ヘンリー・カビル演じるスーパーマン、ベン・アフレック演じるバットマン。両者の正義の食い違いから生じる大喧嘩。演じる俳優は両人ケツ顎。まさに地球を舞台にしたケツ顎代表対決です。
『マン・オブ・スティール』にてスーパーマンの誕生譚を描いたザック・スナイダー監督がそのまま続投して、今作の監督を取り仕切る。『マン・オブ・スティール』で、悪人クリプトン人ゾッド将軍との激闘の末、街を滅茶苦茶に破壊してしまったスーパーマン。なんとその街にはバットマン、ブルース・ウェイン大社長の会社の支部があり、被害を受けてしまった。社員は死者多数、自社ビルは崩壊、キレる大社長。スーパーマンの超人的な力に恐怖を感じ、打倒スーパーマンを誓う。
多々あるアメコミ映画
昨今はアメコミ映画が隆盛していて、数か月に一本は公開されているけれど、その中でも抜群に面白いアメコミ映画はある二本柱から成っていると思います。先ず第一に、元々が絵空事で有り得ないコミックを実写化するにあたり、現実という土台に漫画というフィクションを引きずり出す訳ですから、それが如何に有り得そうな事に見えているか。ヴィジュアル面でも、内容面でも、本物の人間が演じて違和感が出ていないか。これはやっぱり大事で、日本の漫画原作をすぐ実写化しちゃった系の映画なんかを観てると、いやいやそんな臭えこと真顔で言う奴いねーだろとか、ただのコスプレショーじゃねえかとか、世界観が定まっていない非常に残念なものに仕上がってしまっています。となると、映画の世界に没入できない。だから映像的にもその脚本的にも、有り得ない事をどこまで有り得る事になるように大法螺吹いているかが大切なのです。
二つ目は、映画の中のキャラクターがどれだけ愛おしいか。コミックの映画化という中で、登場しているキャラクターを如何に愛せるか、または愛すべきキャラクターなのかというが非常に重要です。例えば、超人的な力を持っているヒーローも自分と同じような悩みを抱えていて、アイデンティティに苦しめられているとか、どうしようもないポンコツなのに、ここぞと言うときは奮起してやってくれるとか、そう言うキャラクターはやっぱり愛おしいし、画面内で動いているだけでなんだか涙が出てきます。
以上は僕の勝手な私見ですが、やっぱり面白いアメコミ映画はそこがちゃんとできています。
そして本題の今作
今回の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』は、正直そこまで上記の事が達成されていた訳ではありませんでした。悪役レックス・ルーサーを熱演しているジェシー・アイゼンバーグもいい味出した天才キャラなんですが、そっくりそのまま『ソーシャル・ネットワーク』に出ていても違和感がない。女性に振られた仕返しにドゥームスデイを作り出すマーク・ザッカーバーグ。神様的な扱いを受けているスーパーマン本人も満更ではない様子。ベン・アフレック演じるバットマンは、最終決戦では間に割り込めずボーっと眺める。加えて出てきたワンダーウーマンも意外と小さいおっぱい。いや、これが結構よかったんですけどね。兎に角、超速足でDCコミックのメインキャラを矢継ぎ早に紹介する内容には少し呆然としてしまいましたけど、やっぱりジャスティス・リーグの面々がチラ出していたり、スーパーマンとバットマンが殴り合うシーンはとってもワクワクしました。あと、音楽がよかったです。ワンダーウーマンのアマゾネス感がよく出ていました。
それよりも僕は、DCコミックスで言うと9月日本公開の『スーサイド・スクワッド』がとても楽しみです。
予告編が非常に美しい。QueenのBohemian Rhapsodyのメロディに合わせて、映画本編が継ぎはぎで流れる。ここが超大切。Bohemian Rhapsodyは曲中で何度かメロディがガラッと変わるメドレー形式なのですが、それが『スーサイド・スクワッド』に登場する悪役兼主役達の不安定さによくマッチしているといいますか、ドラムの音に合わせてマシンガンガンガンぶっ放すとことか、観ているだけでテンション上がる!映画の効果音と曲の音がこれほど噛みあっているのは上がりっぱなしです。本編も多分大丈夫でしょう。