トム・クルーズと大空を飛び交う『トップ・ガン マーヴェリック』を君はもう見たか?

みやざわ支配人

5月末に公開後、世界最高興行収入を叩きださん勢い(6月半ば現在)でヒットを続ける『トップ・ガン マーヴェリック』。その評判は届いているだろうか?

「映画館で見る映画」にふさわしい画作りと、有無を言わさずテンションを上げてくれるストーリー、そして何より歳を重ねたトム・クルーズの格好良さ。見てる間、映画というエンターテイメントを120パーセント楽しませてくれる魅力について、紹介していこう。

前作から36年、その意義。

『トップ・ガン マーヴェリック』は1986年公開『トップ・ガン』の完全なる続編である。

前作を見てない人は、36年前にヒットした映画の続編を今更見たところで…と思ったり、当時見た人も続編の話を意識のはじに置いた人が多いのではないだろうか。筆者もそういった立場の一人だった。だが、アメリカの戦闘機乗りの格好良さはそのまま、いや増した上で、今この時代に誰もが楽しめる映画に生まれ変わっていた。

ストーリーは、トム・クルーズ演じるマーヴェリックが、トップ・ガンの若い成績優秀者を指導し、難しい作戦を遂行するというごく単純なものだ。教習生たちへの態度や眼差しは熱さと優しさを兼ね備え、前作の跳ねっ返りだったマーヴェリックが歩んできた道をじんわりと想像させる。若い世代に知識と経験を受け継ぎながら、自分もまだまだやれることはある…どんな立場の人が見ても魂が奮い立つような構図になっている。

それは、前作での主軸の一つである「ラブロマンス」にも反映され、『トップ・ガン』では少々冗長に感じる恋愛描写(それは何度も流れる、80年代を象徴するような有名なBGMに由来するかもしれない)が、成熟した大人の恋愛へと変わっていた。どことなく生意気な印象があったマーヴェリックに隙や愛嬌が垣間見られ、鑑賞者たちからも親しみやすい。

これらはきっと、続編がすぐに作られていたら生まれなかっただろう。36年という空白があったからこそ、今作の格好いいマーヴェリックから、人生の悲喜交交を想像することができる。今だから描ける格好良さ。それがあらゆる要素に滲み出ている作品だ。

嫌味のないまっすぐなストーリーとキャラクターたち

前述したように、ストーリーに特に目新しい展開やテーマはない。課題に主人公とその仲間が取り組み、困難を乗り越えて、達成する…まさに王道のストーリーだ。しかし、だからこそ何度も見れる作品になっていると言える。王道を照れも嫌味もなく、真っ直ぐ正面から描き切る。その姿勢が格好良く、ストーリーの外側から映画にかける情熱が伝わってくるのだ。

また、マーヴェリックと引けを取らない、個性的なキャラクターたちもその真っ直ぐさに貢献している。嫌な奴や不快感を覚える登場人物が少なく、強いて言えば挑発的なキャラクターはいるが、最後には素直に手を取り合えるような結末がくる。

こうした最後に勝利を掴み取り、仲間と共に歓喜で終わる「王道のハリウッド映画」を久しぶりに見た感覚があった。一昔前の「ハリウッド映画」で思い浮かべる展開だからだ。もちろんそれらは色褪せない面白さがある作品ばかりだが、脚本、演出、価値観の何かしらに古さを感じ、現代を生きる私たちはそれらに目を瞑って鑑賞せざるを得ない。だが、全てがパワーアップした今作はまさしく今の時代の「王道のハリウッド映画」として私たちを楽しませてくれる。

ド迫力の戦闘機シーン

そして、作品の肝は何と言っても戦闘機の飛行シーンだろう。説明不要、有無を言わせず感覚に訴えてくる画作り。撮影機材や演出の進化などから、まるで操縦者と一緒に戦闘機に乗っているかのような感覚にさせてくれる。空母からの出撃、雲を切る速さ、体にかかるG、レバーの操作と戦闘機の機動…。さらに、アメリカ海軍の全面協力により、飛行シーンは実機撮影が多く、リアリティが高い。あらゆる角度から「戦闘機に乗っている」感覚が押し寄せてくる。ラストシーン、鑑賞者はトム・クルーズと一緒に天高く舞い上がり、勝利へと導かれる。その唯一無二の体験を、是非ともIMAXやスクリーンXといった特殊スクリーンで実感してほしい。

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2020年10月25日

筆者としては、両サイドにも映写スペースがあるスクリーンXをおススメしたい。真ん中にコックピット席、左右のスクリーンに音速で過ぎゆく雄大な景色が投映され、まさに自分が乗っているような経験ができる。




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わたしが書きました。

with Theaterの支配人です。
7年間大手シネコンで劇場マネージャーを務めたのち、デザイン・マーケティングの仕事を経て独立。今でも映画館の仕事は素敵だと思っています。尊敬する人物はジャッキー・チェン。仕事でトム・クルーズに会った時に緊張し過ぎて顔が白くなった経験あり。