ぼくは約7年間。大手シネコンに勤務していました。映画館を離れた今でも『映画館の仕事』は素敵だと思っています。
ところで、みなさんは『映画館での仕事』と聞いて、どんな仕事の内容を想像するでしょうか?
「売店でポップコーンを作る仕事」「入り口でチケットをもぎる仕事」「映写機を触る仕事」などなど、映画館と聞いて連想出来る仕事はこれくらいでしょうか。どれも映画館の仕事には違いないのですが、どれもアルバイトスタッフの仕事です。
意外かも知れませんが、みなさんが映画館で日常的に目にしている仕事の大半は、アルバイトスタッフの仕事という事なんです。
この【映画館で働くということ。】では、普段あまり見ることの出来ない、映画館を支える社員の仕事に焦点を当てて、その仕事の内容と魅力をご紹介していきたいと思います。
映画館で働く人たち
映画館には色々な経歴を持った人が入社してきます。
というのも、映画館での人材採用は中途採用がメインで、新卒入社はほんの一部です。
そのため、劇場によって結構色が変わる事もあります。もちろん、それを管理する支配人の色が一番濃く出てきますが、それを含めて劇場の環境は結構”人”に依存している部分も多いです。
そんな映画館にはどんな社員がいるのか、ぼくの主観が色濃く出ると思いますが、ご紹介していきたいと思います。
- 男女比
- 年齢層
- 既婚率
- 人の属性
まずは、この4つに分けて基本情報をご紹介します。
男女比
半々…と言いたいところですが、若干女性が少な目です。全体で見ると6:4くらいでしょうか。
夜遅くまで仕事になるイメージが強いのか、映画という世界に男性のイメージが強いのか、女性は少な目です。
ですが、基本的に1劇場に1人は女性社員がいます。ぼくが過去に在籍していた劇場にも、2〜3名の女性社員がいました。
「トイレも含めて女性専用が存在すること」「劇場運営に女性的な視点が必要なこと」が主な理由ですね。
年齢層
平均すると20代後半〜30代前半が多いです。
このあと詳しく説明しますが、この平均年齢は「支配人を除いた」数字です。
支配人は、30代後半以上の人が多く、そこまで入れると平均年齢がグッと上がってしまうので、支配人は除きました。映画館で働こうとしている人は、きっと「同僚がどういった人なのか」というのが一番気になると思ったからです。
ちなみに、ぼくが一緒に働いたメンバーで最年少は20歳。最年長は45歳でした。
既婚率
これは極めて低いです。
特に女性で既婚の劇場社員っていうのは記憶にないですね…。男性は一部結婚している社員がいました。
劇場での勤務は、ご想像の通りシフト制。なかなか生活リズムが安定しないので、長く付き合っている彼女がいても、結婚に踏み出せない…という人も多いのかなと思います。
かつ、友達とも予定が合わせづらいので、出会い自体が減っているのかも知れません。(これは勝手な想像です。)
人の属性
最後に、人の属性です。
簡単に言うと、「真面目で」「それなりの協調制があり」「1人暮らしをしていて」「何かしらの趣味を持っている」という人がイメージしてほしい人物像です。
「真面目で」「それなりの協調制」というのは、仕事柄きっとみんなそうなるんだと思います。
そして、「1人暮らしをしていて」は、全国展開する劇場だと異動がある事もありますが、そもそも実家の近くに映画館がない場合は1人暮らしになるので、だいたいの場合が実家を出る事になります。
最後の「何かしらの趣味を持っている」というのは、ちょっと表現が難しいのですが、言葉の通りです。
車が好き、ゲームが好き、アイドルが好き、漫画が好き、犬が好き…などなど、熱狂的とまではいきませんが、無趣味みたいな人は少なかったですね。
理由はわかりませんが、なんとなく映画館で働いている人の人物像を想像してもらうために、この項目もあげました。
映画館のヒエラルキー

まずは、こちらの図をご覧ください。
映画館で働く人たちのヒエラルキーです。
当然、一番上に支配人がいて、それを支える副支配人がいて…という風に続いています。1つずつ詳しく見ていきましょう!
支配人

その名の通り、劇場の代表であり最高権力者。
基本的に、全ての意思決定は支配人を通して行われる。主な業務は「本部や配給とのやり取り」「予算管理」「番組表の決定」「マネージャーの管理」。
ちなみに、支配人の上には本社があり「劇場運営部」のような名前の事業部に属す人たちが存在する。
副支配人

支配人の補佐役。劇場の規模が大きいと、この「副支配人」という肩書きの人が存在する。
逆に、それほど大きくない劇場には副支配人がいない。
主な業務は「支配人の補佐」だが、マネージャーとの間にいる事から「各セクションのマネージャー業務を補佐」してあげる事もしばしば。
マネージャー

現場の指揮官とも言えるのが、このマネージャー。
上の図にも書いた通り、マネージャーは1人1セクションを担当する事から1つの劇場に4名以上いる場合がほとんどで、劇場によっては6〜7名のマネージャーがいる場合もある。
主な業務は「自セクションのスタッフ管理」と「自セクションの運営」である。
アシスタントマネージャー

その名の通り、マネージャーをアシストする役割。
アシスタントマネージャーの存在は劇場によってバラバラで、必ずしも劇場の規模に準じるわけではない。その役割にふさわしい人物が現れた時に、アシスタントマネージャーは誕生する。
主な業務は「アルバイトスタッフのまとめ役」で、アシスタントマネージャーはアルバイト。いわゆる、バイトリーダー的な存在である。
アルバイトスタッフ

お客様と一番近い現場で劇場の運営を支えてくれているのが、このアルバイトスタッフ。
アルバイトスタッフは、各マネージャーが管理をするセクションごとに採用され、当面の間は自セクションの業務を行う。
スキルアップするに従い、いくつかの権限を与えられ、他セクションの業務も覚えていく事になる。
どんなスキルが必要か。
映画館で働く人たちと、その関係についてご説明したところで、最後にスキルのお話です。
- コミュニケーションスキル
- 基本的なPCスキル
- 映像や写真データを取り扱うスキル
映画館で働くには、どんなスキルが必要とされるか。ここでは、これらの3つにポイントを絞ってご紹介していきます。
コミュニケーションスキル
最も大切なスキル。映画館での仕事だけに問わず、どんな仕事にも必要なコミュニケーションスキルですが、映画館では特に必要とされます。
先に説明した通り、映画館に社員として入社すると、基本的には1セクションを担当する事になります。そして、そこには10〜30名くらいのアルバイトスタッフが在籍しています。
もうおわかりかも知れませんが、彼らとのコミュニケーションが社員の最も大切な仕事と言っても過言ではありません。
もちろん、一緒に働く社員同士。上司である、支配人と副支配人ともコミュニケーションは必要です。
基本的なPCスキル
これも今の時代であれば、どんな仕事にも必要でしょう。映画館も例外ではありません。
アルバイトスタッフのシフト作成、各種帳票の作成、お客様や取引先とのメールのやり取り…例をあげればキリがありませんが、おおよその業務でPCを使う事になるので、いわゆるOffice系の知識とPCスキルは必要不可欠です。
映像や写真データを取り扱う知識
ちょっと表現が抽象的になりますが、これもあった方が良いです。
いつか触る日が来るであろう”映写機”も今は全てデジタルです。フィルムを触ることは、めったにありません。ここでデータに関する知識が活きてくるのは当然なのですが、これは後々の話。
ここでお話したいのは、PCスキルの延長です。映画のポスターデータや、売店の限定メニュー、前売券の見本など、マネージャーは画像データなどを取り扱う機会が意外と多いです。
映像・写真だけでなく、こういったデータの取り扱いについての知識がないと結構キツイです。
まとめ
【映画館で働くということ。】の基礎知識編は、ここまで。
あまり見えていなかった映画館の中身が、少しは見えてきたでしょうか?
どんな人たちが、どんな役割分担で、どれくらい働いているのか。というのが伝わっていると幸いです。
勤務条件や具体的な仕事内容など、まだまだお伝え出来ていない部分も多いですが、この【映画館で働くということ。】シリーズで少しずつ、社員の仕事をご紹介していきますので、次回の記事にもご期待ください。
1人でも多くの方に、映画館の仕事の魅力をお伝え出来ますように。
↓〜早番の1日編〜で具体的な業務内容を紹介しています。↓
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