映画館には数多くの専門用語が存在します。
スタッフ間での会話はもちろん、一部はお客様にご案内する際にも使う専門用語があります。
HPでのご案内や館内ポスターを見ていて「ん?これってなんの事だ?」と疑問に感じた事はありませんか?
今日は、そんな“映画館の専門用語”を使うシーン別にご説明していきます。
チケット窓口
ほぼ全てのお客様が映画館に来て、一番最初に訪れるチケット窓口。
チケットボックスやボックスと呼ばれ事もある、ここではどんな専門用語があるのか見てみましょう。
なんの変哲もないように思える「前売券」ですが、まだしっかりとご理解されていないお客様がいらっしゃいます。
前売券は、あくまでその作品が公開される前の前売りチケットであり『どこの劇場の、どの上映回を、どの座席で鑑賞するか』は決まっていない券です。
実際に映画を観に行く際は、その映画館で座席まで決まった入場券と引き換える必要があります。
ちなみに、この前売券。”全国共通”の前売券と、鑑賞する劇場が指定されている”劇場指定”の前売券があるので、ご購入の際はお気を付けください。
前売券のところでも触れたように、実際『どこの劇場の、どの上映回を、どの座席で鑑賞するか』まで決まった、実際の入場券のことを「座席指定券」と言います。
これは、あまり聞きなれないチケットの名前かもしれませんが、「未来日の座席指定券」のことです。
大半のお客様は、映画鑑賞当日にその日のチケットをご購入されますが、例えば週末の上映回のチケットを事前に買っておくような場合「先売券」と呼ばれます。
これも座席指定券なので、呼び方が違うだけで、当日はこのまま入場する事が可能です。
これは、完全に劇場内用語です。お客様側からは目にする機会はほとんどありません。
トラブル対応など臨時で入場券を発行する場合に使われるチケットの券種。シアター入口で”チケットをもぎる”必要があるので、お客様に形式上お渡しするチケットのようなもの。
何か臨時で対応された時とかに、チケットをよく見ると書いてあるかもしれません…。
チケット窓口に限らずですが、何らかの理由でご返金差し上げること。
英語の直訳と同じ意味ですね。
お客様の年齢や、鑑賞する時間帯・曜日に応じて、映画のチケットを安く購入できる割引料金。
毎月1日の映画の日を始め、レディスデイやレイトショーなど劇場によって様々なスペシャルプライスが用意されている。
これに対して特に割引のない料金は「一般料金」や「通常料金」と言われ、一般:1,800円 / 子ども(3歳〜中学生まで):1,000円 / シニア:1,000円などが、それの対象。
通常設定されている「一般料金」や「スペシャルプライス」の適応が一切なく、独自の料金形態を持った作品のこと。
映画でない場合が多く、ライブビューイングや舞台挨拶付き上映、歌舞伎、その他企画上映などが、特別興行とされている。
タッチパネルの操作などでチケットを購入し、そのまま決済と発券まで行ってくれる機械。
今は窓口でチケットをスタッフから購入するより、自動発券機を使うお客様の方が多い。ネットで予約したチケットなども、この自動発券機で発券する。
売店
ポップコーンやドリンク、ホットドッグなど、映画館といえば…特徴的なアノ甘い匂いを発している売店。
ここにも多数の専門用語が存在します。
そもそも、映画館の売店は「コンセッション」と呼ばれます。
スタッフ間では、それを略してコンセと呼びますが、意外と外の方には馴染みのない言葉のようで、お客様には「売店」という場合が多いですね。
いわゆるバックヤードを指す言葉ですが、劇場内でバックというと「裏で商品の下準備などをするポジション」の事を言います。
コンセッションで売られている商品は、冷凍保存のものも多く、事前に解凍してから調理しないと提供できないので、”バッグ”でその準備が必要になります。
売店のカウンターでレジを打ちながら商品を準備しているイメージが強いと思うのですが、こういったポジションが存在することでコンセッションが上手く回っています。
専門用語でも何でもないですが、塩のポップコーンにバターを掛けてくれるサービスをお願いするときの魔法の言葉です。
最近は、これに対応してくれる劇場が少ないんですが、ぼくは大好きです。気の利くスタッフだと、手がベトベトになる事も考えて、おしぼりをくれたりなんかします。
グッズ売場
コンセッションも売店ですが、映画館にはもう1つ売店がありますね。
映画のパンフレットやグッズを売っている、グッズ売場です。ここにも専門用語が存在します。
プログラム(映画のパンフレット)とキャラクターグッズ。この2つを合わせて略した言葉です。
グッズ売場で扱っている商品を総称して、こう呼ぶ事もあります。
映画館で取り扱うグッズは、”映画限定”とされている物も多く、人気作などのグッズでは購入制限を掛けられる場合もあります。
映画館の場合、商品自体に限りがある事も多く「お一人様2点限り」とする購入制限が多かったように思います。
埼玉県にあるグッズ制作の会社さん。
映画館以外にも多数の販路はあるが、映画館のグッズ売場に年間通して、必ず1つは商品が置いてある。よく見ていた。
フロア
映画館内でお客様が入れる場所は、全てフロアスタッフの業務担当範囲であり、最も広い。
ここには多数の専門用語が存在します。
映画館の中心部であり司令塔とも言える場所。スタッフが入場のアナウンスを行ったり、チケットをもぎってお客様を入場させたりする場所のこと。
ポディアム、もしくはウィケットと呼ばれる所以は、英語で演説台を意味するため。
入場時に、チケットを提示し、スタッフが確認したうえで半分切り取られる事。
いわゆる映画館のロビー。
映画を観ないお客様でも入場する事が出来る範囲で、映画のチラシや予告映像が流れてたりする。
ポディアムでチケットをもぎって入場し、シアターに入るまでの廊下部分のこと。
ここはロビーとは反対に、映画を観るお客様しか入れない範囲。必ずこちら側にもトイレがある。
映画館にある、ダンボールなどで出来た大きな映画の宣材。これと一緒に写真を撮るお客様が多い。
簡単な作りのように見えるが、作るのはとても大変。
史上最高に難しいスタンディを造るのに、スタッフと6人くらいで3時間以上掛かった経験あり。
上映と映写
最後は映画の上映に関する部分です。
映写というセクション自体は今も存在していますが、全てオートメーションになっている劇場が多いのでスタッフは存在しません。
ただ、映写にスタッフがいた頃の名残で専門用語がいくつか存在します。
読み方は「まくあい」。スタッフ間では、短く「まくま」と呼んでいます。
これは、お客様が入場されている間に流れている映像の事で、劇場の情報や映画の予告、企業のCMなどが多い。
配給指定で、必ず本編上映前に流さないといけない予告。本編前に流れる予告は数多くありますが、この先付け予告は特別なものです。
通常の予告は、シアター内が半点灯(少し暗い状態)で流れるのに対して、先付け予告は全消灯(真っ暗な状態)で、必ず本編が始まる寸前に流れる。
上映システムから送られる指示のこと。
例えば、「シアター内の電気を消す」「音量を●●にする」「画面サイズを変更する」など、このキューが飛ぶたびに動いている。
事前にプログラミングされた指示通りに動くので、今は映写室にスタッフはいらなくなったのだ…。
キューの中で最も大切なのが、このセカンドキュー。
実際には2番目のキューではないが、本編上映前の最後のキューのことを指します。
本編上映前最後のキューなので、ここで画面サイズや音量、シアター内の状況がFIXする。ここでミスがあると大変なので、非常に重要なキューだと言える。
全国の映画館の上映システムを施工する技術会社さん。
全ての映画館がジーベックスなわけではないが、お世話になっている興行会社は多数。
何かあれば飛んできてくれる。
これも映画館の専門用語ではありませんが、ご紹介しておきます。
映写室は土足厳禁です。
初めて、アルバイトとかで入ってきた子は驚きますが、特にフィルムの頃は埃や塵が上映に影響を及ぼす可能性が高かったため、土足厳禁でした。
その名残もあり、精密機器の多い映写室は土足厳禁です。