意外に知らない!映画館でよく見る「アカデミー賞」とは?

毎年2月の末(25日頃)に米国でアカデミー賞の授賞式が行われています。これは日本でも中継が組まれるくらい、本国でもスーパーボウル(アメフトの優勝戦)並みの視聴率があがっています。

しかし、おそらく皆さんはこの「アカデミー賞」の文言に踊らされてしまっているのじゃないでしょうか?なんかすごい賞を受賞したからその作品を観に行く…程度になってしまっているかと思います。

この記事では、そんなアカデミー賞について詳しく触れていき、”受賞したから期待していたのに楽しめなかった”という齟齬を失くしたいと思います。

「アカデミー賞」とは?

 

オスカー像が授与されることから、単に「オスカー」とも呼ばれる、「アカデミー賞」そのものについてです。

同業者の集まりで投票

アカデミー賞ですが、これは受賞される作品が興行収入や一般投票から決まる訳ではありません。実はこれ、映画関係者による“映画芸術科学アカデミー”と呼ばれる団体の会員が投票権を持ち、各作品に投票を行います。

つまりアカデミー賞というのは、ハリウッド映画業界の関係者による身内の祭典なのです。とは言っても、5,000人以上いる映画制作のプロたちの投票によって行われるため、”業界も認める作品”ということに変わりはないため、自ずと作品としての人気も出てきます。

そのため、このアカデミー賞の授賞式には一般のチケット販売などで参加することはできません。招待状を持つ関係者しか参加できない仕組みになっています。

前哨戦のゴールデングローブ賞

毎年行われるアカデミー賞の前に、前哨戦としてゴールデングローブ賞というものが存在します。アカデミー賞とは直接関わりはありませんが、ここで受賞した作品がアカデミー賞で受賞することが多いため、前哨戦と言われています。

アカデミー賞と違いこちらは、”ハリウッド外国人映画記者協会”と呼ばれる所謂新聞や雑誌の関係者の集まりとなっています。

毎年2月に行われる

アカデミー賞の授賞式は毎年2月の末に行われています。(多くが日本時間の25日)これまでに公開された前年の一年間の作品がノミネートされ、授賞式で受賞作品を発表します。

つまり、ビックバジェットの映画やアカデミーを狙った作品は、より興行収入を得ようと前年の夏や、正月に公開されることが多いです。

この授賞式の見所はなんといっても、パフォーマンス。有名アーティストやノミネートされた劇中音楽などを生演奏で披露します。また、司会者もコメディアンの人などが多く、自分たちの業界をブラックジョーク的にいじるなど、毎年笑いと涙に満ちた授賞式になっています。

中継はWOWOWで!

米国で生放送されているアカデミー賞授賞式ですが、日本では衛星テレビのWOWOWを通して観ることができます。生放送のため、英語を日本語に同時通訳した吹き替えが流れていますが、観るには支障はありません。(身内ネタみたいな細かい言い回し等は理解しづらいかも…)

しかし、その生放送当日の夜に同じくWOWOWで日本語字幕付きの放送が流れるので、リアルタイムではありませんが録画して観るにはこちらが最適ですね。

映画館の「アカデミー」宣伝

 

無数に観られる「アカデミー賞ノミネート」の宣伝文句。これってどういう意味なんでしょうか?

“ノミネート”の意味と条件

“ノミネート”というのはあくまでも、”アカデミー賞を受賞するための賞レースに加わった”という意味です。一般的に見れば、ノミネートされていようと受賞していようと大して変わりはないかもしれませんが、大きく意味が違います。

さらにノミネートされるには下記の条件をクリアする必要があります。

  • ロサンゼルス郡内の映画館で連続7日以上公開
  • 有料で公開
  • 40分以上の作品
  • 劇場公開以前にネットやテレビで公開されていない

これらの条件をクリアして、初めてノミネートされます。ただし外国語映画賞など特別な条件が加わっているものもあります。

いろんな賞がある

アカデミー賞と一概に言っても、数々の部門に分かれています。その作品の何が優れているのか、どこが評価されているのかがこの部門でわかります。各部門の詳細を書いていくと…

  • 作品賞・・・・・その年最も優れた作品に送られる最重要な賞。プロデューサーなどがオスカー像を受け取る。
  • 監督賞・・・・・最も優れた映画監督に送られる賞。作品賞と同時に受賞することが多い。
  • 主演男優賞・・・最も優れた主演の男優に送られる賞。
  • 主演女優賞・・・最も優れた主演の女優に送られる賞。
  • 美術賞・・・・・最も優れた美術監督(大道具や小道具の制作)に送られる賞。
  • 撮影賞・・・・・最も優れた撮影監督(カメラマン)に送られる賞。
  • 脚色賞・・・・・小説や原作がある脚本の中で、最も優れたものに送られる賞。
  • 録音賞・・・・・音にまつわる賞で、最も優れたサウンドミックス技術がある作品に送られる。
  • 短編アニメ賞・・最も優れた短編のアニメ作品に送られる賞(ディズニー作品の本編前のおまけ作品など)
  • 歌曲賞・・・・・メインテーマとなる、最も優れた曲を制作した作品に送られる賞。
  • 作曲賞・・・・・歌曲賞と違い、映画のBGMの中で最も優れたものに送られる賞。
  • 編集賞・・・・・最も優れた編集を行った作品に送られる賞。
  • 助演男優賞・・・最も優れた助演の男優に送られる賞。
  • 助演女優賞・・・最も優れた助演の女優に送られる賞。
  • 視覚効果・・・・CGやVFXなど、最も優れたデジタル加工技術を行った作品に送られる賞。
  • 脚本賞・・・・・最も優れた脚本に送られる賞。
  • 外国語映画賞・・アメリカ、英語以外で公開された最も優れた作品に送られる賞。
  • 衣装デザイン賞・・最も優れた衣装のデザインを行った作品に送られる賞。
  • 音響編集賞・・・・録音ではなく、音響の編集として最も優れた作品に送られる賞。
  • 短編映画賞・・・・最も優れた短編映画に送られる賞。
  • 長編ドキュメンタリー賞・・最も優れたドキュメンタリー作品に送られる賞。
  • 短編ドキュメンタリー賞・・最も優れた短編ドキュメンタリー作品に送られる賞。
  • メイクアップ/ヘアスタイリング賞・・最も優れたメイクアップ/ヘアスタイルアーティストに送られる賞。
  • 長編アニメ賞・・・・・最も優れた長編アニメ作品に送られる賞。
  • 特別賞・・・・・特別な映画技術の発展に貢献した人物や作品に送られる賞。特別枠。

作品の何が秀でているかわかる

ご覧の通り、アカデミー賞と言ってもその部門が大量にあります。これらを知っていれば、その作品の何が優秀なのか、見所はどこなのかを「アカデミー賞受賞!(ノミネート)」の宣伝文句から読み取ることができます。

一概にアカデミー賞を受賞していると言っても、数々の部門がありますが、作品としての面白さ、素晴らしさを讃える賞は作品賞や監督賞となります。このあたりは、個人が映画のどこを見ているかにもよりますが、受賞やノミネートする部門によって違うということは覚えておいて損はないかと思います。

ちなみ、各作品複数の部門で受賞することもあるので、「最多11部門ノミネート!」などの文言がつくことがあります。

「アカデミー」宣伝の問題点

 

そんな米国のアカデミー賞ですが、詳しく内容を知らない人が多いため、宣伝文句としてイメージが先行しているという問題点があります。ここからは僕個人の見解になってしまいますが…。

日本は基本”後出し”

アカデミー賞ノミネート作品が発表されると、こぞって日本の映画会社は映画ポスターに「アカデミー賞ノミネート!」の文言を加えていきます。皆さんも映画館やCMでよく観ると思います。

確かに、映画界で最も権威ある賞のため宣伝に使うに越したことはありません。しかし、多くのアカデミー賞受賞作品は日本では授賞式後の公開となってしまっています。

これは単純に、”賞を受賞して注目を集めた方が動員が稼げる”ためであり、宣伝方法も異なってくるからです。しかし映画好きとしてはどうでしょうか。「これはオスカーを受賞するな」という予測がたてられないし、何よりアカデミー賞の授賞式を観ても、観たことの無い作品が名を連ねています。

無名俳優や無名監督の映画は特に、洋画として日本では大規模上映は行われませんが、少し寂しいですよね。『カメラを止めるな!』の公開時に起こった現象のように、「この作品を広めたい!みんなに観て欲しい!」という気持ちが、洋画の公開時差の影響を受けないようにしないと、より一層日本人が海外の映画に興味を持たなくなり、結果として日本の映画・映像作品の質の低下に繋がってしまうと思います。

「日本アカデミー賞」も同じ?

日本にもアカデミー賞の名を冠するものがあります。それが「日本アカデミー賞」です。米国のアカデミー賞の許諾を得て行っていますが、投票権を持つ人や作品は日本限定となり大きく異なります。

米国に比べれば、地元の草野球程度の授賞式です。かの黒澤明監督も日本アカデミー賞を受賞したものの、授賞式への参加を拒否するなど、賞レースとしての権威は正直微妙で、あくまでも広告代理店の宣伝用の祭典となってしまっているのが現状です。

もっと「アカデミー賞」の本筋が世間に周知されて、ただの宣伝文句から脱却し、映画館が盛り上がるときがくるといいですね。






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PROFILEわたしが書きました。

いとうMgr.

某大手シネコンにて、アルバイトスタッフとして4年間勤務して、喜びも悲しみも味わった男性。
映写技師からポップコーンの販売まで、4年間勤めてみればアルバイトのほとんどをこなせるようになっていた。好きな映画はエドガー・ライト作品。大手シネコンではエドガー・ライト作品は中々上映されず、当時は憤りを抱いていた。