だからこそ作品に没入できるし、そのために作るられているのですから。
仮に隣に座っているのが知人であっても、トイレに立たれたり、足を何度も組み替えられたり、キスをせがまれたり。映画どころではありませんよね。作品を観たいという前提で映画を観に行く方には、ひとり映画一択だと思います。
ひとり映画を恥ずかしいと思う方へ
最後に、それでもまだひとり映画を恥ずかしいと思っている方へのアドバイスです。
ひとり映画は普通のこと
そもそもひとりで映画を観るのは普通のことなのです。例えば居酒屋や、カラオケ。何人かで行くことを前提としている事であっても、それはただの世間の目であって、何人かで来ている人の中にも、ひとりで来た事がある人もいます。
ある統計データでは、映画を観る人の全体の30%弱がひとりで鑑賞しているそうです。30%ですよ。そんなに珍しい数字ではないはずです。
僕も昔はひとりで何かをする事に抵抗がありましたが、ひとりだろうが二人だろうが、自分の好きな事を好きなタイミングでできていればそれほど幸せな事はないです。
他の”ひとり”よりも格段に楽
例えば最もハードルの高いひとり焼肉に行く場合。まず入店して、混んでいたら待つ必要があります。待合席でひとりで待つのは大した事ありませんが、席が空いて名前を呼ばれます。「おひとりでお待ちの◯◯様ー!」。実際にこういった呼ばれ方はされないかもしれないですが。
そしてひとりで席に座ります。焼肉屋の座席はカウンター席がない限り、基本多人数向けの作りになっています。混んでいると周りの目も気になりますよね。そして一人で注文して、一人で平らげます。会計時に心配性の人は気にしてしまうかもしれません。「俺、店にとって非効率な客…?」と。
これに比べてひとり映画はなんと気楽な事か。チケットを買って、ポップコーンを買わなければ、スタッフと接するのはあとは入場の時だけです。それ以降はずっとひとりで完結できてしまいます。
ひとりでなぜ悪い
まだそれでも恥ずかしいという方もいるかもしれません。僕もひとり映画が馴染むまで時間がかかりました。馴染んだところで、ひとり映画ができない人からはバカにされてしまうのですが…。
兎に角開き直りましょう。あなたが映画を観る目的をデートや家族サービスとしていなくて、作品を観る事が目的なのであれば何も恥ずかしい事はありません。
ひとりで行くの嫌だから、DVD出るまで待とう…なんて言わないでください。映画館は映画を鑑賞するために作られた、ある意味特殊な施設です。映画を観るのではなく、体験するために作られています。だからひとりであろうが何人であろうが、関係ありません!
まとめ
やった事のない方には抵抗の大きいけど、絶対にやってみると楽しめるひとり映画について紹介しました。ひとりで何かをする事に抵抗があるのは仕方ありません。なぜなら、義務教育の間ずっとグループで行動する事を教えられてきたのですから。
だけど大丈夫!感想の共有はネットでできる時代だし、話題作りに、趣味作りに、ひとり映画は最適です!