『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』観たんですが…

みやざわ支配人

『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』観てきました。

夕方の回を観たんやけど、サービスデーってこともあってか予想以上の埋まり具合。カップルやイケイケのねーちゃんの多い事多い事。ネタバレの多い事多い事。

思い出ぶち壊し祭

ぼくの立場としまして、アニメは1クールに1つ2つ観るか観ないかで「あの花」に関しては2周+流し観しただけ。それも、観る度に感動が薄れていって、初回は号泣していたものの、2回目以降は目頭が熱くなる程度。ガムのように観れば観る程味が薄れていって、劇場版観終わった後、「いつから食ってんだこのガム?」状態。せやけど噛んでる間は美味しかったですよ。

予告を観て「あぁ、総集編に毛の生えたくらいの映画なんだなー」とぼんやりとした印象を持って観に行くと恐ろしいカウンターパンチを食らった。痛い。痛いぞ。前歯が欠けたぞ。

ぼくの考えてるテレビアニメってのは、ファンシーでSFで可愛い要素を持っていて、現実とスクリーン上との差異であるノイズに対して、これらの要素が遥かに上回って、現実に起きないって頭でわかっていても何ら違和感無く観れるシロモノなんですわ。映画でも中途半端な映画だと、現実とのギャップで「そりゃネーヨ」って映画に集中できなくなったりするんですが、極端にリアルな「桐島~」だとか、反対に有り得ない「パシフィック・リム」だとかだと、このノイズが無くなったり或いはどうでもよくなったりで楽しんで観れるんです。マーベルやDCコミックの昨今の映画ではヒーローの苦悩がよく取り上げられてますが、これもヒーローが“悩みを持って、それを打破するために奮闘する”姿勢によってグッと親近感の様なものが湧いて感情移入できちゃうんですわ。テレビアニメ類も同じく、可愛ければいい、熱ければオールオッケー!という気持ちで観賞してるんです。「あの花」に関しては、泣けるストーリーやノスタルジックな雰囲気がこれに該当してた。

“なんや?泣くんか?”感

 

せやけど工藤、今回の「あの花」劇場版を観て、俺こんなアニメで泣いてたんかいって一種の賢者モードみたいなものを味わったわけやわ。今までは泣けるから、ノスタルジックな気分味わえるから、と理由があって観てたのに、今回は観てる途中で集中できない事態に陥って、あれ?なんで?と考え始めちゃうんです。ぼくがわるう御座います。一方的に文句を垂れるなら、総集編のくせに時系列整えてなくて観客に委ねすぎてる部分とか、女装と言う趣味が無くなって急につまんなくなったゆきあつ女史が「やれやれ」とか言い始めるとことか、ほうれここだろ?この場面流せばお前ら泣くんだろ?という制作者の思惑が目に見えてるとことか、やたら同じシーンを繰り返して「さっきも観たわこれ!しつこいんじゃボケ!」ってなるとことか。

「まどマギ」と違って、新章公開予定も無いわけで、今は総集編だけどまぁいっかと将来に期待して観れるわけでもなく、ただ、ただ、しつこすぎるカットにうんざりして、「テメーのためになんか泣いてやるか!」と反骨精神を覚えて劇場を後にしてしまいました。

そもそも、テレビ版で終わらせとけばいいものを、劇中1年経った今作で、急に「めんまに手紙送ろうぜ!」とか言っちゃう辺りで悪寒がしてた。めんま生まれ変わってたらどうすんのさ。手紙は不在票として届くぞ。案の定、手紙書きながら“あの夏の出来ごと”を振り返るわけですが、観てりゃーわかる登場人物の心情を全部独白しちゃう。知ってる知ってる。知ってるから今更説明しなくてもええよ。これでラストがめんまが生まれ変わって隣の家の犬にでもなってわんわん吠えて、じんたんが「お前はノケモンじゃないぜ」って飼い主から譲り受けて皆で飼いだしていれば救い所があったのに、めんまを出汁に観客にお涙頂戴の嵐。めんまを出汁にしてあれやこれやするのはやめようよ!あの日、本音で叫びあったじゃない!めんまの事考えてよ!

結論観に行った俺が悪いんだよ。夏の思い出は夏の思い出のまま引き出しに入れておけばよかった。10年後20年後に引き出し開けてあ~あの頃はって目に涙溜めてればよかった。わざわざ思い出をぶち壊す愚行をしてしまい、泣ける作品として引き出しにしまってた「あの花」を箪笥諸共燃やしてしまった。だけど安心して。ちゃんと覚えてるよ。まだ「あの花」は好きだよ。燃えた箪笥は炭として再利用するよ。思い出のように炭を燃やすとゴーッと燃え上がるよ。けどお金返して欲しいな。「マン・オブ・スティール」とか「スタートレック」とか「地獄でなぜ悪い」とか観たい作品いっぱいあるんだ。

描き下ろしの部分でまた泣けて、ガムの味が復活すると思って観に行ったのに、包み紙にくるんでしまいました。




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わたしが書きました。

with Theaterの支配人です。
7年間大手シネコンで劇場マネージャーを務めたのち、デザイン・マーケティングの仕事を経て独立。今でも映画館の仕事は素敵だと思っています。尊敬する人物はジャッキー・チェン。仕事でトム・クルーズに会った時に緊張し過ぎて顔が白くなった経験あり。