映画館と言えばポップコーンという程、映画館とポップコーンは切っても切り離せない関係ですね。
劇場によって異なりますが、70%以上の方が映画鑑賞前に売店を利用し、そのうち80%程度の方はポップコーンをご購入されます。
当然、映画館の売店売上の構成比はポップコーンが圧倒的No.1。
そんな普段から何気なく口にしているポップコーンについて、その中身や種類について、この記事では詳しく解説していきます。
大きく分けて2種類あるポップコーン
最近では多くの劇場が、2種類のポップコーンを販売しています。
今回解説していくポップコーンの種類については、「キャラメル」と「塩」などのフレーバーの話ではなく、そもそもの品種から製造工程など…根本的に違う2つのポップコーンについてです。
それぞれのポップコーンについて、詳しく見ていきましょう。
昔からの王道:バタフライタイプのポップコーン
まずは、こちら。
写真を見ただけで、「あっ、いつものポップコーンだ。」と感じる方も少なくないはずです。こちらは、古くから映画館でも親しまれているポップコーンですね。
このタイプのポップコーンは、熱することでポップコーン豆が”蝶々”のような形に弾けることから【バタフライタイプ】と呼ばれています。
映画館での定番である塩味やキャラメル味のポップコーンは、一般的にはこちらのタイプのポップコーンを指します。
バタフライタイプの特徴
このバタフライタイプは、ポップコーンマシンと材料さえあれば誰でも簡単に作ることが出来ます。
映画館の売店などで、後ろでグルグル回ってポンポンと出来上がってくる光景を目にしたことありますよね?
あんな感じで作られてるのが、このバタフライタイプのポップコーンです。
他にも、形や大きさは違うものの、似たようなマシンでテーマパークやデパート・イベントなどで作りながら販売しているのを一度は目にしたことがあるはずです。
バタフライタイプの製造方法
バタフライタイプの製造はいたってシンプルです。
熱した釜に油を入れ、そこにポップコーン豆とシーズニングを入れるだけです。
あとは、釜の中でそれらが撹拌され、熱されることでポップコーン豆が弾けながらシーズニングと交わり、味付きのポップコーンが完成します。
なので、この”釜”をご自宅のフライパンなどに置き換えることで、ご自宅でも簡単に作ることが出来ます。
ただし、ポップコーンに使用される豆は、ただの乾燥した食用豆ではなく「爆裂種」と呼ばれる熱されることで弾けるタイプの豆なので、間違ってもスーパーで売っているとうもろこしを乾燥させて使用することのないように…
バタフライタイプの長所・短所
なんとなく、どのポップコーンがバタフライタイプか把握して頂いたところで、それぞれの長所と短所をまとめてみます。
—バタフライタイプの長所
- マシン・材料・レシピがあれば誰でも簡単に製造可能。
- 一度に大量生産が可能。
- 製造の時間が比較的短い。
- 簡単に出来て、大量生産出来るので販売価格が安い。
- 劇場にとっては、原価率も極めて低い。
- 量が多く、容器も大きいので、カップルやグループで分け合うのに最適。
—バタフライタイプの短所
- 形がまばらなので、(特にキャラメルは)味のバラつきがある。
- 賞味期限は基本的に当日中。
- 焦げ付きや不発が出る可能性がある。
数年前に大ブーム:マッシュルームタイプのポップコーン
一方のマッシュルームタイプは、数年前に東京の原宿を中心に専門店が乱立するなど、一大ブームを巻き起こしたポップコーンです。
こちらの写真を見てピンと来た方もいると思います。
1粒1粒にしっかりと濃厚な味がついていて、「グルメポップコーン」や「プレミアムポップコーン」などと呼ばれています。
写真を見てもわかるのですが、こちらは熱されることで”キノコ”のように丸く弾けることから【マッシュルームタイプ】と呼ばれています。
こちらのポップコーンが、バタフライタイプとどのように違うのか見ていきましょう。
マッシュルームタイプの特徴
マッシュルームタイプはバタフライタイプと違い、誰でも出来るとは言い難いです。
アメリカのシカゴが発祥と言われるこのポップコーンは、製造者ごとに製法や味付けへのこだわりがあり、例えば同じキャラメル味1つ取っても全然違う味わいのポップコーンを楽しむことが出来ます。
日本でブームになった専門店に目がいきがちですが、ポップコーンとの繋がりが深い映画館でも、近年このマッシュルームタイプが販売されるようになりました。
いつものポップコーンと並んで、”量が少ないのに、なぜか高いポップコーン”を見たことありませんか?
あれば、このマッシュルームタイプのポップコーンです。
マッシュルームタイプの製造方法
マッシュルームタイプは、ポップコーンが丸く弾けることを利用した製法で、かなりの手間ひまを掛けて製造されます。
まず、バタフライタイプと大きく違うのは、ポップコーン豆を弾くだけの専用マシンを使い、まずはポップコーン豆を丸く弾きます。
さらに、この弾く工程では油を使わず、「エアーポップ製法」という熱風で豆を弾く製法を用いることで、ポップコーンの中身を軽くふわふわな状態にします。
そうして弾かれたポップコーンに、今度は味をコーティングするためだけのマシンで味付けをしていきます。
この味付けの工程では、人間が1粒1粒手作業で仕上げていくので、バタフライタイプと違い、どこを食べても濃厚な味付けのポップコーンを味わうことが出来るんですね。
こうして完成したポップコーンが、パッケージに入れられて販売されているわけです。
マッシュルームタイプの長所・短所
—マッシュルームタイプの長所
- 1粒1粒手作業で味付けをするため、どこを食べても濃厚な味わい。
- パッケージとフレーバー次第ではあるが、賞味期限は45日程度。
- なので、購入後も保存がきく。
- ブランドごとに、オリジナルのフレーバーが無数にあるので、様々な種類を楽しめる。
—マッシュルームタイプの短所
- 大掛かりなマシンと製造場所が必要。
- レシピ開発が必要。
- 製造に時間が掛かり、大量生産には向かない。
- バタフライタイプに比べて、販売価格が高い。
- 量が少なく、容器も小さいので、誰かと分けながら食べるのには向かない。
映画館ではどっちを買ったら良いのか。
結局は映画館でどっちを買ったら良いのか…と思っている方もいると思います。
これはもちろん自由に決めて頂いて良いのですが、個人的な意見を言わせてもらうと「バタフライタイプ」がオススメです。
マッシュルームタイプは、「グルメ」や「プレミアム」と呼ばれるくらいなので、”味わって食べるもの”です。
薄暗い映画館で食べるのも良いですが、本来はしっかり1粒1粒味わって食べてほしいものなので、映画館ではバタフライタイプに軍配が上がるかなと思いますね。
あとは、映画館の売店としてもバタフライタイプが売れることの方が嬉しいです。(本音です…)
映画館で販売しているマッシュルームタイプのポップコーンは、ほとんどが「仕入れ商品」なので、利益率がバタフライタイプの方が良いんです。一部のシネコンでは、自分たちでマッシュルームタイプを製造しているところもありますが、これは稀です。
映画を観ながら何か食べるタイプではない人は、つまむ程度にマッシュルームを買って、その後にご自宅などで味わうというパターンはありかもしれませんね。
まとめ
バタフライタイプとマッシュルームタイプ、この2種類のポップコーンについて解説してきました。
バタフライタイプ | マッシュルームタイプ | |
価格 | 安い | 高い |
味付け | まばら | 濃厚 |
量 | 多い | 少ない |
保存性 | なし(当日中) | あり(45日程度) |
複数人で | 向いている | 不向き |
改めて、ポイントをまとめるとこんな感じですね!
ちなみに、こちらの記事でも紹介している通り、映画館の売店で購入したもの以外はシアター内に絶対に持ち込まないようにしてください。
ちなみに、今回の解説ではわかりやすく『バタフライタイプが一般的』で『マッシュルームが「グルメ」「プレミアム」』という表現にしましたが、必ずしもこれに当てはまるわけではありません。
「バタフライタイプの豆を使ったプレミアムポップコーン」も存在します…。ただ、ここまで専門的に食い下げていくとキリがないので、今回はわかりやすく表現を統一させました。
これから、映画館の売店でポップコーンを購入する際に参考にして頂ければ幸いです。