車椅子で映画館を利用するには?座席指定方法や注意点を解説。

みやざわ支配人

「映画を観に行きたいけど、車椅子でも大丈夫…?」と不安に感じている方は多いはずです。

基本的に、映画館には車椅子専用のスペースやスロープなどの用意があるので、車椅子ユーザーの方でも問題なく利用していただくことが可能です。

とはいえ、初めて車椅子で映画館を利用するとなると、「快適に映画を観られるのかな?」「映画館スタッフにどこまでサポートしてもらえるの?」といろいろ気になりますよね…。

そこで今回は映画館の車椅子用スペースや、車椅子で映画館を利用する方法・手順についてくわしくご紹介します。

映画館には「車椅子専用の席」がある

大手シネコンをはじめ、ほとんどの映画館には車椅子で映画を鑑賞するための車椅子席が設けられています。

車椅子席とは、「車椅子ユーザーが車椅子のまま映画を鑑賞できるように確保された通常の座席がない専用スペース」のことを指しています。

劇場ごとに車椅子席の座席数は異なりますが、シアターにつき2〜3席、多いところだと6〜7席確保されていることが一般的です。

ただし、劇場によっては車椅子専用のスペースが用意されていないこともあります。車椅子席の有無や座席数は、劇場の公式ホームページにある「施設案内」や「シアター情報」などに掲載されていますので、事前に確認しておきましょう。

また、そもそも車椅子席の数が少ないこともあり、混雑状況によっては車椅子席がすでに埋まっていることもあるので、事前に確認・座席指定しておくと安心です。

ちなみに、車椅子席を利用するからといって料金が一般席よりも高くなることはありません。

座席を指定して予約する方法は、以下でくわしくお伝えしていきますね。

車椅子での映画館予約方法(座席指定方法)

車椅子座席を指定して予約する方法は、映画館ごとに異なります。

インターネットから一般席と同じように車椅子座席を指定して予約できる場合と、できない場合があります。

ここでは、大手シネコン3社「TOHOシネマズ」「MOVIX」「イオンシネマ」での座席指定方法を紹介します。

TOHOシネマズ

TOHOシネマズでは、「インターネットチケット“vit®”」を利用して、一般席と同様に車椅子席を指定予約することが可能です。

Q 障害者手帳を持っています。インターネット販売vitは利用できますか?

A 座席選択画面にて車椅子席を選択してください。(お連れ様がいらっしゃる場合は続けて座席を選択してください。)

引用:TOHO CINEMAS よくあるお問い合わせ

ネット予約の座席選択画面で、車椅子席を選択して予約しましょう。

劇場に直接問い合せたり、事前の連絡を入れたりする必要はありません。

MOVIX

MOVIXでは、今のところインターネット上で車椅子席を指定して予約することはできません。

座席選択画面にて車椅子席は選択できない仕様になっています。

車椅子スペースをご希望の場合は劇場へお電話いただくか、チケットボックス有人窓口までお越しください。
引用:松竹マルチプレックスシアターズ インターネットチケット購入方法

車椅子席を利用したい場合は、来場予定の劇場に電話でお問い合わせするか、直接窓口で購入しましょう。

イオンシネマ

イオンシネマも、現時点では車椅子席の座席指定サービスを行っていません。

Q 車椅子、ヒアリングエイド対応の席を購入できますか?

A 現段階ではサービスを行っておりません。

イオンシネマ 座席指定について

車椅子席を利用したい際は、MOVIX同様に来場予定の劇場に電話でお問い合わせするか、直接窓口で購入しましょう。

車椅子で映画館を予約なしで利用する方法

前述の通り、事前予約なしに映画館に行っても、車椅子席で映画を鑑賞することはできます。

チケット窓口に行き、観たい作品と上映時間、希望の車椅子席を伝えればOKです。

しかし、シアター内の車椅子席がすでに埋まってしまっている場合、お目当ての映画を観られなくなってしまいます…。

車椅子席の座席数は1シアターにつき2〜3席であることがほとんどなので、繁忙期だとすぐに埋まってしまうことも珍しくありません。

そのため、車椅子席を利用したい場合は、出来るだけ前項で紹介した方法で事前に座席指定予約しておくことをおすすめします。

車椅子で映画館を利用する際の注意点

続いて、車椅子で映画館を利用するにあたって知っておきたい注意点を3つご紹介します。

  1. 比較的前方での鑑賞になる。
  2. 一部映画館スタッフによるサポートもある。
  3. 通常の席を利用することも可能。

1.比較的前方での鑑賞になる

車椅子席はシアター入口のある前方気味に設置されていることが多いです。

だいたいのシアター入口は1F部分にあって、後方の席に行くに連れて階段を登っていくことが多いものですが、そこの入口のある高さに車椅子専用スペースがあります。車椅子では階段を登ることが難しいのと、非常時の対応を考慮してのことです。

前方での鑑賞は、映画を大迫力で鑑賞できるというメリットがある反面、スクリーンを見上げる必要があるため人によっては少し見辛いと感じる場合もあります。

「映画は前の方で観るのが好き!」という方ならいいですが、「できれば後方座席で観たい」という方からするとデメリットに感じてしまうかもしれません。

中には、車椅子席が後方に設けられている映画館や、劇場内に段差がないバリアフリー設計で自由に席を移動できる映画館などもあります。

「前方だと映画に集中できそうにない…」という方は、そういった映画館を利用するとより快適に映画を楽しめそうです。

2.一部映画館スタッフによるサポートもある

車椅子で映画館を利用するにあたっては、映画館スタッフの手助けが必要なこともありますよね。

可能な範囲…という内容にはなりますが、映画館スタッフがお客様のサポートをさせて頂くことも可能です。

なお、車椅子を持ち上げての座席移動など、これ以上のサポートは基本的に出来ないのでご了承頂きたいです。

また、お座席の移動につきましては、弊社従業員がお客様のお体や、車椅子を持ち上げるような対応はいたしかねますが、肩や手を貸す事によるサポートは可能ですのでお気軽にお声掛けいただければ幸いです。

引用:TOHO CINEMAS 「車椅子で利用できますか?」

3.通常の席を利用することも可能

車椅子でそのまま利用する場合は、車椅子席での鑑賞になりますが、一緒に行った人の手伝いなどで車椅子を離れて通常の座席に移動出来る場合は通常の座席を利用することも可能です。

この場合、車椅子はシアター入口付近に置いてご鑑賞出来ます。入場の際に、スタッフに一声お声がけ頂くことでスムーズにご案内出来るので、ご入場のタイミングで一声お声がけください。

この場合、チケット購入時の座席指定も通常の座席で問題ありません。お好きな座席を選んでご購入ください。

なお、前述の通り車椅子から降りての座席移動など、お客様のサポートをスタッフがお手伝いすることは出来ないので、お一人でご鑑賞の場合など移動が難しい場合は、車椅子専用席でご鑑賞をお願いします。

「ユニバーサルシアター」というのもある

「バリアフリー施設がより充実した映画館を利用したい!」という方には、ユニバーサルシアターの利用がおすすめです。

ユニバーサルシアターとは、足が不自由な方や目・耳が不自由な方など、どんな方でも一緒に映画を楽しめるように作られた映画館のことです。

東京都北区の田端に2016年9月にオープンした「シネマ・チュプキ・タバタ」は、日本初のユニバーサルシアターです。

目の不自由な人も、耳の不自由な人も、車いすの人も、小さなお子様連れの人も、だれもがいつでも安心して、一緒に映画を楽しむことができる、すべてのお客様を対象とした映画館、それが、ユニバーサルシアターです。

引用:チュプキについて

チュプキは、入口や客席、トイレなどすべてがバリアフリー設計になっているため、車椅子のまま快適に映画を楽しむことができます。少しでも気になった方は、ぜひ利用してみてくださいね。

おわりに…

今回は、映画館の車椅子スペースや、座席指定方法などについてご紹介しました。

基本的に映画館には、「車椅子席」が確保されているため、車椅子ユーザーの方でも快適に映画を楽しんでいただけます。

ただし、劇場によってはインターネットでの座席指定ができなかったり、観られる場所が決まっていたりすることもあります。車椅子で映画館を利用する際は、映画館の公式ホームページにて車椅子座席の位置などの施設情報を確認しておくと安心です。

車椅子以外にも、盲導犬を連れての映画鑑賞方法などについて、こちらの記事で詳しくご紹介しています。合わせてご一読ください。

盲導犬を連れて映画って鑑賞出来るの?映画館側の対応は?

2021年8月20日




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with Theaterの支配人です。
7年間大手シネコンで劇場マネージャーを務めたのち、デザイン・マーケティングの仕事を経て独立。今でも映画館の仕事は素敵だと思っています。尊敬する人物はジャッキー・チェン。仕事でトム・クルーズに会った時に緊張し過ぎて顔が白くなった経験あり。