映画館に映画を観に行くと必ず観ることになる「盗撮防止CM」。
みなさんご存知の通り、映画館での作品の盗撮は法律で禁じられています。
この記事では、元映画館スタッフの目線から、映画盗撮がバレてしまう理由と、どこまでが盗撮になるのかを書いていきます。
当然のことながら、映画館での盗撮は絶対にNGという立場ですのであしからず。
映画館における盗撮
まずは「映画館で盗撮」、というイメージがつかない方へ
必ず流れる盗撮防止予告
映画館では必ず盗撮防止予告が流れます。あの頭がカメラの人が踊っているCMです。これは2007年ごろから全作品の予告に差し込まれるようになり、作品問わず必ず流れるようになっています。
この予告が流れる背景には、ファイル共有ソフトなどでインターネット上での公開が手軽になったため、「映画館に行こう!」実行委員会という組織が、大々的にキャンペーンを行いました。
なんで盗撮するの?
では、なぜ盗撮しようとする人が出てくるのでしょうか?
これは先述の通り、インターネット上での共有を目的としていたり、盗撮した映像をDVDに焼き販売することが目的です。
中には、「好きな映画だから何度も観たい」という行き過ぎたファンの情熱で盗撮している人もいます。
映画盗撮防止法の施行前の2005年には、映画の盗撮による海外版流出で、なんと180億円もの損害が出ていたようです。
そう言った違法行為が続き、盗撮を防止しようと業界全体で取り組みを始めました。
盗撮の定義と罰則
映画館で盗撮を行なった場合、どういった理由であれ下記の罰則が課せられます。
1 映画の盗撮については、著作権法第30条第1項の私的使用目的による 複製を認める規定を適用しないこととすること。 → 損害賠償請求、差止請求、刑事罰の対象となる。 著作権侵害の罪の法定刑は10年以下の懲役若しくは1,000万円以 下の罰金又はこれらの併科(著作権法第119条第1項 )。
ではどういったことが盗撮にあたるのでしょうか?
この法律の定義として
映画の盗撮とは、映画館等において有料上映中の映画(無料試写会で上映 中のものを含む )について、 。 当該映画の影像の録画又は音声の録音をする ことをいうものとすること。
ということが書かれています。これはつまり、著作権の対象である作品を、著作者の承諾無しに、有料の上映会で映像のカメラを回してスクリーンを撮影した時点でアウトです。それが私的であろうと商業目的であろうと、ダメです。
ただし、静止画については適用外となっています。ただまあ、静止画で撮影したところでカメラに詳しい方ならわかると思いますが、例えそれを後で連続して繋げても、観れたものじゃありません。音も録れないですしね。
これは盗撮になる?ケースごとに考える
とは言っても、今はスマホと言う便利なカメラがある…。このカメラ機能はどこからが盗撮になるのでしょうか?
映画館内での自撮り
最近はSNSに自分の日常を写真と共に投稿することが多いと思います。どこに行っても自撮りカメラをパシャパシャしてる人がいると思いますが、アミューズメントパークである映画館も例外ではありません。
好きな俳優のスタンディの前でパシャり。ポップコーンと一緒にパシャり。
映画館内で自分を撮る場合は、マナーさえ守れば何の問題もありません。
問題は映画本編が始まってからです。好きな俳優が出てきたからと言って、映画のスクリーンをパシャり。これは先述の通り、静止画にあたりますので盗撮にはなりません。ただしそれは映画館盗撮防止法だけの観点であって、映画作品をスマホで撮ってSNSにアップロードしたら、それは著作権法に反してしまいます。個人の使用の範疇を越えていますね。
それに、当然のことながらそういった行為は映画鑑賞においてのマナー違反で退場となります。個人的にはそろそろそういった人たちが出てくるんじゃないかと思っていますが…。もし上映中にスマホを取り出して映画のスクリーンを写してる、なんて人がいればスタッフはもちろん注意しますし、多くの他のお客さんは怒ります。
映画が始まる前の撮影
上述のケースと似ていますが、映画が始まる前の撮影についてです。映画館内の雰囲気を撮ったり、友達を撮ったり。
映画館内での自撮りと同じく、上映される作品自体を写していなければ盗撮にはあたりませんが、例えば予告が写っていて、それをネットにアップロードしてしまうと、これも著作権法違反となってしまいます。
スクリーンに何も写っていない状態で、他のお客さんの迷惑にならなければ問題ありません。
映画館での生配信
今やスマホ一つで映像を生配信できるので、上映作品を配信しちゃえば面白いんじゃないのと考える人もいるかもしれません。
これも当然、ネットを介して不特定多数が人の著作物を見れる状況になるので、アウトです。
それ以前に、上映中の携帯電話の使用は禁じられているため、退場になってしまいますね。
いずれのケースも、まずマナー違反になる
まとめると、どう言った場合でも、映画本編が始まっている時にスマホやデジカメを使用することは、マナー違反にあたります。それが盗撮であろうがなかろうが、見かけたスタッフが問答無用で注意しますし、他のお客さんからの申告もあり得ます。
では映画館側はどうやって盗撮防止のセキュリティー対策を講じているのでしょうか?
映画館の盗撮対策
映画館側の盗撮対策は、こういったものが挙げられます
注意喚起
マナーCMなどを使って、予告中に行う注意換気です。僕もこれを嫌と言うほど聞かされてるので、盗撮=ダメなこと、上映中のスマホも絶対ダメ、と頭に刷り込まれています。
こういった盗撮防止のマナーCMはほとんどの映画館で流れていますので、周囲がそれを知ると、もし盗撮している人がいたら注意しやすくもなりますね。
スタッフの見回り
映画館のスタッフは 映画の上映中、數十分おきに各シアターを見回りしています。閉鎖空間である館内で何かトラブルは起きていないか、上映は正常に行われているか、館内の空調は適切か。
この見回りを行なっているスタッフは、基本的にシアターの入り口から入ってお客さんから見えないように館内全体を下から見ています。
もしここで、怪しい動きをしている人がいたら即座にマネージャーに報告し、対応に移ります。特にカメラやスマホの液晶の光は、周りから見ると一発でわかるため、盗撮用のカメラでも仕込んでいない限りほぼほぼ見抜けてしまいます。上映中にスマホを触っているとスタッフが注意するのは盗撮の予防のためでもあるんですね。
映写室からのスクリーンチェック
これもスタッフの見回りと同様、映写室のスタッフが定期的に各スクリーンが正常に上映が続いているか、館内の背部にある映写窓から除いています。
僕もここから何度も館内を見ているのですが、スマホを触っている人は一発でわかります。当然、怪しい動きで盗撮をしている人も同様です。
疑わしい事があったり、他のお客さんの迷惑になっている場合は即座に他のスタッフに連絡を入れ、館内をチェックしてもらいます。
変な話、映画館では前からも後ろからも見られていると思っても過言ではありません。勿論お客さんに映画を楽しんでもらうために、それほど厳しく監視の目を光らせています。
他のお客さんからの申告
実際に摘発された盗撮事件にもあったのですが、他のお客さんからの申告です。
周囲にいるお客さんが、怪しい動きを見てスタッフに申告してくれます。
そんな人はいないと思いますが、堂々とビデオカメラを回していると、即刻申告されてしまいます笑
ただしこれは、映画作品自体のお客さんの入り具合や時間帯にもよるので、映画館側はお客さんからの申告に頼っているわけではなく、自前で出来る限りの対策を行なっています。
ウォーターマーク(透かし技術)
ウォーターマークという、テレビで放映される映画や映像作品の隅に出ている放送局などのロゴマークがあります。これがあることで、著作者を明記し、海賊版の流出などの抑止力とします。
実は、この進化系の技術が映画館向けに開発されています。例えば映画のスクリーンをカメラなどで撮影した時に、カメラを通さないと見えない透かしマークが映し出され、作品自体をきちんと見れなくするという技術です。
これを実際に導入している映画館は、現状あまり聞いたことはありませんが、試したことのないだけで実はすでに導入されている可能性もありますね。
まとめ
映画館での盗撮について、いかがでしたでしょうか。
映画館での盗撮は勿論禁止されていますが、それ以前に上映中にスマホなどを使うことも禁止している劇場がほとんどなので、マナーを守って楽しく映画を鑑賞しましょう。