見え方はどう違う?フィルム上映とデジタル上映の5つの違い。

みやざわ支配人

皆さんは、映画館の「フィルム上映」と「デジタル上映」の違いについて疑問に思ったことはありますか?

そもそもフィルム上映とは、映写機を使ってフィルムに光を当てて映し出すという上映方式のこと。最近では「デジタル化」が進み、フィルム上映を見かけることはほとんどなくなりました…。

私たちがいつも映画館で目にしている映像は、最近ではほとんどがデジタルで上映されているもの。画像が揺れたり、汚れなどのないキレイな映像を楽しめるのは、シネコンをはじめほとんどの映画館がデジタル上映を採用しているからなんです。

この記事では、意外と知らない「フィルム上映とデジタル上映の違い」についてくわしくご紹介していきます。

最近では、フィルム上映の映画館はほとんどない?

まず前提として、最近ではフィルム上映ができる映画館ってもうほとんどありません。

皆さんが普段からよく利用しているTOHOシネマズやMOVIX、イオンシネマなどの「シネコン」は、ほぼほぼデジタル上映です。

実際に「一般社団法人日本映画制作者連盟」による2020年の統計によると、全国にある3,616の劇場のうち、デジタル上映の設備が備わっているのは3,555劇場。

つまり、フィルム上映ができる劇場は全国で約61の劇場のみということになります。

デジタル上映ができる劇場と比べてかなり少ないですよね!

フィルム上映の映画館がどんどん減っている理由としては、フィルム上映には多額の費用がかかることや編集・上映の技術が難しいことなどがあげられます。というのも、フィルム上映には特別な技術をもった「映写技師」が必要なんです…。

言ってしまえば、デジタル上映は手間とコストを抑えつつ、高クオリティーの映像を届けられる、映画館にとってまさに「都合のいい方法」ということですね。

デジタル環境での撮影に比べフィルムでの撮影は、多くの機材とスタッフ、手間と費用がかかります。コストを抑えて、クオリティーを上げるデジタル映像制作が主流に成りつつ有ります。

引用元:FELLOWS フィルムとデジタルの違いについて教えてください。

ここからは、「そもそもフィルム上映とデジタル上映って何がどう違うの?」という方に向けて、主な違いを5つ紹介していきます。

違い1.物理的な揺れやほこり

フィルム上映とデジタル上映の違いの1つ目は、「揺れ」や「ほこり・傷」「劣化」などが生じるかどうかです。

フィルム上映の場合、時間の経過とともにフィルムにほこりや傷がついたり、揺れや劣化が生じたりしてしまいます。

そのため、画質はデジタル映像と比べてかなり劣ります。この揺れや傷などがいい味を出していると感じる人もいますが、画像のキレイさで言うとやっぱりデジタルには勝てません。

一方、デジタル上映はみなさんご存知の通り、かなり映像がキレイです。フィルムのように劣化して画質が落ちたり、ほこりや傷がついたりすることはありません。

私たちが映画館でいつも安定したキレイな映像を楽しめるのは、「デジタル上映」のおかげだったんですね。

違い2.デジタルとアナログで出る色の違い

2つ目の違いは、映像の「色味」の違いです。これは映画の上映方式にくわしくない人でも、イメージしやすいと思います。

フィルムで上映される映像には、シネマティックな色味で「味」があります。

ただし最近では、デジタル技術の向上から、フィルム映画のような映像や色味を再現することも不可能ではなくなってきています。

フィルム上映ならではの「味」や「質感」までもを完璧にデジタル上映で再現できる日はそう遠くないのかもしれないですね。

違い3.フィルムのつなぎ合わせ(チェンジマーク)

フィルムとデジタルの3つ目の違いは、「つなぎ合わせ(チェンジマーク)」があるかどうかです。

フィルム上映の際、上映用のフィルムは2時間くらいの映画が1つに繋がっているわけではなくて、20分くらいの長さのフィルムを複数本つなぎ合わせて完成さえていました。

この、フィルムとフィルムのつなぎ目にあるのが「チェンジマーク」と言われるものです。

一方、デジタル上映の場合、デジタル化されたデータをそのまま上映するのでつなぎ目はありません。

違い4.フィルムでは「3D」上映ができない

立体的な映像が楽しめる「3D映画」ですが、フィルムでは当然上映することができません。

「3D映画」は、デジタル上映の誕生・普及にともなって、従来のフィルム上映や自宅でのデジタルコンテンツ上映との差別化を目的に広まったといわれています。

デジタル設備がそなわっていない劇場で「3D映画」を楽しむことはできないのでご注意くださいね。

違い5.字幕の出し方

最後に紹介するフィルム上映とデジタル上映の違いは、「字幕の出し方」です。

フィルム上映の場合、フィルムに直接「焼き付け」たり、機械を使ってパンチングしたりして挿入された字幕がそのままスクリーンに映し出されます。

一方、デジタル上映の場合、映像・音声・字幕などのデータはすべてひとつの「DCP(デジタルシネマパッケージ)」と呼ばれるデータに集約されています。

つまり、上映の際に映像の上に別のデータとして字幕を乗せているわけなんです。

デジタル上映では、字幕がくっきりと読みやすく表示されるのに対して、フィルム上映の字幕はすこしぼやけて見えるのが特徴です。

おわりに…

今回は、昔ながらの「味」が楽しめる「フィルム上映」と、現代で主流の「デジタル上映」の違いについてご紹介しました。

映像がくっきりキレイに映し出されるデジタル上映は、現代の映画館と映画ファンにとって欠かせない存在となりました。

でもそんな中、「フィルム上映が心地よくて好き」「映像のサイズに合わせて動く両端のカーテンが好き」という人も多いですよね。

フィルム上映とデジタル上映は一長一短なので、「どちらが良いか」を決めるのは難しいですね。でも、この記事で紹介したそれぞれの違いを知っておけば、いつもの映画の観え方も変わるかもしれません。

次に映画館に足を運ぶ際には、ぜひ上映方式をちょっと意識してみてくださいね。




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わたしが書きました。

with Theaterの支配人です。
7年間大手シネコンで劇場マネージャーを務めたのち、デザイン・マーケティングの仕事を経て独立。今でも映画館の仕事は素敵だと思っています。尊敬する人物はジャッキー・チェン。仕事でトム・クルーズに会った時に緊張し過ぎて顔が白くなった経験あり。