首都圏外に住んでいる方にはおなじみの「イオン」。そのイオンに入っている映画館といえば、「イオンシネマ」。どこか、地元の映画館、という気がして安心感がありますよね。この記事では、そんなイオンシネマについて書いていこうと思います。
はじめに〜日本のシネコン変遷〜
シネコンが生まれるまで
日本におけるシネコンの歴史は、1980年代からスタートします。まずはシネコンの意味ですが、シネコンというのは略称で、シネマコンプレックス(cinema complex)と言います。特に明確な定義は無く、読んで字のごとく、複合したシネマ、つまり同一施設内に複数のスクリーンがある映画館の形態を言います。
世界的にみれば、カナダで1940年代から、複数のスクリーンを持つ映画館ができてきていたのですが、先ほどシネコンの意味を説明した通り、単純にスクリーンが多い映画館のことをシネコンと言うため、明確な線引きは無く徐々に増えた行った形になります。
時代の流れとともに、映画館一つにつき、徐々にスクリーンの数が増えていき、売店や特殊な上映を行うようになったシネコンと言われる施設に成長していったのです。
映画館=シネコン?
では、従来の映画館は今の映画館と何が違ったのでしょうか?昔の映画などをよく観る人はご存知かと思いますが、以前は一つの映画館につき、1~5スクリーン程度の規模でした。売店もありものを売るだけで、前売り予約やシステム面でもあまり充実していませんでした。
それが時を経て、映画館ごとに5~10スクリーン程ある巨大な施設となったのです。ちなみに、世界で一番多いスクリーン数を保有している映画館はアメリカカリフォルニア州のAMCオンタリオミルズ30とい映画館で、実に30スクリーンも保有しています。
今までの映画館の形態を引き継いでいるのが、所謂ミニシアター系と言われる単館系の劇場です。テアトル梅田、シネマート心斎橋など、5スクリーン前後の映画館がそれです。だから映画館=シネコン、というわけでは無く、一概に映画館と言っても様々な形態の映画館があるのですね。
シネコンとショッピングセンターの融合
さて、1980年代から徐々に日本でも増え続け、シネコンと名乗る施設が馴染み深くなってきた頃、集客の相乗効果を狙って、シャッピングセンターなどの複合商業施設にシネコンができ始めました。映画の待ち時間の間、買い物も楽しめて、1日過ごせる施設。今となっては当たり前ですが、その走り的な存在が現れます。
最初にできたのが、ワーナー・マイカル・シネマズ海老名。神奈川県の海老名にできたその映画館は、周囲にショッピング施設や主要な駅があるなど、本格的なシネコンとして日本に初登場しました。ここで今回紹介するイオンシネマが関わってきます。
当初はワーナー社のあの有名なキャラクター、バックスバニーなどを装飾した内装で、ロビーや映写室などを備えたオーソドックスなシネコンのスタイルの始祖となりました。サティやビブレなどと併設されることが多く、今や日本のどこにでもあるイオンの中にも併設されていました。
しかし、ワーナー社の経営破綻により、イオン内に併設されていたワーナーシネマズはイオンに買い取られます。そこから、イオンシネマが誕生しました。今イオンでよく見かけるイオンシネマというのは、元々がワーナーシネマズであったところが多くあります。
さて、日本のシネコンの変遷を大方説明したところで、今回のイオンシネマの紹介に移りたいと思います。
イオンシネマの概要
イオンシネマの運営母体
先ほど書いた通り、というか読んで字のごとく、運営はイオングループのイオンエンターテインメイント株式会社が行っています。身近なイオンがどのように映画館運営を行うようになったかは後述するイオンシネマの歴史で書きますが、間違いなく日本で一番生活の側にある映画館として認識されています。
イオンシネマですが、さすがイオンの運営と言いますか、全国で劇場数は74サイト、スクリーン数にして609スクリーンを保有しています。これはTOHOシネマズを抜いて全国1位の運営数となります。郊外の年配の方も気軽にいけるシネコンとして浸透しています。
イオンシネマの歴史
さて、そんなイオンシネマの歴史ですが、前述の日本のシネコンの変遷で触れた通り、日本のシネコンの始まりへと収束します。元々、日本で初のシネコンをオープンしたワーナー・マイカルとしてワーナー・マイカル・シネマズを運営していました。
しかし、ワーナー社の経営破綻により、資本撤退し、ワーナー・マイカルがイオンの完全子会社となり、元々イオンシネマを運営していたイオンシネマズと合併し、イオンエンターテインメント株式会社となりました。
ですので、現状、イオンシネマの中には三種類あることになります。①元々ワーナー・マイカル・シネマズだった劇場がイオンシネマになったものと、②元々イオンシネマとして運営していたものと、③合併後にイオンエンターテインメントが新設したイオンシネマという感じです。
少しややこしいですが、中々他のシネコンと違い、合併吸収を繰り返しながら展開しています。
イオンシネマの特徴やコンセプト
上映作品は子ども向け
イオンモールやサティなどが併設するイオンシネマですが、やはり家族向けの作品が多く公開されています。ポケモンやコナン、クレヨンしんちゃんやドラえもんプリキュアなど、他の劇場で公開されているアニメ映画の他に、年齢層のもっと低いトーマスやしまじろうなども毎年公開されているのがイオンシネマの特徴です。
さらに、通常の上映作品の中で中高年や家族連れが観るであろうアイアンマン、スパイダーマンなどのアメコミ作品や、スター・ウォーズなどの大作では、吹き替え上映が上映回数も多く、上映期間も吹き替えより長く上映されます。
この理由は単純で、イオンシネマはショッピングモールなどと併設されるケースが多く、映画を観て買い物をして帰るというサイクルが出来上がっているから、家族連れ層を狙った上映スケジュールや上映作品が組めているのです。
比較すると、TOHOシネマズなんばなどは、oioiと併設されているため、家族連れというよりかはカップルや友達と映画を観に行って、帰りにoioiにも寄っていく、というお客様が多いですよね。
配給会社が運営していない
例えば、TOHOシネマズやMOVIXは、東宝や松竹など、映画配給会社が運営しているため、その会社の映画を優先的に上映したりしています。イオンシネマの場合は、運営母体が配給会社ではなくイオンであるため、上映作品のラインナップが少し違います。
どういうところが違うのかと言うと、劇場に合わせて作品のラインナップが組めている、というところです。TOHOシネマズの場合、他のサイトと同じラインナップで上映していることが多いですが、イオンシネマの場合地域に寄ってかなり違いがあります。
年配の方が多い地域で、子ども向け作品を公開してもあまり意味がないですよね?私自身も、観たい映画が近くのイオンシネマでやっておらず、他県のイオンシネマならやっていたのでそっちまで行った、という経験があります。
とてもビジネス寄りの映画館
イオンシネマの最大の特徴とも言えるのですが、かなりビジネス寄りな運営形態をとっています。法人向けに、映画が始まる前の予告枠を売ったり(勿論他の映画館もしています)、シアターレンタルを積極的に行っていたり。
この予告枠ですが、地域差があるのが面白い点です。ローカル放送局のように、その地域でしかない店舗や病院の広告が流れているのです。結構この広告を鬱陶しがる方がいらっしゃいますが、ローカルCMを観る目線で観てみると意外と面白かったりします。
映画館運営会社で唯一VOを持つ
イオンシネマは、映画館ではいち早くVO(ビデオオンデマンド)サービスを開始しました。U-NEXTと共同運営で、自宅のパソコンやタブレットで映画やアニメ、ドラマが観れるサービスです。映画館がVOを運営しているのは、とても理にかなっていますね。
イオンシネマの特殊上映
ほぼ全ての特殊上映を網羅している
イオンシネマですが、実は他の映画館と比べて特筆すべき点があります。それは、ほぼ全ての特殊上映を体験できるということです。IMAXに4DX、3D上映などなど…。勿論劇場にもよりますが、イオンシネマを総合でみると、他の劇場の追随を許さないほど多くの特殊上映を積極的に導入しています。
音響一つとっても、通常の映画館で使われるスピーカーより数も多く良いものを使った特別な上映で、音響で有名なDOLBY社からDOLBY ATOMOSと、映写機器メーカーでもあるCHRISTIE社からVIVE AUDIO、さらにTHX社からTHXという3社から各々の音響設備を各サイトに導入しています。
ここまで色々なメーカーの映画体験ができる映画館は、他に類をみません。
IMAXとULTIRAの違い
特に特殊上映の中で、近年一番驚きを与えてくれるのが、IMAX上映です。バカにならないくらいでかい画面での上映は、作品に寄っては通常のスクリーンで観るのとかなり違ってきますよね。ただ、IMAXを導入している代表的な映画館はTOHOシネマズなのですが、イオンシネマは大画面上映の方式を2パターン用意しています。
一つ目は先述のIMAX上映です。もう一つが、ULTIRAとい上映方式。この二つの違いは、ULTIRAの方が少し画面が小さいですが、音響でDOLBY ATMOSを導入していたりします。ただ、この二つを比べたところで、そもそも通常の上映スクルーンよりもでかい、ということには変わりはないので、ここでは優劣の話は置いておきます。
あと何より大きな違いは、IMAXの場合通常鑑賞料金にプラスしての鑑賞になりますが、ULTIRAの場合はこの追加料金が不要になっています。
VIP席がある
さらにイオンシネマの面白いところが、VIP席とも言えるプレミアシートとゴールドクラスがある点です。プレミアシートは、追加料金で通常よりもゆったりとした座席が確保されているので、そこをチケット購入の際に選べばゆっくりと鑑賞できて、しかもドリンク付き。
ゴールドクラスになると、プレミアシートにさらに、入場前の混雑から避けるためにラウンジルームが使えたりと、数百円の追加料金でVIP待遇になります。
料金・割引サービスについて
基本料金
イオンシネマの基本料金は下記の通りとなります。
一般 | 1,800円 |
大学生 | 1,500円 |
高校生 | 1,000円 |
中学・小学生・幼児(3歳以上) | 1,000円 |
障害者手帳提示割引 | 1,000円 |
基本料金は、基本的に他の映画館と同じ形態です。
特殊上映
イオンシネマは特に特殊上映が多いので、下記にまとめます。
3D作品 | +300円(3D料金)+100円(メガネ料金のため持参時は不要) |
4DX 2D作品 | +1,000円 |
4DX 3D作品 | +1,300円+100円(メガネ料金のため持参時は不要) |
D-BOX | +1,000円 |
IMAX | +400円 |
IMAX 3D | +800円 |
MX4D | +1,000円 |
プレミアシート | +400円 |
ゴールドクラス | +500円 |
本当に多彩な上映を行っていますね。
サービスデイ・サービスプライス
イオンシネマのサービスデイについては下記の通りです。
ハッピーファースト(毎月1日) | 1,100円 |
ハッピーマンデー(毎週月曜日) | 1,100円 |
ハッピーモーニング(平日朝10時台までの作品) | 1,300円 |
ハッピーレイトショー(毎日夜20時以降の上映作品) | 1,300円 |
ハッピー55(55歳の方、毎日) | 1,100円 |
夫婦50割引(夫婦どちらかが50歳以上) | 二人で2,200円 |
映画の日(12月1日) | 1,000円 |
お客様感謝デー(毎月20日30日、イオンのクレジットカード提示で) | 1,100円 |
イオンのクレジットカードと提携したサービスもあるのがお得ですね。
ポイントカード
イオンシネマにも、ポイントカードは存在します。ただ、なぜか全然目立っておらず…。発行方法も下記の通りです。
①劇場発券機にてポイントカード発行(手数料200円)
②お客様情報を記入
これだけです。このポイントカードですが、とてもシンプルに映画鑑賞ごとに1ポイント貯まり、6ポイントで一回無料で鑑賞できる、というもの。他にも、チケット購入時にWAONポイントがつきます。
ただ、イオンシネマは他にもサービスを展開しています。
ワタシアター
こちらはオンラインの会員サービスです。登録無料で、様々な特典があります。
- クーポンが届く
- 試写会などに応募できる
- メルマガが届く
などです。イオンシネマしか行かない、という方にはお得なサービスですので、ぜひご活用してみてください。
イオンシネマのホームページ
イオンシネマのホームページは少しごちゃっとしていますが、流石の保有劇場数と言いますか、作品ごとに全国の公開劇場を探せたり、4DXなど特殊な上映方式を導入している劇場が探せたりします。
各劇場ごとにそこまで情報は違わないですが、上映予定の作品などはちゃんとチェックできたり、e席リザーブというオンライン予約ページで、事前の予約も可能です。
まとめ
さて、全国最大スクリーン数のイオンシネマの紹介でした。私自身は、「平日の夜や昼間に、静かに一人でゆっくり観るプライベート映画館」みたいなイメージを持っています。地方のイオンにあるイオンシネマなんかは特にそうですよね。
混雑時はもちろん混み合っていますが、それ以外が静かで、近くて、やっぱりイオンモールなどが併設されているのは便利です。
あと、キャラメルポップコーンが美味しいです笑